国際ニュース・カウントダウン
寸評 of the Week
◆EU拡大戦略の見直し
やはりというか、EU拡大のスローダウンが明確になってきた。首脳会議は新規加盟の審査を厳格化する方針を決定。2007年初めのブルガリア、ルーマニアに続く拡大は、かなり遅れる可能性が大きくなった。
EUは1999年のユーロ導入後拡大路線を進め、2004年に旧東欧など東方拡大を実現した。さらに2007年の第2次東方拡大で、27カ国体制を築く。
しかしここに来て、拡大に伴う問題点も目立ってきた。独仏など従来の加盟国から東欧新規加盟国へは工場流出が続き、当方から労働者の流入が絶えない。今回の路線転換も、こうした「拡大疲れ」を受けている。
決定は、トルコの加盟問題という、EUにとっての大問題にも影響を与える。
トルコは国土の大半がアジアにあるイスラム教の大国。その加盟は、欧州とキリスト教文化の土台に発展してきたEUの本質を変えかねない。
EUはイスラムとの共存という課題もあり、2005年10月にトルコとの交渉を始めた。しかし加盟基準である法整備、経済改革、民主化などの調整は難航している。最近はキプロスへの港湾の開放などを巡り、新たな軋轢も生じている。
EUの拡大路線の転換は、トルコ加盟への拒否感という水面下の感情を再燃させかねない。逆にトルコ国内では、「欧州は結局トルコを受け入れるつもりがないのではないか」という不満に火をつける心配がある。EUのみならず、世界にとっても重要な問題だ。
(2006.12.16)