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◆G20首脳会議と世界経済

 金融危機を協議するG20首脳会議が14‐15日、米ワシントンで開かれた。首脳宣言は主要国の協力強化を強調。危機克服に向けたメッセージを出した。しかし具体的な対応については課題を列挙したにとどまり、詳細の検討はこれから。おおむね、事前予想に沿った内容になった


▼首脳宣言の内容

 会議後に発表された首脳宣言は16項目で、金融危機と世界経済について幅広い内容に及ぶ。ポイントをまとめれば以下の通りだ。

・金融危機と世界経済の再建に、主要国が協力して取り組むことを強調。
・危機の原因を分析(共通認識)=金融技術革新を背景に、十分なリスクを評価することなく金融商品が急速に膨張。当局は適切な監督を行えなかった。
・金融市場改革のための共通原則=(1)健全な規制の拡大(2)規制当局の国際連携、国際基準づくり(3)IMFなど国際金融機関の改革、など。
・行動計画づくり=財務相・専門家に指示。緊急度の高いものは2009年3月末までに。
・開放経済へのコミット=市場経済の重要性、保護主義への警戒などを確認。
・今後のスケジュール=2009年4月までに次期首脳会議を開催。


▼ホワイトハウスの説明

 会議後にホワイトハウスが発表した声明は、会議の成果として次の5点を強調している。

・金融危機の原因について共通認識を持った。
・危機対応と景気政策で各国がとってきた対応をレビューした。
・金融市場改革についての基本原則に合意した。
・行動計画づくりに合意。具体的作業を財務相レベルに指示した。
・市場経済の重要さを確認。


▼政治メッセージ

 世界の主要20カ国が集まり、結束して危機に取り組む表明をした意義は、軽視すべきではない。会議に参加した20カ国のGDPは世界の85%。社会主義国家の中国や、専制国家のサウジアラビアなども参加した。
 主要国は政治や経済体制の違いを超えて、国際協調の重要性を共通認識している事を明確に示した。1920-30年代の世界恐慌の際に各国が自国利害を追及、保護主義に陥り危機を深刻化させたのとは大違いだ。
 ちなみに、世界の主要メディアがの見出し(もっとも単純化されたメッセージ)は以下の通りだ。

英Financial Times: World leaders unite to restore growth: G20 countries vow to reform financial regulation and global institutions
米NY Times: World Leaders Vow Joint Push to Aid Economy
米WSJ: G-20 Summit Presents United Front, but Offers Mostly Promises


▼予想通り

 宣言に盛り込まれた具体的な内容は、おおむね事前の市場の予想通り。当面の危機封じ込めのための資金の提供、適切な規制・ルールづくりの必要性、IMF強化などはいずれも危機表面化以来提案されてきたこと。首脳会議は詳細を話し合う場ではないので、閣僚や専門家に具体策づくりの指示をしたのも妥当な線だ。

 実体経済悪化防止のために、各国が必要な措置を取る旨を強調したのも予定通り。首脳会議に先立つ9日、G20の財務相・中銀総裁は財政支出支持を表明した。中国は9日、総額4兆元の景気刺激策を発表。ドイツ、日本などが景気刺激策を取りまとめたのも、首脳会議をにらんだ動き。


▼玉虫色

 その一方で、主要国間に温度差があるのも軽視できない事実だ。参加国は「適切な規制」で一致するが、欧州諸国がヘッジファンドなどを含めた幅広い規制を主張するのに対し、米国は慎重。中国や新興国は固有の事情を抱える。結局宣言は、大原則の確認にとどまった。

 IMFなど国際機関の改革についても、欧州諸国はIMFに監督権限を付与するなど大胆な改革を志向する。ブラウン英首相が「ブレトン・ウッズ2」などというのもこのためだ。それに対し米国は既存体制を維持した上ので改革を想定する。中国など途上国の発言力強化も総論では異論ないが、具体策になると意見が割れる。議論が詰まることはなく、玉虫色の結論にとどまった。


▼今後のスケジュール

 宣言は行動計画のうち緊急課題について、2009年3月31日までに取りまとめるよう財務相レベルに指示した。その上で2009年4月末までに次回の首脳会議を開催する。

 世界経済は急速に悪化しており、金融危機が今後もくすぶり続けるのは確実。行動計画といっても、万能薬が期待できるわけではない。課題は山積している。

 それでも危機克服に向け、主要国が協調して行動をとり続けることは極めて重要だ。目先では、米国がオバマ新政権の下でどう動くかが注目だ。


▼参加国

 今回の首脳会議は、金融危機対応という課題克服に加え、世界の意思決定プロセスの変化という意味からも重要だ。ブラジルのルラ大統領は、G8が既に重要性を失いつつあるという趣旨の発言をした。
 参加国を改めて確認すると、以下の20カ国(地域)だ。

・G8+1(9)=米国、日本、英仏独伊、ロシア、カナダ、EU
・新興国・産油国(9)=中国、インド、ブラジル、メキシコ、南ア、トルコ、アルゼンチン、インドネシア、サウジアラビア
・他の先進主要国(2)=豪州、韓国


2008.11.16