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寸評 of the Week



◆イラク情勢の一段の悪化と多国籍軍の撤収論


 イラク情勢が一段と悪化している。すでに少々のテロでは驚かないが、23日にはイラク戦争後最大のテロが発生。連日100人以上が死亡しているという状況は深刻だ。マリキ政権の治安維持能力の欠如は隠し覆えず、求心力低下は低下している。

 図らずもその直前、英国がイラク南部から来春、大規模撤退するとの見通しを表明した。米国でも、中間選挙後イラク政策見直し議論が熱を帯び、撤収や兵力削減論も主張される。しかし、イラクの実態を見ていると、多国籍軍が規模縮小して大丈夫かという懸念がどうしても浮かんで来る。

 先行きは誰も明確に描けない。イラクの混乱が世界を悩ます状況は、なお続く。


▼中東情勢

 イラクの混乱以外にも、中東では重要な動きが相次いだ。イラクとシリアは21日、4半世紀ぶりに国交を回復した。イラクは旧フセイン政権時代の80年代前半、シリアがイラン・イラク戦争でイランを支持したことなどを理由に断交していた。現在イラクに流入するテロ活動家はシリア経由が多いとされ、国交回復で治安面で協力を得たいとの思惑もある。

 同日、レバノンでは反シリア派のジュマイエル産業相が暗殺された。これをきっかけに反シリア派と親シリア派の対立が再び激化、一触即発の状態になっている。両派の背後には、前者には欧米や親米アラブ諸国、後者にはシリアやイランがつく。今夏イスラエルと戦ったシーア派武装組織のヒズボラのスタンスは、それまでの反シリア政府への協力→反政府に変わっている。

 中東はイラクの混乱、パレスチナ問題という大きな不安定要因を中心に、各国には複雑な宗教、民族問題がある。合従連衡もあっという間に変わり、少し目を離すと構図が見えにくくなる。


(2006.11.25)