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◆中東和平会議の意義


 中東(パレスチナ)和平国際会議が米アナポリスで開催された。ブッシュ政権肝煎りの会議は、7年ぶりの和平交渉再開合意を取り付けた点でそれなりの成果はあった。しかし、和平の行方に展望が開けたわけでは全くない。評価は分かれるところだ。

 会議は政治的メッセージ発信の演出に力を入れた。開催時にはブッシュ大統領とオルメルト・イスラエル首相、アッバス・パレスチナ議長が演説。全世界に向けて和平推進への決議を示した。

 合意事項も具体的内容を盛り込んだ。12月12日に作業部会を設置。その後2週間に1度のペースで両首脳が会談することを定め、交渉合意期限については2008年末までという目標を明記した。ブッシュ政権の任期中に何とかする、という意思表示だ。

 2000年以来途絶えていた和平交渉が再開される意義は小さくない。紛争があっても、和平交渉の場があるのとないのでは大違いだ。

 とはいえ、和平推進の展望が開けているわけでは全くない。両者はパレスチナ国家の樹立では一致する。しかし、ヨルダン川西岸の国境線の画定、エルサレムの主権(イスラエルは自国の首都と主張)、パレスチナ難民の帰還問題(イスラエルは同国内への帰還を拒否)では抜本的な点で対立が続いたまま。歩み寄りの兆しもシナリオもないままだ。

 関係国政権の政治基盤はいずれも脆弱だ。イスラエルのオルメルト首相はスキャンダルで求心力が低下したまま。パレスチナ自治政府はファタハ主導のヨルダン川西岸とハマス支配のガザが分裂状態だ。そして米ブッシュ政権はすでにレームダックだ。

 会議の直後、米国は国連安保理に和平合意支援の決議案を提出した。しかしその後すぐに撤回した。背景には根回し不足があるとみられる。和平会議でのPRほど、話し合いの道筋がついていないことを早くも露呈した格好だ。

 今回の会議で合意内容とともに、もうひとつ注目されたのが参加国数。特にアラブ諸国では、親米色の強いサウジアラビアのほか、直前まで出席を留保していたシリアも参加。主要国が一応顔をそろえた。背景には、イランへの警戒がある。

 イラクがシーア派主導になったことで、中東におけるイランの存在感は拡大した。加えてアハマディネジャド大統領は過激な発言で周辺国を揺さぶる。核開発の動きは、サウジなど周辺国の神経を刺激するのに十分だ。イラン包囲という点では、アラブ穏健国と米国は利益が一致する。

 パレスチナ問題、イラクの混乱と並び、今やイランの膨張が地域の共通課題になっている。今回の会議はそんな情勢をも映した。

(2007.12.1)