◆金融危機:世界は景気後退、米は資本注入へ
金融危機は引き続き緊迫した状態が続く。短期金融市場の機能不全、株価の下落、金融機関の相次ぐ破綻という悪循環が断ち切れず、主要国はシステム破たん回避に必死。
こうした中で米国は、公的資金を使った金融機関への資本注入に踏み切るべく、政策転換を表明した。「政府より市場」という1980年代以来の流れを覆す決定だ。
メディアでは「1930年代以来の危機」という表現が定着。景気の表現も「減速」から「後退」へとはっきり変わりつつある。
今週の動きを整理すると以下の通りだ。
▼株の歴史的な下落
10月6−10日の1週間で、世界各地の株価は大幅に下がった。
NYダウは18%下落して8000ドル割れ。東京(日経平均)は24%、フランクフルト(DAX)は22%、ロンドン(FTSE100)は21%下落。ロシアは取引停止に追い込まれた。
▼破綻の連鎖
アイスランドは6日、非常事態を宣言。必要に応じ銀行を国有化する法律を制定した。この枠組みを使い、9日までに主要3行を政府の管理下に置いた。
日本の大和生命は10日破綻した。
▼当局は「あらゆる手段で破綻防止」
米欧など各国の政府・金融当局は金融システムの破たん防止に必至だ。
金融不安の高まりで銀行間の短期金融市場では資金が取れない状況になっている。中央銀行はほとんど制限なしに資金を供給。流動性確保に努める。
8日には米FRB、欧州中銀、イングランド銀行など世界の10中銀が0.5%の協調利下げを実施した。
10日にはワシントンでG7を開催。5項目の行動計画を発表し「あらゆる手段で破綻を防止する」と表明した。
11日にはブッシュ大統領がホワイトハウスにG7蔵相を招き、金融危機に協力して取り組む姿勢を表明。政治的な決意を示した。
▼米、公的資金で資本注入へ
米国では3日に記入救済法案が成立。最大7000億ドルを投じ不良資産を買い取る仕組みを作った。しかし、市場への影響はわずか。不安払しょくには程遠い。
ポールソン財務長官は8日、公的資金を使った金融機関への資本注入の可能性に言及。ブッシュ大統領も10日正式表明した。
米国の論議はすでに公的資金による資本注入を行うかどうかではなく、いつ、どのような形で行うかに移った。
▼欧州の金融救済
これに先立つ9日、総額500億ポンドの基金を設置し、大手8行を対象に資本注入する救済案を発表した。
ドイツなど欧州各国は国家による預金の全額保護を発表。独政府によるヒポ・リアルエステートの救済など、破綻に直面した金融機関の国有化や救済が相次いでいる。
▼景気後退
経済指標や企業の決算は悪化。世界の主要メディアは、もはや躊躇することなく景気後退を報道するようになった。
(2008.10.11)