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◆フセイン元大統領死刑判決の意味
イラクのサダム・フセイン元大統領の裁判は、予想通り死刑判決が下された。この判決が様々な問題を改めて投げかけ、裁判への批判が多いのも、これまたかねて指摘されてきた通りだ。
今回判決が出た裁判は、80年代のシーア派住民虐殺を問うもの。虐殺について、フセイン大統領に責任ありとする判断に異論を挟む向きはほとんどない。
しかし、裁判の設定やの進め方については、様々な方面から疑問や批判が出ている。
裁判を所管したのはイラク高等法廷。イラク国内法に基づき元大統領を裁いた。
しかし、この法廷は元々米主導の統治機構が2003年に設置し、その後イラクが引き継いだもの。設立から運営まで米主導で進んだことは否定のし様がない。
フセイン裁判はルワンダや旧ユーゴスラビアのように、戦争犯罪を問う国際法廷を設置しなかった。国際法廷は国際的なルールの下で進み、しかも死刑がない。米国は裁判に自国の影響力を維持し、フセイン元大統領の死刑回避を避けるために、国際法廷を避けたとの指摘がある。
裁判の進め方も尋常ではなかった。裁判官はスンニー派抜きで構成され、裁判官や被告弁護人などが裁判期間中に相次いで殺害されるなど混乱した。各方面からの政治的な発言も飛び交い、報復裁判との批判も消えない。
イラン・イラク戦争や湾岸戦争(クウェート侵攻)などの責任を問う場は、結局設定されていない。
米国が80年代まで、イランの勢力伸張を抑えるためにフセイン政権に肩入れしたのは公然の事実。表に出たら都合の悪いことも多いはずだ。そのために、フセイン裁判をイラク国内の問題に絞る方が得策、と考えるのは自然かもしれない。
今回の死刑判決が出たのは、米中間選挙の2日前。ブッシュ政権が選挙への好影響を期待して、タイミングを決めた、という見方も多い。
裁判の背景は複雑で、いまだ不明な点だらけだ。軽々しい評価は慎むべきだろう。しかし、この裁判が極めて政治的なものであり、米国は締め各国の利害が絡んでいることは間違いない。そうした視点を忘れて表面的名ところばかりを見ると、大間違いを犯す。
(2006.11.11)