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◆ロシアの新体制
 

 ロシア情勢が一気に動いた。前週の下院選でプーチン大統領与党が圧勝したのを受けて、10日にはプーチン大統領が次期大統領候補にメドベージェフ第1副首相を指名。翌日にはそのメドベージェフ氏がプーチン大統領に首相就任を要請すると発表した。この結果、来年3月の大統領選を待たずしてロシアの新体制が固まった。
 
 新たな体制を一言でいえば、大統領退任後もプーチン氏が権力を掌握する「プーチン体制」が続くということ。これまでも「プーチン後はプーチン」と言われてきたが、具体的な姿が明らかになった。プーチン氏は憲法を順守しながら、大統領から形式的には格下首相への就任という「ウルトラC」で権限維持を実現する。

 世界は半ば驚き、半ば予想通りという気持ちで受け止めた。その上で、様々な分析を提示している。

 ひとつは、ロシア政権内の権力構造。圧倒的な勢力を誇るプーチン政権だが、内部は決して一枚岩ではない。政権には故郷サンクトペテルブルグ出身者、KGB出身者などが集まるが、いくつものグループが形成され、主導権と利権争いは激しい。特に最近は、シロビキ(siloviki)と呼ばれる強硬派の台頭が著しい。

 こうした内部抗争を抑えて空中分解を避けるためには、プーチン氏の求心力が不可欠になっている。

 こうした内部抗争を抑えて権力の空中分解を避けるためには、プーチン氏の求心力が不可欠になっている。プーチン氏は自らの地位維持という目的だけでなく、体制維持のために権力の保持が不可欠になっている。

 メドベージェフ氏は、有力後継者と目された人々の中で唯一KGB出身でない。後継大統領に指名したのも、強硬派の台頭を抑え、バランスを維持する狙いだった、という解説が多い。

 第2は今後のロシアの方向だ。プーチン大統領は対外強硬姿勢を維持するとともに、経済的には資源国有化・産業国有化を推進してきた。この方向が、さらに強化される可能性が大きい。

 プーチン大統領は強いロシアの復活を目指し、対欧米強硬姿勢も辞さないかった。米国のミサイル防衛システムへの反対、コソボやイラン問題での欧米との対立などに象徴される。この姿勢は国民の支持を得て、12月初旬の下院選圧勝の一因にもなった。ロシアは12日、欧州各国の通常兵器の保有上限を定めたCFE条約の履行を停止した。もちろんこれも、強硬姿勢継続のメッセージと読むべきだろう。

 産業面では石油・ガスの国家管理を進めている。メドベジェフ氏はガスプロム会長であり、資源国有化政策の象徴としての側面も持つ。さらにプーチン大統領は、一部製造業でも国家管理を強めていく姿勢を見せてきた。こうした路線は、当然強化されると見るのが自然だ。

 いずれにしろ世界が注目していたポスト・プーチン体制は、世界の予測をはるかに上回るスピードで固まった。プーチン氏の予測不能性と実行力を見せつけた格好だ。

(2007.12.15)