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◆2008年回顧:金融危機とオバマ大統領誕生の年


 2008年が間もなく終わる。今年は歴史的にも節目の年。金融危機と黒人初の米大統領誕生という大きなニュースがあり、1年前に比べて世界の風景は大きく変わった。


▼10大ニュース

 INCD Clubが選んだ2008年の10大ニュースは以下の通り。

(1)金融危機で世界経済混乱、同時不況に
(2)米大統領選の黒人のオバマ氏当選
(3)北京五輪開催、聖火リレーはチベット問題で混乱
(4)原油価格147ドルまで高騰、食料も上昇
(5)ロシアがグルジア侵攻、米欧との緊張高まる
(6)インド・ムンバイで同時テロ
(7)中国・四川で大地震、死者・不明者8万人
(8)ミャンマーでサイクロン災害、死者・不明者13万人
(9)アフガニスタン情勢悪化、パキスタンも政情不安定
(10)米が北朝鮮のテロ支援国家指定解除

 主要メディアの選択(下記参照)も順位の違いはあるが、金融危機・経済混乱と、米大統領選でのオバマ大統領誕生が2大ニュースであることは共通している。

 3位以下はぐっと離れて、中国の発展と問題点(北京五輪、チベット問題、四川地震)、ロシア新体制とグルジア紛争、イラク・アフガンの混乱と南アジアの不安定関連のニュースなどだ。


▼風景一変

 2008年を通じて、世界の風景は一変した。
 過去数年、世界の主要課題は、▽イラク、アフガン情勢を中心とした安全保障、▽米外交政策の新方向(単独主義破綻後の展開)、▽中国、インドなどの台頭、▽地球温暖化に代表される環境問題、▽グローバル化と世界経済の行方、などだった。
 2007年にはサブプライム問題の表面化で世界経済の行方に黄信号が灯ったが、まだカネ余りが続き、原油や資源価格が高騰。これまでの延長線上で経済がどのように推移して浮くかが焦点だった。
 しかし、金融危機で世界の金融システムは崩壊寸前を経験。実体経済はその後急激に悪化し、先進国経済はマイナス成長に陥った。世界はあれよあれよという間に同時不況に突入。数十年とか100年に一度の経済転換と言われる。


▼パラダイムの転換

 金融危機は単に経済悪化を招いただけではない。1980年代以降支配的だった自由市場重視型資本主義の理念が揺らぎ、市場経済と民主主義が歩調を合わせて進むという単純な楽観論は消えた。
 世界は新たな理念と国際協調の枠組みを模索し始めたが(G8→G20 への移行模索など)、具体的像は見えてこない。


▼社会情勢・安保悪化

 経済の悪化と米国の威信の低下は、政治・社会面にも影響している。
 イラクやアフガンでは、経済復興の遅れ→住民の不満が拡大→過激派の勢力伸長、という悪循環を断ち切れないでいる。経済悪化で情勢が深刻化する懸念がある。対テロ戦争前線のパキスタンなどは同様の悩みを抱え、世界各地では移民排斥などの兆候が出てきた。
 近年強権的な色彩を強めていたロシアは、グルジア紛争で米欧との緊張を一気に高めた。背景に米国の威信低下があるのは明らかだ。


▼希望のかがり火
 懸念材料が増加し不透明感が増す中で、最大の明るい話題は米大統領選でのオバマ氏の当選だ。米国史上初の黒人大統領当選は、人種の壁を超え世界史に新しいページを開いた。政策面でも、ブッシュ大統領時代の負の遺産(イラク戦争、経済、環境政策など)打開への期待は大きい。
 英Ficinaial TimesのLionel Barber編集長はオバマ氏を「希望のかがり火」(stood out as a beacon of hope)と表現した。オバマ政権スタートから100日は、米国のみならず世界にとっても極めて重要になる。


▼(補足)予想外れの1年

 ちなみに、識者やメディアの事前予想が今年ほど外れた年は珍しい。英FTの恒例の展望記事(2007年末掲載)は、金融は「危機」まで至ることなく何とか持ちこらえ、米国にはヒラリー・クリントン大統領が誕生。パキスタンのムシャラフ大統領は地位を維持すると予想した。外れぶりは、想像を超えた世界が変化した事実を映し出す。


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(参考)メディアの10大ニュース

▼時事通信
1.金融危機が世界に波及、株価暴落
2.米大統領選でオバマ氏当選
3.中国四川省で大地震、8万人超死亡
4.北京五輪開催
5.穀物など商品価格急騰、原油は1バレル147ドルに
6.チベット暴動、各地の聖火リレー混乱
7.ロシア軍がグルジア侵攻
8.米3大自動車メーカーの経営悪化、合併模索も
9.インド・ムンバイで同時テロ
10.北朝鮮のテロ支援国指定解除

▼共同通信
1. 米国発の金融危機が拡大、世界不況に
2. 第44代米大統領に民主党オバマ氏
3. 中国・四川省で大地震。死者・不明8万人
4. 原油価格、食料価格が高騰
5. 中国で初の五輪開催。チベットで暴動、聖火リレー混乱も
6. 米国が北朝鮮のテロ支援国家指定を解除
7. ミャンマーを大型サイクロン直撃、死者・不明13万人
8. インド経済の中心地ムンバイで同時テロ
9. ロシアの新大統領就任。グルジアとの武力紛争勃発
10. アフガニスタンの治安が悪化

▼AP通信(米国内ニュースとの区分が不鮮明)
1.米大統領にオバマ氏当選 
2.景気悪化
3.原油価格
4.イラク情勢
5.北京五輪
6.中国・四川大地震
7.米大統領選でペイリン・アラスカ州知事が副大統領候補
8.インド・ムンバイのテロ
9.米次期国務長官にヒラリー・クリントン氏
10.ロシア・グルジア紛争

(2008.12.27)