国際ニュース・カウントダウン
世界を眺める視点
◆チャベス3選と中南米左傾化
▼チャベス3選とその存在感
ベネズエラの大統領選でチャベス大統領が圧勝した。近年、これだけ世界に注目さ
れ、評価が分かれる中南米政治家は他にいない。
同氏は1998年の初当選以来、石油収入を背景に積極的に貧困対策を推進。貧民層か
らは熱狂的な支持を受ける。一方、富裕層とは石油資源の国家管理などを巡り激しく
対立し、独裁者との批判を受ける。
対外的には反米運動を主導する。キューバのカストロ議長と蜜月を保ち、ブッシュ
米大統領を悪魔と呼んだ。当然、米国や中道右派陣営からは蛇蝎のように嫌われてい
る。
ベネズエラの現憲法は再度の再選を禁じているが、チャベス氏は憲法を改正して次
期選挙にも出馬する構えを見せる。改革者と独裁者、貧民の味方とポピュリストの境
界はあいまいだ。
就任以来8年の間には、反対勢力によるクーデター未遂事件など幾たびの修羅場を
踏んだ。すでに多くの事を成し遂げた感があるが、まだ52歳。良きにせよ悪しきにせ
よ、チャベス氏の存在感は大きい。
▼中南米左派の2つの流れ
ベネズエラ大統領選は、中南米左傾化の流れを改めて象徴する結果となった。ただ、
中南米左派と言ってもチャベス氏に代表される反米左派と、ブラジルなどの中道左派
の違いは大きい。
中南米政治の流れは、1990年代の中道右派による新自由主義から、近年左派主導に
完全に変わった。主要10数カ国で引き続き中道右派が政権を担うのは、米国に隣接す
るメキシコを除くとコロンビア、パラグアイくらい。ブラジル、アルゼンチンをはじ
め大半は左派だ。
最近も11月のニカラグアとエクアドルの大統領選、昨年末のボリビア大統領選など
で左派が勝利している。
左派政権は90年代の新自由主義の失敗を重視し、貧富の格差是正などを重視する。
米国による中南米支配にも反対する。ただ、ベネズエラのチャベス大統領、エクアド
ルのコレア次期大統領らが反米を声高に叫び米国との対決を前面に打ち出しのに対し、
ブラジルなど多くの国はより現実的。米国とは全面的な対立を避けつつ、左派の政策
を実現していこうという立場だ。
こうした構造のきちんとした認識は中南米や世界の理解に不可欠だ。
(2006.12.9)