◆サミットの成果と課題
▼環境サミット
独ハイゲリンダムでの主要国首脳会議(G8)
は、温暖化ガス削減に向けてメッセージを出して閉幕した。当初盛り込みが危ぶまれていた数値目標は、2050年までに温暖化ガス排出半減を「検討する」(consider
seriously)という表現で盛り込んだ。
温暖化削減推進は、国連中心とする枠組みで推進することを明記。また、中国、インド、ブラジル、南アも温暖化対策での協力を約束し、共同宣言で表明した。
サミット直前まで米国は数値目標に反対。中国やインドも「まず先進国が責任を果たすべきだ」と立場を強調していた。そのことを考えると、サミットの結果は期待値以上だったと言える。議長国ドイツのメルケル首相の株は上昇し、今回の会合は「環境サミット」としてサミット史上でも意味ある会合の1つとして位置づけられることになろう。
もちろん課題は多い。合意は抽象的で、今後の交渉の行方は全く不透明だ。
そもそも地球規模の課題に取り組む方法として、G8のサミットに中国やインド首脳をゲストとして呼び、必要なテーマだけ加わる方法が適切か、という問題も改めて問われる。
それでも温暖化という重要な問題に、世界のリーダーが政治的意思を示したことは事実だ。この点は、過小評価すべきでないだろう。
(議長総括・地球温暖化対策の表現)
... we will consider seriously the decisions
made by the European Union, Canada and Japan
which include at least a halving of global
emissions by 2050.
We have agreed that the UN climate process
is the appropriate forum for negotiating
future global action on climate change....
▼アフリカとロシア
日本では温暖化対策ばかりに関心が集中したが、欧米メディアの関心はアフリカやロシアにも向けられた。アフリカ支援は昨年に引き続き協議したが、特筆すべき成果があったとは言い難い。
ロシアとの関係では、焦点の米ミサイル防衛システムに関連し、プーチン大統領がブッシュ米大統領に新提案をした。アゼルバイジャンのミサイル基地を米ロで共同使用しようという内容だ。
米国はチェコなどへのミサイル配備計画を、「イランの核ミサイルなどへの脅威に対抗するため」と説明してきた。ロシアの提案は、これを逆手に取った格好だ。問題の構図は従来の「ミサイル配備を推進したい米国」vs「反対するロシア」という比較的単純なものから、より複雑な形になった。
一方、強権色を強めるロシアの政治姿勢や人権問題などでは、欧米とロシア間の溝は縮まることなく、むしろ緊張が高まった印象だ。英Financial
Times紙は"Tensions mark the end of G8
summit"
と報じた。
▼反対デモ
今年もG8サミットに反対するデモが、厳重な警戒にも関わらず繰り広げられた。開催前の2日のデモでは約1000人に上る負傷者が出た。反グローバリズムへの同調者が、社会の大勢を占めるわけではない。しかし、依然根強いことを改めて示した。
(2007.6.9)