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寸評 of the Week
◆スパイ毒殺事件とロシアの強権体質
ロシアの元スパイの毒殺事件は、まるでスパイ映画を見ているかような展開だ。
英国に亡命した連邦保安局(前身はあのKGB)の元スパイが、何者かに放射性物質を呑まされて中毒にかかり、死亡した。放射性物質は「ポロニウム」という仰々しい名前。しかも死亡前の治療中の映像が全世界に流れ、本人の遺書は親族はプーチン政権に殺されたと訴えたのだ。
普通だったら水面上に出ることのない話が表に出てきたのだから、世界が関心を持つのは当然だ。
元スパイのリトブネンコ氏は、プーチン政権を強く批判してきた。要人暗殺を指示された話などを暴露。今回の毒殺事件の直前には、10月にモスクワで暗殺された女性ジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤ氏の射殺事件を調べていたと伝えられる。
プーチン大統領は当然ながら関与を否定する。しかしたとえ根拠はなくても、世界にはプーチン政権の何らかの関与を疑っている人が多いように見える。
欧米諸国は最近のプーチン政権の強権体質への批判を強めている。今回の事件で、そうした傾向に拍車がかかるのは必至。そして、ロシアはやはり西欧や米国とは違うという、「異質論」が再び頭をもたげ始めているのも事実だ。
▼EU・ロシア主脳会議
そんな情勢の中でEUとロシアは24日ヘルシンキで首脳会議を開いたが、焦点の包括的新協定交渉入りは見送られた。人権問題などを訴えるEUと、強硬姿勢を崩さないロシアの議論はかみ合わなかった。EU内の意見対立も交渉開始を妨げた。
協定はエネルギー供給や開発などを含む幅広い内容のもの。ロシアに天然ガスなどのエネルギーを大きく依存しているEUにとって、包括協定締結は長期的に不可欠だ。一方で、上述のようにロシアの強権体質に対する警戒は強まっている。
二律背反的な命題に直面する構図は、常について回る。
(2006.11.25)