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◆ナゾだらけのテロ計画


 英国で発覚した大規模なテロ計画は、まだナゾだらけ。事件の真相把握と位置づけには、なお情報が時間が必要だ。ただ世界に対しては、テロの脅威と直面する現実を、改めて突きつけた。


▼多くの疑問点

 今回の事件は、直ちに思いつくだけでも以下のような疑問が浮かぶ。
 
(1)計画されていたテロの実像は?
 英当局などの発表では、英国から米国に向かうアメリカン、ユナイテッド、コンチネンタル航空の旅客機を爆破する計画だったという。しかし、詳細はまだ不明。対象も6−10機説が流れている。
 爆破には液体爆弾を使う計画だったという情報が流れているが、真偽や詳細は不明。果たして素人がペットボトルなどで運べる液体で、飛行機を爆破させるほどの爆弾を作れるかという現実性も定かではない。疑問は尽きない。

(2)誰がどのように計画 
 時間発覚直後から、犯人はアルカイダと結びついているという情報が流れている。チャートフ米国家安全保障省長官は会見で示唆した。しかし、アルカイダ関係組織からの声明などはなく(成功していないから当然といえば当然だが)、まだ状況証拠で語っている段階だ。
 アルカイダといっても一枚岩の組織ではなく、国際的なテロ組織の共通ブランドのような面もある。そのどこと、どのように結びついていたのかは解明されていない。バキスタン内の組織と、犯行を計画していたグループとのつながりも詳細は不明だ。
 そうした点が分からないと、今回主犯格として逮捕されたラウフ容疑者が首謀者なのか、本当の首謀者が別に存在するかなど、抜本的な疑問への答が見つからない。

(3)なぜ発覚したのか
 テロの計画は、ロンドン警視庁やM15などが連携して、数ヶ月の内定を経て突き止めたという。パキスタンや米国の当局との連携も伺える。ただ、こうした捜査の常として、詳細は公表されていないし今後も明らかにされることはなさそうだ。


▼情報操作?

 英当局は9日夜から10日未明にかけてロンドンやバーミンガムで容疑者を逮捕。ロンドン警視庁は10日、その事実を発表した。首謀者と見られる人物らの名前も発表した。リード内相も会見。英財務省は11日、逮捕者(当初発表以降の追加も加え24人)のうち19人が保有する金融資産の凍結を命じ、対象者の名前も公表した。

 パキスタンでは政府が容疑者の逮捕や営巣さ当局との協力などを発表。米国ではブッシュ大統領が記者団の質問に答え、チャートフ国家安全保障省長官が会見した。

 しかし、その後の多くの情報は英当局などがメディアにリークし、検証のないまま情報が拡大再生産されている。責任の所在が明確でない情報が流布し、世論を形成する構図だ。当然そこには当局による情報操作も入る。イラク戦争時など、過去に何度も繰り返されたパターンだ。
 

▼テロ戦争の温床

 不透明な面が多いとはいえ、世界がなおテロに直面する現実を、事件が改めて突きつけたのは事実。2001年の9.11以来、02年10月のインドネシア・バリ島のテロ、04年3月のマドリッドの列車爆破事件、05年7月のロンドンの地下鉄・バス爆破事件など大規模テロが相次いでいる。中東やロシアでのテロ発生は、あまりに頻繁で並べるのが大変なほど。

 ブッシュ大統領は、イスラム過激派と戦争状態にあると強調した。一方、中東ではイラクやレバノン情勢もあり対米・対英不信が拡大している。今回のテロ計画を「米英の陰謀」とする荒唐無稽な主張も散見される状況だ。

 9.11以降、経済グローバル化に伴う貧富の格差拡大やパレスチナ問題がテロの背後にあるとたびたび指摘されてきた。その構造はなお変わらない。米ブッシュ政権はアラブ民主化を叫んでイラク戦争に突入したが、その後のイラクの現状は構想が現実離のものだったことを痛感させた。テロ戦争の生む国際的な構造は、変わらず残ったままだ。


▼不便強いる

 英国では航空機への手荷物持ち込みが原則禁止され、コンタクトレンズの保存液などもその対象となる始末。空の便に大きな影響が出て、利用は著しく不便になっている。免税店などのダメージも深刻だ。

 これも、対テロ戦争時代の「ときどきある風景」になっている。


(2006.8.12)