◆公的資金投入論議:米金融危機の広がり
米国のポールソン財務長官が13日夕に緊急声明を発表。経営悪化している住宅公社支援のために、公的資金投入の可能性に言及した。
▼異例の発表
これまで封印してきた公的資金投入に財務長官が言及したのは初めて。発表のタイミング(日曜日の夕刻)と合わせて、事態の緊急性を感じさせる。
住宅公社のファニーメイとフレディマックは、米住宅市況悪化の影響で急速に経営が悪化。前週には株価が急落し、破綻の懸念が表面化した。
2社の破たんは、個別金融機関の経営問題では済まない。両社が保有・保証する住宅ローン担保債権は米住宅ローンの約半分の5兆ドル以上。社債も米国債発行の3分の1に当たる1兆6000億ドルに達する。破たんすればその影響は計り知れず、金融システムそのものの崩壊につながりかねない。
それだからこそ、米政府とFRBも両者を全面的に支援する決断をした。メディアもその政策を基本的に支持している。
▼効果は不透明
今回の対応で当面の危機は回避できるかもしれない。しかし、中長期的な効果は不透明。市場も様子眺めだ。
米市場では体力の弱い地銀の経営に対する懸念が増大。前週末にはカリフォルニア州の地銀、インディマック・バンコープが破たんした。地銀の株価は13日の声明の後にも急落した。
メリルリンチやシティグループなど大手金融機関が発表した4-6月期の決算は、なお大幅損失が続いている。1-3月期に比べれば数字は改善したが、将来の不安を払拭するような状況ではもちろんない。
これに加え、実際に公的資金東急は必要になった時に、議会がどう動くかなども不透明。政策・政治リスクも読みきれない。
▼山場続く
実体経済の悪化は続いている。失業率や景況感などの数字は軒並み悪化。自動車大手のGMが大規模リストラを発表するなど、企業レベルでも厳しい動きが相次いでいる。一方、16日発表の米消費者物価は前年比で26年ぶりの上昇を記録。インフレ懸念も一段と大きくなっている。
バーナンキFRB議長は15日の議会証言で、米経済が重大な試練に直面していると述べた。ポールソン財務長官も20日、テレビで経済の危機が続くとの認識を示した。実物経済の悪化→金融機関の経営の一段の悪化→金融システムの不安、などという悪循環のシナリオはいくつもある。
金融危機はまだ一山どころか、いくつも山場がありそうだ。
(2008.7.19)