旅日記 - アメリカの巨木を訪ねて

A

A

アメリカに「シャーマン将軍の木」という 世界一大きな樹が現存しているのを知り、訪ねることを決心したのは、 「世界一の木に会う」というテレビを見て、心惹かれたのが事の始まりでした。
全てのプランを 自前 で計画し、無謀にも敢行した妻と娘を連れた家族三人の「アメリカの巨木訪ね旅」を紹介 します。


[ 2001年 7月 4日 ]

■関西空港を離陸、サンフランシスコ空港には15分ほど遅れて到着した。入管と、荷物の積換え手 続きに少し手間取り、急いでフレズノ行きの搭乗ゲートに向かうが、あまりにも広い空港内を移動す るのに時間を費やして、哀れにも乗り遅れてしまった。乗り継ぎには一時間もあればと考えていたの が間違いで、到着の遅れ、入管や荷物の積換えを考えれば、結果的にはもう少し時間が必要だったと 後悔した。幸運にも次の便の空席が取れたので助かり、なんとかその日のうちにフレズノ(Fresno)の 地を踏むことが出来た。

■この日のフレズノは猛烈に暑かった。空港出口にあるハーツでレンタカーを借り受けて、 ヨセミテを目指して出発したが、いきなり道を間違えて、ハーツでもらった地図を片手に R-41 に乗るまでにかなりの労を要してしまった。フレズノ市街から R-41 を一時間ほど走 ればオークハーストの町(Oakhurst)で、その道沿いにある「ベストウエスタンホテル」(Best Western Yosemite Gateway Inn)が今夜を含めて二日間お世話になる宿だ。このホテルの予約は個人で直接取 っていたので、チェックインの際に少々不安であったが間違いなく予約が取れていたのでホットした。


[ 2001年 7月 5日 ]

■今日は終日、巨木を抜きでヨセミテバレーの観光を楽しむ予定だ。ホテルからヨセミテ国立公園 の南ゲートまでは車で30分ほどの距離、途中、早朝営業をしているカフェで軽い食事をしてから ゲートに到着。一週間有効の入園料$20/車を支払ってゲートを通る。しかしここからヨセミテ バレー中心のビレッジまでは一時間ほどはかかる。バレーの入り口にあるトンネルを出たところで前 方にヨセミテバレーの全景が望める「トンネルビュー」がある。駐車場があり、誰もが車を止めて望 む絶景だ。私はここから山に登ると更に素晴らしいと言われる「インスピレーションポイント」にこ だわって山登りに挑戦してみた。

「インスピレーションポイント」
多くの画家や写真家が選ぶポイントで、まさにヨセミテを代表する風景である。このうたい文句に のせられて約1時間厳しい斜面を登って、やっとこの風景が手に入った。私には一日のエネルギーの 大半を使い果たした感じの厳しさだった。

■ヨセミテ バレーの中心に到着。ビレッジ周辺の駐車場に車を置いて、昼食を済ませたあと、 園内を走るシャトルバスに乗って「ヨセミテ滝」を見に行く。三段の滝だが、最下段の滝壷周辺で多 くの人が水遊びを楽しんでいたので、しばらくここでくつろいだ。

「ヨセミテ滝」
落差の大きい滝、世界ベストテンの内の4つがヨセミテにあり、この ヨセミテ滝は落差739mで第3位にランクされている。

■ヨセミテ滝から再びシャトルバスに乗り「センチネル橋」まで移動、橋上からヨセミテのシンボル 「ハーフドーム」を望んだ。見る角度や光の加減で表情に変化があるが、この位置から見るのが最高 だと感じた。

「ハーフドーム」
丸いドーム状の岩山を真ん中から ナイフで切り落としたような と形容されるヨセミテのシンボル。

■2万年前、氷河に削られたそのままの造形と岩肌を今に残しており、その美しさには魅了される。 ビューポイントは多々有るが、この写真はセンチネル橋付近で撮影したものです。

AAAAA

「エル・キャピタン」
バレーフロアーから1095mの高さで垂直に聳える ロッククライマー 憧れの世界一の花崗岩一枚岩

「カテドラル・ロック」
天を突くように尖塔状の岩峰が伸び上がる岩山

■ビレッジ ストアーで買い物を済ませた後、帰路方向に車を走らせて「カテドラル・ロック」と 「エル・キャピタン」のビューポイントを探して写真を撮った。エル キャピタンを望む広場で双眼鏡 を覗いている人達が大勢いる。岸壁に取り付くロッククライマーを見ているようだ。肉眼で注視すると 蟻粒のような人影が僅か動いたように見えた。

■ヨセミテバレー(谷底)を出て、900mの直上からヨセミテバレーを見下ろせる「グレイシャー・ポ イント」に向かう。ビレッジと南ゲートの中間点あたりにグレーシャーポイントに向かう 道が有る。アメリカといえども山道は日本と同じで、細く曲がりくねっている。

■自然が造ったパノラマ展望台と言われるグレーシャーポイントからの眺めは凄い。あれほど多くの人 で混雑し、谷底にうごめいていた筈の人間が見えない。たかがこれだけの高さに立つだけで見えなくな る人間の小さな存在を思い知らされた。アメリカ大陸の大自然はまこと雄大だ。

■ここから見る夕焼けに染まる風景が素晴らしいそうだが山中の夜道を走るのは避けたいので、今日の 予定は終了として帰路につき早めではあったがホテルに戻った。昨日のアメリカン・レストランが不評 だったので、周辺を少し散策して中華料理店を見つけ、ここなら馴染めるだろうと、早々と脱アメリ カ料理となった。


[ 2001年 7月 6日 ]

■今日は待望のジャイアントセコイアに会える日だ。昨日と同じ南ゲートを入り、マリポサ・グローブと表示された 右側に進路をとる。しばらくすると独特の色をしたセコイアの姿が見え始め、その姿も次第に大きなものになって くる。ヨセミテ公園の南端にあるマリポサ・グローブはジャイアントセコイアが林立する森だ。駐車場周辺にも たくさんの巨木があって気になるが、こんなところで立ち止まっていては先へ進めないヨ〜。

■まず、グローブ内を低速で周遊する「トラムシャトル」に乗った。レンジャーが運転するシャトル は楽しそうに説明しながら走ってくれるのでポイントを見落とすことはない。But I can't understand English

■まず最初にマリポサの主「グリズリー ジャイアント」が現れ、少 し離れて「カリフォルニア トンネルツリー」がある。洗濯バサミと 名付けられた「クロスピン ツリー」、樹形の綺麗な 「マリポサ ツリー」、この森に身を奉げた守護者の名を冠した 「ギャレン クラーク ツリー」、倒木して果てた、かっての花形「ワオナ トンネルツリー」、頂上ま で空洞の「テレスコープ ツリー」と続き、終点のミュージアムに至る。折り返しの帰路はスピードを 上げて走るだけだと言うので、トラムシャトルを下りて散策路をゆっくりと見物しながら歩いて帰 った。

■マリポサグローブは、過去、現在に於いても人間が一度も伐採を行った事の無い森で、2000年 を超える自然の摂理の中で育ったセコイアの巨木が数多く現存している。しかし、150年ほど前か らこの森に人が立ち入るようになり、今では巨木を見る観光客が年間150万人を数えるほ どになったそうだ。国立公園としての管理状態は良く、樹々も人間を拒絶しているようには見えない。 とは言っても、現存している巨木はすべて、人間と関わりの無かった過去の自然が育てたものである。 人間が管理するようになってしまった森で、これからの木が、今まで同様の巨木に育っていくのだろう かと心配になり、ちょっと考えさせられた。

■マリポサ・グローブの見学を終えて、近くにあるワオナ・ビジターセンターを少し覗いた後、ヨセミテを後にして、 次の拠点である 今夜の宿泊地、フレズノ市街に向って移動した。

■フレズノ(Fresno)はサンフランシスコとロスアンゼルスの中間にある結構大きな都市だ。まだ時間は早かったが、 とりあえずはホテルのチェックインを済ませて一段落後、女性連れの宿命とあきらめて、市街地にある大型ショッ ピングセンターへ買い物に出た。


2001年 7月 7日

■今日は待望の「シャーマン将軍の木」に会える日だ。フレズノ市街から R-180 に乗るまでの道が 難解だったが、キングス・キャニオンを示す標識に従ってハンドルをとる。しかし、一時間ほど走 っていると R-180 を示す標識すら無くなって心細くなってきた。ガソリンスタンドを見付けて給油 をして確認、間違っていないことが分かり安堵した。

■キングス・キャニオン国立公園 ビッグ・スタンプ・ゲートに到着。ゲートを入ってしばらく進んで、 突き当りを左に行くと「グラント・グローブ」に到着する。この森には世界第三位の巨木と言われる 「グラント将軍の木」をはじめ「リー将軍の木」 「リンカーン大統領の木」 「オレゴン州の木」「ツイン シスターズ」等々、固有名詞 を持った巨木が37本も現存しているという凄い森だ。

■グラントグローブを後にしてゲート方向に引き返すと、キングスキャニオン国立公園とセコイア国立公園の 間を結んで、標高2000mの高地を走るゼネラルズ・ハイウェイがある。この閑散とした山道を1.5時間ほ ど走って、セコイア国立公園のロッジポール・ビジターセンターに到着した。ここで昼食と休憩を取り、ここから 3Kmほど先にある、待望の「シャーマン将軍の木」に向かった。

■昨日から超巨木を見続けて、しかもこの周辺にも巨木は無数にある。見慣れてしまっていたはずな のに[ Largest Living Thing On Earth ]と言われる「シャーマン将軍の木」 に会った時には圧倒された。辺りを威圧するかのような別格の存在感はもの凄い。まるで別世界 の生物が目の前にいるような感じがした。

■シャーマン将軍の木周辺に「コングレス・トレイル」という森があり、ここにも固有名詞を持った 著名な巨木があるので見に行こうとしたが、残念ながら今日は下草焼き(人工火災)が行われていて、 立ち入り禁止になっていた。自然火災は放置するとは聞いていたが、人工火災までやっているのには 驚いた。

■コングレス・トレイルが不能になったためクレセント・ミドウに向かう。
途中に道を塞いだ倒木をくり貫いた「トンネル・ログ」がある。大型車用には迂回路が有るのでこれは 観光用だ。アメリカ人はこんなお遊びが好きなんだなと思いながら、車を降りて記念撮影。

■道路の終点に、セコイアの森の中にぽっかりと開けた美しい草原「クレセント・ミドウ」がある。 しばし散策を楽しんだ。

■道路脇に群生する巨木「パーカーグループ」の写真を撮ってから、 最後に花崗岩のドーム「モロ・ロック」登頂に挑戦した。階段と手摺が設けられていて安全には問題 ないが、400mほどあるかなり厳しい登り道だ。頂上からはシエラネバダの素晴らしいパノラマが 一望できた。

AAAA

■モロ・ロックを下りたところにシュガーパインの森がある。シュガーパインは樹高60mにもなる 背の高いマツで、巨大な松ボックリでも知られている。森に足を踏み入れたかったが、時間を気にし て、トレイルの入り口に聳える「シュガーパイン」を代表としてカメ ラにおさめ、今日の予定はこれをもって終了とした。

■帰り道に見上げたモロ・ロックの全景、あの頂上に立ってきたのだ!と名残りを惜しんだ。

■帰りのルートは、来た道を引き返すのではなくバイサリア経由のルートを選んだ。標高2000mに あるジャイアント・フォレスから、曲がりくねった猛烈な急坂を一時間ほどかけて下り、標高500m にあるアッシュマウンテン・ゲートを出てセコイア国立公園に別れを告げた。

AAAA

■R-198 を走ってスリーリバーズの町をぬけ、Lake Kaweah という大きな湖で一息いれたあと、 R-198 を更に走ってバイサリアの町に到着した。バイサリアを南北に走る R-99 に乗ってしまえば北 に向かって一本道、無事フレズノに帰着した。

■4日間お伴をしてくれたレンタカーの晴れ姿


2001年 7月 8日

■今日は帰国の途につく日だったが、とんでもない事を迎えてしまった。フレズノ空港に行くと、コ ンピューターのトラブルが原因で就航が止っていると言う。そうこうするうちにサンフランシスコ発 日本行きの本便に間に合わない時間になってしまった。空港のトラブルは解消して運行は始まったの だが、関空に飛ぶ便は二日間待たなければ取れないと言う。このやり取りが言葉の問題もあって釈然 としない。とにかくローカル空港で足止めされていても仕方が無いのでサンフランシスコへ飛んだ。 サンフランシスコのユナイテッド・エアーライン(U.A)と折衝の結果、翌日の韓国経由で帰る便の 手配ができた。そして今夜はU.A.の手配で空港の近くで一泊できることになった。

■ホテルに入ってから、せっかくのチャンスだからサンフランシスコの町に出てみようということに なり、バスに乗って町に出た。予定外の行動だから情報はほとんど持っていない。ダウンタウンを少 しぶらついてから、タクシーをひろって「ゴールデンゲート・ブリッジ」までドライブして、タクシ ーを待たせて霧に煙る橋を見に行った。年老いた覇気の無い運転手だったが、帰り道には色々な所を ガイドしながら走ってくれた。


2001年 7月 9日

■サンフランシスコ空港を離陸、韓国インチョル空港経由、関空に着陸、車を駆って四日市に帰り、 無事に全てを終えることができた。

- 終 -

旅日記に戻る
アメリカの巨木に戻る
HOMEに戻る