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◆金融危機:新興国に波及


 9.15のリーマン破綻から6週間目。混乱は形を変えて、色々なところで表面化している。足元の焦点は(1)株安、商品価格の下落(原油、穀物など)、通貨の乱高下など市場の動揺(2)新興国の危機(3)実体経済の悪化だ。

▼6週目までの進展

 金融危機発生後の動向は、広範かつ複雑でとても簡単にはまとめきれない。それでもあえて整理してみると、以下のようになるだろう。

第1週(9.15-) 米国で金融危機発生(リーマン破綻など)
        システム破綻防止に対処療法(AIGなど個別救済、市場に資金供給)
第2週(9.21-) 危機拡大、欧州にも飛び火
第3週(9.28-) 米救済対応もたつきの末に可決(下院がいったん否決) 
第4週(10.5-) 世界的な株式下落、新興国・周辺国危機表面化(アイスランド)
        英国が資本注入へ先弁  
第5週(10.12-) 米が公的資金による資本注入決定(欧州先行を受け)
第6週(10.19-) 新興国の危機拡大、実体経済悪化鮮明に。

 この間、いくつもの金融機関が破綻に直面し各国当局が必至の救済措置で対応した。金融当局は大量の資金提供で流動性危機に対応。金融システムの破綻をなんとか食い止めた。

 市場は混乱を続け、株、商品(原油、穀物など)は大幅に下落。通貨はドル安→欧州通貨安へと流れを変えながら、乱高下している(目下は円の独歩高局面)。ボラティリティ(変動率)が異常に高い状態が続いている。

 銀行の国有化や政府の保障が急速に進み、6週間で国家が支援しなければ資本主義経済が維持できない状態に様変わりした。経済学的にはとにかく、人々の認識の上では新自由主義は終焉した感じだ。

 この間、実体経済の悪化は加速。世界的な不況に直面している。


▼新興国危機

 ここにきて顕著になったのが新興国の危機。これまで高金利や経済成長期待で流れ込んでいた資金が一斉に逆流。通貨価値が下落し、資金繰りがつかなくなるリスクに直面している。

 6週間で約20%以上下落した通貨は、南アフリカ、トルコ、ブラジル、韓国、アイスランド、ハンガリー、ポーランド、オーストラリアなど。広範な国家で資金繰りが行き詰れば、1997-8年のアジア通貨危機の再来になりかねない。

 ベラルーシ、パキスタンはIMFに支援を要請した。ハンガリーやアイスランドも要請を検討している。IMFは前向きに応じる姿勢だ。これも、放置していたら危機が全世界に拡大するからだ。欧州中銀がハンガリーなど周辺国の支援をするのも同じ理由だ。

 ロシアやデンマークは介入や利上げで通貨防衛に必死だ。危機の局面は続く。


▼次の焦点

 金融危機により、実体経済の悪化は急速に進んでいる。英国は16年景気が終わり7−9月にマイナス成長に落ち込んだ。米国や欧州各国が近く発表する統計も悪い数字が出るのは確実だ。先進国の景気後退入りは現実のものになった。

 IMFは世界の金融機関の抱える損失を1.4兆ドルと試算した。しかし実体経済の悪化が進めばさらに膨らむ可能性が大きい。市場関係者の間では2-3兆ドルという見方が根強い。そうだとすれば、これまでの処理みはまだ半分−3分の1程度。不良債権処理は「山を越えた」とはとても言えない。

 先行き不透明な状況は続く。危機の第2波、第3波は覚悟しておいた方がいい。当面の焦点を整理すれば以下あたりだろう。

 市場の動向=ボラティリティの高い状況が続く。混乱再来は必至。
 個別金融機関の破綻=継続的に表面化。当局の救済が続き、業界再編が進む。
 新興国危機=周辺国→ロシアや中東はどうなるか。
 追加救済策=各国、国際レベルで追加策が欠かせない。当面は11.15のG20首脳会議
 実体経済=不況はどこまで悪化し、長期化するか。
 米新大統領=政治的リーダーシップをどう出すか。


(2008.10.24)