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◆議長不出馬声明とパレスチナ情勢


 パレスチナ自治政府のアッバス議長が5日、来年1月の議長選に出馬しないと発表した。発言の真意については様々な憶測が流れているが、改めて印象付けるのがパレスチナ情勢の行き詰まりだ。

 パレスチナ内では穏健派とハマス主導の過激派が対立。ヨルダン川西岸は穏健派が支配する一方、ガザ地区はハマスが支配し、分裂状態にある。そうした中で同議長は、穏健派の中心の存在。

 米国など国際社会はハマスの台頭を抑える狙いもあり、一貫してアッバス議長を支援してきた。議長が不出馬となれば国際社会はパレスチナ問題関与の重要な窓口を失い、影響は甚大だ。

▽協議難航

 パレスチナ和平交渉に向けた協議は2007年に米国の仲介で再開した。オバマ政権も特使を指名し、和平に前向きに取り組む姿勢を見せている。しかし協議は難航している。イスラエルとパレスチナの対立にパレスチナ内の混迷が加わり、糸口も見出しにくい状況だ。

 そんな状況の中、イスラエルはヨルダン川西岸への入植地建設を継続。支配勢力拡大を既成事実化している。

 オバマ米政権は入植地建設を批判し、イスラエルに圧力をかけてきた。しかし最近微妙にスタンスを変化しつつあるといわれる。「凍結」より後退した「建設制限」を容認する姿勢を示し始めているのだ。背景には、米国内のユダヤ人勢力の影響も指摘される。こうした姿勢にアッバス議長は当然、不信を募らせていた。

 アッバス議長は不出馬の理由として、パレスチナ和平再開への協議の行き詰まりなどを挙げた。しかし額面を素直に受け止める向きは少ない。手詰まりだけでなく、米政策の軌道修正への抗議があるとみる向きもある。

▽中東問題の根底

 パレスチナ問題は中東混乱やイスラム過激派台頭の根底にあるといわれてきた。しかしこのところ、国際社会の関心はアフガンやパキスタン、イラク情勢やイランの核問題に向かいがちで、パレスチナ問題は国際メディアの大見出しからは消えてきた。

 パレスチナに改めて目を向けると、状況の深刻さが浮かび上がる。中東や世界の安保を見る上でも定点観測は欠かせない。


2009.11.7