◆ミャンマー騒乱
ミャンマー情勢が大きく動いた。今月に入ってからの反政府デモが拡大、軍事政権はついに武力鎮圧に踏み切った。弾圧の映像は世界に流れ、国際的な関心事になっている。
今回の動きに直接のきっかけは、軍事政権が8月に突然実施したガソリン価格の2-5倍の引き上げ。経済疲弊でただでさえ苦しい国民の生活が一段と悪化し、困窮を見かねた一部僧侶らが9月初めからデモを展開した。これを当局の高圧的態度で抑えたことから、運動に火がついた。
その後は24、25日の10万人規模のデモ→当局の弾圧と続き、事態は一気に世界的な関心事になった。
ミャンマー情勢に焦点が当たると、忘れてはならない点が改めて見えてくる。
1)軍事独裁: ミャンマーは1962年のクーデター以降、軍事政権の独裁が続く。当初は社会主義的な政策を掲げていた。近年は国際的な孤立傾向が強まっている。2005年の首都移転も、独裁強化のためとみられる。
2)民主化運動弾圧: 1988年の民主化要求運動は軍事政権が武力弾圧。その後も力による抑え込みが続く。アウンサン・スー・チー氏は自宅軟禁が続き、同氏を中心にする民主化運動も最近は展開が開けない。
3)仏教: 同国では仏教の影響が大きく、人口500万人の90%が仏教徒。出家した僧侶は40万人。ミャンマー情勢をみる上で、仏教の影響は極めて重要だ。多民族国家で、人口の40%は少数民族だ。
4)経済基盤: 経済は低迷。しかし経済崩壊にまでは至らず何とか維持している。これを支えるのは豊かな資源で、特に天然ガスの対中国輸出は重要。コメなど農産物が豊富なので、自給で何とかなるという側面もある。貿易はタイと中国が上位。
5)中国の支援: 欧米などのミャンマー批判が強まる中でも、中国は「内政不干渉」を理由に批判を避けてきた。中国もミャンマーと同様に少数民族問題や人権問題を抱えている。さらに上記の経済関係もあり、支援を続けている。
6)メディア規制: 騒乱後軍事政権はインターネットのアクセスを制限。外国報道機関の活動規制も強めている。東欧では情報の自由な流れが体制崩壊に結び付いた。そうした前例を考慮した判断、との見方が多い。
7)軍事政権内部: 軍事政権内部の関係は複雑と言われるが、内情はよくわからない。過去数年の間にも、汚職などを理由に有力者が解任されたケースが発生している。政権が国際情勢を見渡し、どこまで合理的に動くかも不明だ。
先行きは不透明だが、あまり楽観視はできないように見える。軍事政権が運動を徹底弾圧し、国際的孤立と経済停滞がますます晋、との観測も根強い。
国際社会はイラクでは米国が積極的に介入して失敗した。ダルフールでは介入の具体的な方法で難航し、厳しい情勢が続いている。ミャンマーへの対応も、相当難しいと言わざるを得ない。
(2007.9.29)