国際ニュース・カウントダウン
世界を眺める視点
◆強権色強めるロシア
1つのニュースとしてはあまり目立たないが、ロシアの変質を物語る動きが相次いでいる。
国際ビジネスの社会で注目を集めているのが、サハリン2の天然ガス開発プロジェクト差し止め。シェルや三井物産など外資が主導の計画にストップをかけたものだ。環境対策を理由としているが、ロシア企業主導への変更を狙っているというのが国際ビジネス界の常識。背景には、プーチン政権の資源ナショナリズム強化がある。
ロシア政府は2日、グルジアとの交通網を遮断すると発表した。グルジア当局がロシア将校4人をスパイ容疑で拘束した事件がきっかけ。グルジアは拘束した将校をOCSEに引き渡すなどして事態収拾を図ったが、ロシア側の態度は軟化せず、ロシアに不法滞在しているグルジア人の排斥など追加措置も打ち出した。
グルジアは2003年の革命でサアカシュベリ政権が発足。NATOやEUへの加盟を目指すなど親欧米路線を鮮明にしている。今回のロシアの動きの背景には、親欧米に傾斜するグルジア締め付けの狙いがあるとみられている。
7日には、チェチェン紛争でロシア当局による過剰な武力行使や人権抑圧を告発してきた著名な女性ジャーナリストのアンナ・ポリトコフスカヤさんがモスクワの自宅アパートで射殺体で発見された。背景は不明だが、告発に敵対する勢力の仕業と見るのが自然だろう。
1999年に発足したプーチン政権は、「強いロシア」の復活を強調。治安安定や経済の成長に成果を残し、政権基盤を強化してきた。今年夏には念願のG8サミットを議長国として開催した。
半面、世界的に反テロの動きが強まっているのに乗じ、強権的な姿勢を強めている。そうした傾向は、チェチェン問題での対応に最も端的に表れる。資源ナショナリズムも、こうした潮流の中で顕著になっている。
近年の世界の目はスーパーパワーの米国、紛争の震源の中東、成長著しい中国などに目が行きがちだ。しかし、他の地域でも重要な変化が起きている。ロシアの変質は、目を離してはならない重要変化の1つだ。
(2006.10.7)