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◆北朝鮮のミサイル発射問題


 北朝鮮のミサイル発射が、世界を揺らした。すでに十分過ぎるほど前触れ情報が流れていたため発射自体に意外感はなかったが、1日に7発も発射したのは驚きだ。米国時間7月4日の独立記念日にぶつけてきたのも偶然とは思えない。世界の目は最近、イランの核開発問題に向いていたが、北朝鮮問題の重要性を改めて認識させた格好だ。


▼瀬戸際外交

 ミサイル発射の狙いは不明だが、米国を米朝2国間協議に再び引きずり込む狙い、という見方が一般的。アフガニスタンのタリバン政権やイラクのフセイン政権が米国に押し潰されたのを見た北朝鮮は、国体維持に強い危機感を持っているといわれる。2国間協議で、米国から国体維持の確約を得たいと考えても不自然ではない。

 さらに指摘されるのが、米国の金融制裁を打開する糸口の模索。米国は北朝鮮にマネーロンダリングや偽ドル処理の受け皿になっていたといわれるマカオの銀行に対し制裁を発動。これにより北朝鮮は、経済的に大きな打撃を受けている模様だ。

 原油資源を持つイランなどと違い、北朝鮮が相手を動かす材料は核兵器くらいしかない。今回の発射も、かねてから繰り返してきた瀬戸際外交の一環と見るのが自然だ。


▼対応模索の国際社会

 ミサイル発射に対する国際社会の反応は、今のところおおむね予想の範囲内だ。

 主要国はミサイル実験が東アジアの安定を損なうとの懸念で一致。日米欧などは北朝鮮を非難し、中ロも懸念を表明した。昨年から凍結状態になっている6カ国協議への復帰を求める点でも一致した。

 ただ、それ以上となると、国際社会の意見は割れる。米国や日本は強硬な対応を主張。日本は国連安保理に制裁決議案を提出した。一方中国やロシアは、北朝鮮をこれ以上孤立させると逆効果、と制裁には反対する。

 ただ、それぞれの国も内情は微妙。米ブッシュ政権は安易な妥協を否定しており、簡単に2国間協議に応じる姿勢にはない。さりとて、イラクのように武力介入する可能性もほとんどない。北朝鮮に影響力を持つ中国などの役割に、期待せざるを得ない状態だ。何より、イラク問題で腐心する米政権にとって、東アジアの問題を大きくしたくないというのが本音だ。

 一方、中国は、北朝鮮に発射自制を求めてきただけに、メンツを潰された格好。とはいえ、米国の強硬策に追随するわけには行かない。回良玉副首相が北朝鮮を訪問するなどして事態収拾に努めるが、青写真があるわけではない。


▼神経戦

 ミサイル発射から1週間を経過し、事態はやや小康状態に入ってきた。しかし北朝鮮の動きは国際社会の常識で測りがたく、予測し難い。国際社会の利害対立も複雑なままだ。先の読めない神経戦がしばらく続くように見える。


(2006.7.8)