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◆G8サミットと世界

 北海道・洞爺湖でのG8サミットは、地球温暖化や原油価格、食料など幅広いテーマを議論。共同声明ではそれなりに帳尻合わせをした結果を残した。しかし具体的成果となると、ほとんどなかったのが実態。G8体制の限界も露呈し、世界の直面する問題を改めて映し出した。


▼広範なテーマ

 今回のサミットのテーマは広範に及んだ。3つの危機と言われた地球温暖化、原油、食料価格高騰のほか、金融システム危機、世界経済、アフリカ支援などがテーマになった。政治面では核拡散防止、ジンバブエやダルフール、中東情勢、ミャンマーなどを議題にした。

 過去6年の世界経済高長期とは違い、原油価格上昇も世界経済も焦眉の問題。地球温暖化も、後戻りするようなことがあれば過去数年の努力は水泡に帰す。G8の意義が問われる状況にあった。

 もう一つ特徴的だったのが、並行して行った会議。初日にはアフリカ諸国首脳との会議を開催。最終日には中国、インド、ブラジルなど主要新興国(かつ温暖化ガスの主要排出国)との合同会議を開いた。これまでにない野心的な会議設定だ。

 それだけに各国メディアの関心も高く、例年以上に時間、スペースを割いて報道した。

▼具体的成果欠く

 会議の声明や宣言は例年通り、それなりに耳触りの良い結論を導き出した。

 焦点の地球温暖化では、2050年までに温暖化ガスを50%削減する目標を共有し、採択を求めることで一致した。議長国日本の説明では昨年のハイゲリンダム会議での「真剣に検討」より前進した。アフリカ支援でも、食料価格高騰への対応などで新たな支援策を打ち出した。

 しかし、具体的な成果となると覚束ない。

 温暖化では、当初注目された中期的な数値目標などで一切合意できなかった。数値目標に前向きな欧州と、反対する米国の対立は解けず、なんとか妥協を繕ったというのが実態だ。

 原油や食料価格では強い危機感を表明したのみ。金融システム不安定や世界経済となると、ほとんど何も話し合われなかった。

▼つなぎの会議

 超大国米国では来年初め、新大統領が登場する。民主党オバマ、共和党マケインのどちらの候補が選ばれるにせよ、ブッシュ政権から政策が大きく変わることは必至。欧州では「ブッシュ政権は必要なこと以外相手にしない」という姿勢が明確になっている。

 このような政治情勢下だから、欧州では今年のサミットを「つなぎの会議」と位置づける見方も強かった。そう考えれば、今回のG8サミットが世界に最小限必要なメッセージを送ったものの、それ以上の具体的成果を達成できなかったのは必然かもしれない。

▼新興国の成長と新世界秩序

 そうした先進国の政治情勢を抜きにしたうえで、今回の会議をグローバルガバナンスの観点から見ることも重要だ。会議は、世界の勢力図の変化を端的に映し出している。
 近年の中国やインドなど新興国の成長で、世界的な問題を新興国抜きで解決することはほとんど不可能になった。中国はもはや、世界最大の温暖化ガス排出国であり、世界経済への寄与では米国と並んで世界最大。インドはITやソフト産業の首ねっこを押さえる存在になった。

 地球温暖化問題でも世界経済でも、新興国を抜いた議論は空しい。ただ、こうした国を加えると議論が拡散し、生産的な論議がしにくくなるのも否定のしようがない事実だ。今回の拡大会議は、そうした側面の一端を示した。

 G8ではフランスなどが、参加国拡大論を提案した。欧米のメディアは、G8サミットに合わせて世界経済の新しい現実を示す報道を繰り返し、サミットをはじめとする国際組織、国際機関の枠組み変更の必要性を訴えた。問題意識としてはその通りだが、議論はまだ入り口に入った段階だろう。

 G8サミットという窓から世界の現状と展望を眺めると、こうした世界の現実と課題が改めて見えてくる。


(2007.7.13)