国際ニュース・カウントダウン
国際ニュースを切る


◆イランの英兵拘束問題と世界


 イランによる英兵士の拘束が、重大な国際問題になりつつある。イランは英国や国際社会の解放要求を拒否。国際的な包囲で局面打開を狙う英国と、激しい外交戦・情報戦になっている。

 拘束場所を巡り、イランと英国の主張は当然異なる。英国は観測衛星の情報も提示してイラク領海内だったと主張。これに対し、イランは自国領内だったと譲らない(ただし、位置の説明は一度修正した)。事件発生から1週間を経過し、すでに「間違いでした」と訂正して簡単に済む時期は過ぎている。

 イランの真意は不明だが、兵士を拘束した23日は、まさに国連安保理がイラン制裁追加決議を採択しようとしていた時。核開発問題で国際社会をけん制しようという狙いがあってもおかしくない。さらに、イラクで拘束されたイラン人捕虜との高官も狙っているという観測もある。

 情報戦の火が一気に高まったのは27日。イランは拘束兵士の映像を放映。特に15人中唯一の女性兵士に、領海侵害したという謝罪を語らせて映像を流した。

 英国メディアはこれに過剰といえるほどに反応。特に大衆紙は A mother on parede(母親がさらし者=女性兵士は幼い娘の母親)、ウソを共用されたなどというセンセーショナルな見出しで報道。感情的な反応を煽るかのような動きだ(大衆紙に加え、The Timesの報道もかなり情緒的な報道だった)。

 英国は公的接触の凍結を表明。国連やEUに働きかけて解放を求める声明を出すなど、国際的な包囲網を作っている。しかし、決め手は見えてこない。雄弁なブレア首相の口調も、今ひとつ歯切れが悪い。

 1970年代のイランのアメリカ大使館占拠事件は、解決までに2年を要した。今回も問題が、いつ、どんな形で着地点を見出せるのか、今のところ予想がつかない。

 イラクにシーア派中心の政権が誕生したことで、シーア派の大国であるイランの中東・湾岸地域における影響力は拡大している。そのイラン政府を率いるアハマディネジャド大統領の世界観や真意、そしてイラン国内でどれだけの支持を得ているかなどは依然不透明だ。

 現在のイランという国は、極めて予測し難い。だからこそ、核開発問題も世界にとって重要だ。事件はそんな事実を、改めて認識させる。


(2007.3.31)