◆2009年展望
2009年が幕を開けた。昨年から引き続き、金融危機後動揺が続く世界経済の行方が焦点。1月に発足する米オバマ政権がどんな政策を打ち出すかも注目の的だ。世界が曲がり角を迎えている中で、次の時代への調整期間となりそうだ。
▼経済危機の行方
世界経済は昨年9月の金融危機以降急速に悪化。米欧日など先進国はすでに景気後退局面入りした。IMFなどの控えめな予測でも、2009年はマイナス成長が続き、世界全体でも不況ラインといわれる3%を割り込む見込み。
金融機関の不良債権処理は、まだ全体の一部分が済んだに過ぎない。次の大手金融機関の経営危機や金融システムの危機がいつ表面化してもおかしくない。焦点を整理すれば次のようなポイントだろう。
(1)次の金融危機はどんな形で表面化するか。その時システムの危機は回避できるか。
(2)実体経済はどこまで悪化するか。いつ上向きに転じるか。
(3)各国の経済対策。中でも米オバマ政権の新・ニューディール政策。
(4)主要国の金融政策。米に続き欧州も実質ゼロ金利政策になるのか。
(5)当面の材料としては、米自動車産業救済。オバマ政権の政策などに注目。
▼オバマ新大統領
後ろ向きな話が多い状況下で、世界にとって最大の期待が米新政権。景気対策では新・ニューディールを打ち出しており、その中身が焦点になる。
外交ではブッシュ政権時代に失った米国の信頼と威信回復が課題で、具体的にはイラク、アフガン政策、国際協調路線の具体的な進め方などが注目だ。
国内では医療・社会保障システムの立て直しなど課題山積。期待が大きいだけに、失望に変わるリスクは伴う。
▼世界的な課題
世界の安全保障にとっては、イラク情勢、アフガンの治安悪化とパキスタン、インドなど南アジア情勢の推移、核拡散問題などが重要課題。経済の悪化→社会不安の増大→テロや政治不安の拡大、というシナリオも現実性がある。
このほか、地球全体的な問題としては、温暖化をはじめとする環境問題が大きなテーマであり続ける。
▼政治日程
今年は重要な政治日程が相次ぐ。大国ではインド(5月まで)、ドイツ(9月)の総選挙があり、イスラエル総選挙(2月)、イラン大統領選(6月)、インドネシア、アフガニスタンの大統領選(年内)の結果は地域情勢に影響を与える。
中国、ロシアの動きは世界を見るうえで欠かせない。
▼次の変化への調整
英Economistが発行するThe World 2009のFlainklin編集長は、2009年を世界の変化への支えとなるべき(bracing)調整の年になると予測する。経済危機への対応では、すでに各国は新たな国際協調の枠組みの模索を始めた。オバマ新大統領の下で、政治面でも新たな調整が始まる。
経済不況で「創造的破壊」が進めば、民間経済でも新たな秩序に向けた動きが始まるだろう。米自動車産業が存亡の危機に直面する一方で、ITや環境、医療などでは急速な技術革新が進展。産業界の秩序は大きく変わろうとしている。民間経済のダイナミズムには、通常の年以上に注目すべきだろう。
▼FTの展望
英Fincnaicl Timesが毎年末に掲載している新年展望の特集は、世界のリーディング・メディアの問題意識と見方を示す。ポイントをまとめれば次の通りだ。
・景気後退は終わるか=米英では終わらない。
・主要中央銀行の金融政策=米国に続いて実質ゼロ金利に近づく。
・銀行の国有化=どこまで進むかは景気後退がどれだけ深刻になるかによる。
・株価の行方=経済回復の兆しがないうちは強い回復は望み薄。
・原油価格=今のままでは年末も1バレル40ドル以下。
・オバマのニューディール=景気刺激にはある程度の効果期待。歴史的遺産になるかは?
・中国の人民元切り上げは=緩やかな調整。
・ジンバブエのムガベ大統領=容易に地位を放さない
・米かイスラエルのイラン攻撃は=ないだろう。
・金正日は地位を維持するか=健康状態は不透明。
2009.1.3