▼G20の読み方
G20首脳会議は、世界経済回復のための「結束」を強調して閉幕した。しかし、具体的内容にはあいまいな点も多い。ほぼ市場の事前予想に沿った成果だったという印象だ。
▽首脳宣言の内容
首脳宣言のポイントをまとめると、(1)2010年に2%成長への回復を目指す(2)そのためにG20で総額5兆ドルの財政出動(3)ヘッジファンドの規制など金融規制の見直し(4)IMFの財政基盤を3倍に強化(5)保護主義に対応し、2010年まで新たな貿易障壁を作らない、などだ。
ただし中身をよく見ると、かなりあいまいだ。
財政出動の5兆ドルは、各国がこれまでに決定した内要を積み重ねたもの。英Financial
Timesの解説によると、新たなコミットメントはゼロだ。米国が当初主張した、GDPの2%に相当する財政支出は見送られた。
金融規制ではヘッジファンド規制などが盛り込まれたが、ドイツやフランスが求めたより厳密な内要にはならなかった。タックスヘブンの監視についても、あいまいな妥協に落ち着いた。
何より、不良債権の処理など金融システムの再建に対する具体的なシナリオが見えてこない。
▽予想通り
ただ、今回の会議に決定的な対応(Breakthrough)を期待するのは当初から非現実的だったし、市場も関係者も当てにしていなかった。むしろ、金融規制を巡る米欧と独仏の主張の違いなど、利害対立が表に出かねないとの懸念もあった。
その意味では、宣言で「課題克服への政治的結束」を打ち出せたのは、読み筋の中ではまあまあの内容。メディアの評価も比較的好意的で、市場も肯定的に反応した。
▽垣間見させるもの
主要国が集まっただけに、会議には世界の抱える様々な問題が映し出され、注目すべきエピソードもあった。たとえば以下のものだ。
◇反グローバル化デモ
ロンドンなどで大規模名でもが展開された。参加者の主張は経済回復、雇用維持、反温暖化、反原発、反資本主義などてんでんばらばら。しかし、現在の経済・社会システムに対する根本的な疑問を映していたのは共通する。たとえば、アングロサクソン流の金融資本主義がそもそもおかしい、などとする「問題設定の大きな批判」だ。本質をついている部分もある(解があるわけではもちろんない)。
◇中国の存在感の拡大
メディアは「米中のG2時代」という言葉も使った。
◇ポスト経済危機の主導権争い
景気回復に財政出動拡大を主張する米英と、それより金融監督・規制の見直しを優先っさせる独仏は対立した。仏サルコジは、金融規制など意味のあることを協議するのでなければ「退出」すると発言。物議を呼んだ。
背景にあるのは、危機克服後の世界経済システムを巡る主導権争い。米英は多少の修正を加えるにしても、自由市場に基づく経済システムを維持するつもりと読むべきだろう。ここに財政優先がです。これに対し独仏は米英主導システムの見直しを目指している(ブレトン・ウッズの見直しなどというレトリックをつかって)。
主導権争いは、アングロサクソンと独仏にとどまらない。先進国と新興国の対立もある。
その内容も単純ではなく、中国とフランスはタックスヘブンを巡り対立した(中国はタックスヘブンの香港・マカオを抱える)。構図は複雑だ。
2009.4.5