◆イタリア:総選挙と今後の課題
イタリア総選挙でベルルスコーニ前首相率いる中道右派が勝利。同氏が2年ぶりに首相に復帰する。事前の予測では中道左派の民主党と接戦だったが、結果は予想以上の勝利だった。
イタリアの政治は短命政権・不安定が通り相場。第2次大戦後63年で61の内閣が交代している。1990年代に政界再編で旧キリスト教民主党などが解体した後も、選挙制度上の問題もあり小党乱立と政治混乱は変わらなかった。選挙前に国会に議席を維持していた政党は39。プロディ首相率いる中道左派連立政権(オリーブの木)が崩壊したのも、小党の離脱が引き金だった。
そうした局面打開の狙いもあり、今回の選挙にあたり中道左派は新党の民主党(ベルトローニ党首)を結成。小党との選挙協力なしに選挙戦に臨んだ。中道右派も新党「自由の国民」を結成した。
その結果、選挙では政党の絞り込みが進んだ。選挙で議席を獲得した政党は6.中でも自由の国民ト民主党が圧倒的だ。イタリアは2大政党制の近づいたといえ、その意味では政治が変わった。
しかし、変化を過度に評価するのは禁物だ。
イタリアは経済成長率が低下、再建が急務になっている。処理場を巡る紛糾で街がゴミだらけになったナポリの例に象徴されるように、行政の機能不全も深刻。しかし、選挙戦を通じて課題について建設的な議論が行われたとは言い難い。
経済再建では、両陣営の主張にそれほど差があったわけではない。いずれも公共事業や減税などの策がオンパレード。ところが財源など具体的な裏付けはあいまいだった。特にベルルスコーニ陣営は、道路建設の計画などばらまき政策が目立った。
選挙結果は、政策の中身や透明性ある議論より、党首の人気が決め手になった感がある。ベルルスコーニ氏は巧みな縁雑戸メディア活用で、有権者の心をうまくとらえた。
同氏は政権担当時に汚職疑惑が表面化したり、3大メディアを保有していることが問題になった(メディア独占は特に国際的に批判された)。しかし、こうした批判が選挙に与えた影響は限定的だった。投票結果には、欧州でも英国やフランス、ドイツとは明らかに異なるイタリア人気質が反映されている。
予想外の大勝を得たことで、新政権は5年の任期全うも視野にスタートする。ベルルスコーニ次期首相は、さっそく会見で経済再建を強調した。ただ、具体的な政策はもちろんまだだ。
海外メディアの分析は、概して好意的でない。英Financial
Timesは、ベルルスコーニ氏再登場について、「問題の解決というより、イタリアの抱える(政治的な)病気のあらわれ」と論評した。
(2008.4.19)