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◆国連総会・G20首脳会議が映す世界の現状と課題

 国連総会(NY)やG20首脳会議(ピッツバーグ)など一連の国際会議が開かれ、2国回会談も相次いだ。密度の高い首脳外交は、世界の現状と課題を凝縮して映し出した。重要なポイントを整理する。


▼世界の直面する課題: テロ、核、地球温暖化、貧困など

 オバマ大統領の国連総会演説(23日)は、世界が直面する課題を包括的に指摘した。具体的には、▽テロと安全保障(アフガニスタン、パキスタン、イラクなど)▽核拡散防止(NPT、イラン、北朝鮮)▽中東和平▽地球温暖化▽世界経済▽貧困と感染症の広がり▽人権――などを列挙した。


▼世界の枠組み

(1)グローバル統治の枠組み: G7→G20中心に変化、新興国の発言力強化

 経済や安全保障の安定屋発展を目指すグローバル・ガバナンスの枠組みは、国連諸機関(総会のほかIMF・世銀、WTOなど様々な機関)、NATO、EUをはじめとする地域統合機関、G7などで構成されている。このうちG7は70年代以降の世界経済のあり方に影響を与えてきた。

 G20首脳会議の定例化決定で、今後はG7中心→G20中心に変化していく。首脳宣言はG20が「第1のフォーラム」と明記した。

 IMFへの出資金は中国など新興国の比重を高めることを決定。先進国→新興国への権限移譲が徐々に進み、新興国の発言力が強化していることを映した。

(2)超大国米国の外交政策: 国際協調、国連重視へ

 オバマ演説は、米国の外交政策の変化を改めて明確にした。大統領は地球規模の課題について「我々だけでは責任を追い切れない」と単独主義→国際協調への転換を改めて確認した。ブッシュ前政権からの転換を意識し、「1国が他国を支配してはならない」と述べた。安保理首脳会議での議長役、温暖化会議での演説など、国連重視への姿勢も印象付けた。


▼世界経済

(1)世界経済の現状: 最悪期は脱出、出口作戦はまだ

 G20首脳会議は世界経済が最悪期を脱出したという認識を表明した。しかし先行き不透明要因も多く、非常時→平時への出口作戦はなお検討中の段階だ。

(2)経済構造と新ルール: 不均衡是正の方策、金融規制は手探り

 1980年代以上の自由主義重視経済は、金融機関の暴走を許し、金融危機につながった。各国は持続可能な成長を目指し新ルール導入を検討する。しかしすっきりした結論はなお出ない。成長と安定のバランスは難しいし、各国の利害関係が複雑に絡むためだ。

 G20首脳会議は銀行の自己資本強化、金融機関経営者の報酬ルールなどを確認したが、強いインパクトを与えるものではなかった。

 資本主義のパラダイム転換が指摘されるが、中身はまだ見えてこない。このままでは再びバブル発生→新たな危機が繰り返されるという指摘も消えない。

(3)貿易・エネルギー: 保護主義との戦い続く。化石燃料依存経済の転換が課題。

 G20首脳声明は、第1回、第2回に引き続き保護主義への戦いを強調した。各国は自由貿易の重要性を力説するが、金融危機後保護主義的な政策が目につく。WTO新ラウンドの交渉も難航している。保護主義との戦いは続く。

 首脳宣言は化石燃料への補助を段階的に廃止すると宣言。石油などへの依存からの転換を強調した。温暖化防止にとっても重要な課題だ。


▼地球温暖化: COP15の合意は微妙

 地球温暖化防止の首脳級会議は22日、約100カ国の首脳が参加し開催した。12月にデンマークで開催するCOP15(ポスト京都議定書を決定)に向けて政治的な推進力をつける狙いで、各国首脳は決意を表明した。しかし、米欧などから具体的な提案はなかった。COP15については、合意は困難との見方も強い。
英Economist誌はFine words but no specifics.(美辞麗句にあふれたが具体的中身に乏しい)と評した。


▼核問題

 24日の国連安保理首脳会議は、オバマ米大統領の提案した「核なき世界」を目指すことを全会一致で決議。NPT(核拡散防止条約)体制の強化やCTBT(包括的核実験禁止条約)の早期発効、兵器用核分裂物質政策禁止条約(カットオフ条約)の早期交渉入りなどを盛り込んだ。 

(1)核軍縮: 米ロの新軍縮に弾み。その先に課題

 23日の米ロ首脳会談はSTART1に変わる新たな核軍縮条約の年内合意で一致。米ロの核軍縮は当面進展が期待される。しかし中英仏も含んだその先の軍縮はまだ不透明。核保有国の軍縮が進まなければ、NPT体制の強化も覚束ない。NPT未加盟のインドやパキスタンの加盟も課題だ。

(2)核拡散: イランの核開発発覚

 オバマ米大統領、サルコジ仏大統領、ブラウン英首相は25日、緊急共同記者会見を開催。イランが2つ目のウラン濃縮工場を秘密裏に建設していたことを発表し、同国を非難した。イランの核開発が核拡散の脅威であることが改めて明らかになった格好だ。
 これまで「民生用」を主張するイランの立場に理解を示していたロシアも、警告を発した。イランの孤立が強まり、同国核開発問題は新局面を迎える。


▼米ロ関係:改善に

 ロシアのメドベージェフ大統領は23日の米ロ首脳会談で、米国のミサイル防衛(MD)システム東欧配備中止を評価。冷え切っていたロシアと米欧の関係が改善に向けて動き出す。イランの核問題でも協力して取り組む姿勢が従来以上に見える。


▼パレスチナ和平: 推進の糸口見えず

 オバマ大統領の仲介でネタニヤフ・イスラエル首相とアッバス・パレスチナ議長が22日NYで会談。しかしヨルダン川西岸のユダヤ人入植地建設などで対立が続いた。オバマ政権が重視するパレスチナ和平前進は、具体的な話し合いの糸口も見えない状況が続く。


▼貧困・開発: 貧困問題の重要性確認、AIDS対策も世界の重要課題

 オバマ大統領は演説で国連ミレニアム計画に言及。貧困問題の重要性を改めて確認した。AIDSにも触れ、米厚生省はタイで実施したエイズ・ワクチンの臨床実験で初めて効果が認められた(3割)という結果を発表した。日本では取り上げられることが少ないが、貧困や感染症は世界にとっての重要なアジェンダだ。


▼リーダーたち

 最も目立ったのは当然ながらオバマ米大統領。世界が同大統領中心に動いていることを改めて感じさせた。
 その他の主役は胡錦涛中国首席、メドベージェフ・ロシア大統領、サルコジ仏大統領、ブラウン英首相、ルラ・ブラジル大統領などおなじみの顔。しかし話題性という面では、リビアのカダフィ大佐やイランのアハマディネジャド大統領に注目が集まった。
 カダフィ大佐は国連総会初出席。23日の演説は15分の規定を無視して延々1時間36分語り続け、安保理を国連憲章違反と批判した(常任理事国の拒否権を批判)。国際的孤立を脱した後もなお独自の存在感を見せつけた。
 アハマディネジャド大統領はイスラエルを批判。しかし新たな核施設建設発覚のためか、25日に予定していた記者会見を取りやめた。


▼抗議活動: 反グローバル化など。メインストリームの改革案とは噛み合わず。

 重要な国際会議の際には、反グローバル化などのデモが繰り広げられるのが近年の常。今回もデモなどの抗議活動が展開された。オバマ大統領は市場を否定するのではなく、健全に機能させるために規制などで取り組んでいると主張したが、抗議参加者とは噛み合わない。


2009.9.27