『遠山の金さん』が1.5倍楽しくなるQ&A集


 
 ここは『遠山の金さん』をより楽しむために、多くの人々が抱く素朴な疑問をQ&Aで適当におもしろおかしく解説することで、
『遠山の金さん』の醍醐味・面白さを理解していただこうというコーナーです。
これを読むことで、『遠山の金さん』が今までより最低でも1.5倍楽しめること請け合いです。
『遠山の金さん』を知らない方、ファンでない方はもちろんのこと、ファンの方もぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか?
なお、解答、解説には史実に基づいた根拠は全くなく、単なる私の想像によるものですので、あらかじめご了承ください。
 

 

 1.

Q.どうして悪党共や被害者の女達は、お奉行様が金さんだということに気付かないの?
 
  A.天然だから。
 
 【解 説】
おそらく100人中99人が抱く疑問でしょう。
別に金さんは素顔を隠しているわけでもなく、単に頭巾を被っているだけなのだから(『遠山の金さんVS女ねずみ』では頭巾すら被らず、素顔をそのまんまさらけ出している)、普通に考えればすぐに気付きそうなものです。
しかし、よく考えてみましょう。舞台は江戸時代なのです。
今の時代と比べると、電気も何もないのです。
当然、街灯なんて気の利いた物があるはずもありません。
つまり、夜は今と比べて非常に暗いため、悪党達には金さんの顔がはっきりとは見えていなかったのです。
もっとも、桜吹雪の刺青はしっかり見えているのだから、顔もちゃんと見えそうなものなんですが……。

 ちなみに、この「素顔をさらしているのに気付かない」というのは、後世に多大なる影響を与え、
それが『セーラームーン』や『Dr.リンにきいてみて!』や『ナースエンジェルりりかSOS』等の変身ヒロインに受け継がれていることは
今や有名な話です。

 


 

 2. Q.金さんは自分で事件を捜査して、犯人を捕まえて裁いてるけど、こんなこと許されるの?
 
  A.ぶっちゃけダメです。
 
 【解 説】
現代の法律ではダメです。
なぜなら、1人の人間が捜査、訴追、裁判全てを行うことは「被告人が有罪であるという」先入観を持ってしまうため、
公平な判断が出来なくなるからです。
それゆえ、現代の法律では「起訴状一本主義」とに基づき、裁判官は初めての裁判(第1回公判期日)までは自分がジャッジする
被告人がどういう罪で起訴されているかも知らされません。
このことからも、金さんのやってることはスタンドプレイも甚だしいと言えるでしょう。

 


 

3. Q.(2において)そういう時代だったと言えばそれまでだけど、誰も異を唱えなかったの?
 
  A.むしろ、みんな楽しんでいた。
 
 【解 説】
役人達にとっては、金さんの裁判は北町のちょっとした名物でした。
以下、お奉行様(=金さん)の噂を聞き、裁判を傍聴したとある役人2人の会話をご紹介いたします。


役人A: 「おい、うちのお奉行様の裁判見たことあるか?」
役人B: 「いや、ないけど」
役人A: 「なんでも、すっごいことになってるらしいぜ」
役人B: 「ええ?でも、裁判ってなんか退屈そうじゃん」
役人A: 「いや、それがそうでもないらしいんよ。この間書記官やってる奴から聞いたんだけど、
「あんな面白いものはない」と言ってたぞ」
役人B: 「マジか?でも、どんな風に面白いんだろ?」
役人A: 「そこまでは教えちゃくれなかったけど、「とにかく一度騙されたと思って見てみろよ」と自信満々で勧めてたぜ」
役人B: 「うーん、そこまで言うってことは、よっぽど面白いんだろうなあ。ちょっと想像つかないけど」
役人A: 「とにかく、今度一緒に見に行ってみようぜ」
役人B: 「そうだな」
   
  ……というように、金さんの裁判は口コミで広まっていくのでした。
そして、実際に傍聴した役人達は瞬く間に虜となります。
   
役人A: 「へえ、奉行所ってこんな風になってんねやなあ」
役人B: 「なんだよ、おまえ初めてだったのかよ?」
役人A: 「まあな。って、あっ、お奉行様が来たで」
役人B: 「あっほんまや。改めて見ると、ごっつ人相悪いなあ」
役人A: 「しっ!始まるで」
役人B: 「うっわー、あの主犯格の奴「滅相もございません」とか言ってるぜ。こんなこと言う奴は間違いなくクロだな」
役人A: 「ああ。いかにも悪人ですって面してるもんなあ」
役人B: 「おっ、証人の女が反論してるぞ」
役人A: 「あっ、でもダメだあ。悪党達に完全に呑まれてるよ」
役人B: 「そうだなあ、証人があれじゃあ、ちょっと厳しいなあ、厳しいよ」
役人A: 「おっ、女がなんか思い出したようだぞ。なに?遊び人の金さん?」
役人B: 「なんだよそりゃ、そんな胡散臭い奴が証言したところで、誰が信じるってんだよ」
役人A: 「まったくだ。ほら、悪党達もふざけて金さんコールはじめたし」
役人B: 「こりゃあ、証拠不十分であいつらも釈放だな」
役人A: 「あれっ?なんかお奉行様、ものっそい怒ってるぞ」
役人B: 「へえ。やっぱ怒ったら怖いな」
役人A: 「えっ…なんか脱ぎ始めた?」
役人B: 「ちょっ、待っ…え?刺青?」
役人A: 「………」
役人B: 「………」
B: 「工エエェェ(´д`)ェェエエ工工」
   
役人A: 「え?どういうこと?お奉行様が遊び人の金さん?」
役人B: 「なんなんだよ、この超展開は!」
役人A: 「まったくだ。いったいなにやってんだよ、あの人は」
役人B: 「そういや奉行所の奴らが以前ぼやいてたな。お奉行様はいつも突然いなくなるって」
役人A: 「遊び人の金さんをやってたんやなあ。仕事ホッポリ出して。ほんまええ身分ですこと」
役人B: 「ちょっと待てよ。すると、お奉行様は最初からあいつらのこと全部知ってたってことになるよな?」
役人A: 「そうだよ…なあ」
役人B: 「知っていてわざわざこんな茶番をやったと言うわけか?」
役人A: 「うっわー、きっついなー。」
役人B: 「でも、それに気付かないあいつらも相当アホなんじゃないか?」
役人A: 「言えてる。見てみんしゃい、あの顔」
役人B: 「お奉行様が金さんということに気付かず、あれだけ必死で嘘八百言ってたんだから、笑えるよね〜」
役人A: 「まったくだ。こんな晒し者にされたんじゃ、もうこの町にはいられねえな。まあ、どうせ打ち首だろうけどな」
役人B: 「おっ、判決が出るぞ」
役人A: 「あはは、やっぱ打ち首獄門だってよ」
役人B: 「他の奴らは遠島か。でも、オレだったら自害するね。あんな生き恥さらしてまで生きたくねえもんな」
役人A: 「まったくだ」
役人B: 「あっ、なんか主犯がお奉行に飛びかかっていったぞ」
B: 「あああっ!」
役人A: 「あっさり返り討ちかよ。お奉行様強ぇえ!」
役人B: 「やるねえ、さすがお奉行様」
   
   
役人A: 「いやあ、今日はほんと楽しかったなあ」
役人B: 「ああ、ええもん見せてもらったな」
役人A: 「ああ、オレも奉行所で働きてえ〜」
役人B: 「異動願いでも出すか」

役人A:

「ああそうだな。明日早速上司に相談してみるよ」
   
 

 こうして、金さんの正義の心を受け継いだ勇士が今日も誕生したのでした…。

   
   


 


 

4. Q.役人達の間ではお奉行様が遊び人の金さんだということはバレバレなんじゃないの?
 
  A.バレバレです。
 
 【解 説】
3でも述べたように、金さんの裁判はもはや北町の名物となっていたため、毎回傍聴希望の役人が後を絶たなかったとか。
ただ、あまりに騒ぎが大きくなり始めたため、情報漏えいを防ぐ意味で傍聴は一切禁止となり、またお奉行が金さんであるということも最大のタブーとなり、他言した者は厳罰に処せられたと言います。
まあ、それだけ周囲の役人達にとっては見え見えのバレバレだったわけですが。

 


 

5. Q.お奉行様が遊び人の金さんとして活動してる時は勤務時間になるの?
 
  A.なります。
 
 【解 説】
さすがにこの件は物議を醸し出しました。
お奉行様が遊び人の金さんとして事件の捜査を行うことは、八百屋が大工の仕事をするようなものであり、畑違いも甚だしいからです。
とは言え、実際にはお奉行様のおかげで犯罪者の検挙率が上がってるわけなので、結局は誰も文句を言えなかったのです。

 


 

6. Q.お奉行様がいつも犯罪者を捕まえるので、捕り方の人達は肩身が狭かったのでは?
 
  A.狭かったです。
 
 【解 説】
周知の通り、彼らはいつも金さんが悪党を倒した後にかけつけて来るため、労せずして犯人逮捕を果たせるわけです。
しかし、その後の裁判で、お奉行様が犯人逮捕に大いに関与していたことが発覚してしまうため、陰では「捕り方はいったい何をしてるんだ?」との批判が強まってしまいました。
そこで捕り方の方々は「金さんに鈴を付けよう」と試みたのですが、結局は誰も成し遂げることが出来なかったそうです。
また、直にお奉行様に「遊び人の金さんになること」を控えるように遠回しに申し出た人もいたそうですが、お奉行様は笑いながら、
「なんの事を言ってるのか分からんが、ただ1つ言える事は、ワシの目の黒い内はどんな悪ものさばらせんぞ!」と言ったそうです。

 


 

7. Q.被害者や証人がお奉行様が金さんであることを口外することはなかったの?
 
  A.一応口止めされた上、監視がつきました。
 
 【解 説】
金さんがお奉行様であることを知る人は実はかなりいます。
事件の当事者である悪党達はもちろんのこと、その被害者及び証人、そして裁判に立ち会った警護や書記官のような役人達。
悪党達はすべからく打ち首獄門、終生遠島の判決が下されるため、彼らからこの機密が漏れることはありません。
漏れるとしたら、やはり役人達、そして事件の被害者や証人達からでしょう。
しかし、前項でも述べたように、役人達の間ではこの機密事項は最大のタブーとなったため、役人間の間ではバレバレではあるものの、役人以外の民間人等に広まることはありませんでした。
そうなると、一番外部に漏れる危険性があったのが被害者や証人達。
例え、金さんによって救われたとは言え、このような重大な秘密を知ってしまった以上、人に話したくなるのが人情と言うものです。
そこで、お奉行様=遊び人の金さんという秘密を知ってしまった事件の被害者や証人達には、口外しないことを誓約させられた上、
監視がついたと言われています。
とは言え、もし、口外したところで誰も信じないどころか、単に「イタイ人」と思われるのが関の山なので、実際は誰も口外しなかったそうなのですが。

 


 

8. Q.ズバリ、金さんってどんな人?
 
  A.以下をご参照ください。
 
 【解 説】
金さんの裁判を20年もの間見てきたという、ベテラン書記官が語る「金さんの素顔」。
金さんの全てがこれで分かる!?

――― 

はじめまして。今日はインタビューを受けて下さってありがとうございます。

書記官C:

こちらこそよろしくお願いします。

――― 

早速なんですが、書記官をなされて何年になるんですか?

書記官C:

かれこれ20年近くなりますか。

――― 

そんなに長いんですか。するともう、大ベテランですね。

書記官C:

いえいえ、そんな大層なものじゃあないですよ。ただ長くやってるだけというだけで。

――― 

いやいや大したものですよ。
特に、書記官ともなると、途中でやめたり異動させられたりする方が多いと聞きますからね。
それで20年も続けられるなんて相当なものですよ。

書記官C:

ありがとうございます。
幸い、金さん…いえ、お奉行様にもお気に召していただきまして。それでこうして今も任されてるわけでして。

――― 

金さん…いえ、お奉行様のお墨付きと言う訳ですか。凄いですねえ。
すると、我々が知らないお奉行様の素顔とかも、随分知ってらっしゃるんじゃないですか?

書記官C:

まあ、確かに。

――― 

楽しみですね。これから金さんの素顔が暴かれるかと思うと。

書記官C:

暴くだなんて、そんな言い方はやめて下さいよ。

――― 

失礼致しました。ほんとに、答えられる範囲で結構ですので。
   
 

中略

   

――― 

書記官になるにはどうしたら良いのですか。

書記官C:

そうですね〜。形式的なことを言えば、筆記試験と実技試験に面接3回と言ったところですか。

――― 

面接が3回とは、また多いですね。

書記官C:

それだけ人間性が重視されるんですよ。
書記官になりたがる人はほんとに後を絶たないくらいに多いのですが、その大半が金…お奉行様の裁判を
直に見たいという不純な動機によるものですからね。

――― 

なるほど。
後、秘密を遵守できるかという意味合いも強いわけですね。

書記官C:

その通りです。
後、身辺調査も行われますね。
そして「この人は信用がおける」と評価された人のみが書記官になれるわけです。

――― 

まさに「選ばれし者」ですね。

書記官C:

いえいえ、そんな大層なものではありませんよ。
むしろ、書記官になってからが大変なんですから。

――― 

Cさんが最初に書記官として一番苦労したことはなんですか。

書記官C:

そうですねえ、まず例の裁判を初めて受け持った時はほんとにびっくりしましたね。

――― 

でしょうね(笑)。

書記官C:

もう、一体なにが起こってるんだ?といった感じで。
いきなり、被害者の女性が
「金さんを呼んでください」と言うでしょう?
しかし、調書等には「金さん」なんて人物のこと一切書かれてないんですよ。
それで「この人は何を言ってるんだろう?」と思ってると、被告人達も
「金さんを出せ〜」と騒ぎ立てるし。
挙句の果てに、その金さんがお奉行様だったと言うんだから、もう呆然としてましたよ。

――― 

お気持ちお察しします。

書記官C:

当然、仕事なんて手につくわけもありません。
それで、ほとんどな〜んにも書いてないものだから、後でこっぴどく怒られたりして。

――― 

災難でしたね〜。
でも、最初に教えられたりはしなかったんですか?
引継ぎとかあるべきだと思うんですけど。

書記官C:

それがですね〜先輩方もただ一言「びっくりするで」と言うだけでな〜んにも教えてくれなかったんですよ。
私も裁判の時は無我夢中だっんで、後になって「ああ、このことだったんだ」って気付くという有様で(笑)。

――― 

みんなして人が悪いですよね〜。
まあ、気持ちは分かりますが。
でも、その時はやっぱりお奉行様にも怒られたんですか?

書記官C:

いや、それが意外にも笑ってましたね。
「これからも続くからよろしく頼むぞ」とおっしゃって。
もちろん、私は「今日のようなことが続くのかよ〜」と思いましたけど。

――― 

でも、内心は「面白そうだ」とか思われてたんじゃないですか?

書記官C:

まあ、本音はそうなんですけどね。

――― 

でしょうねえ。

書記官C:

しかし、そう簡単に「面白い」で済まされるものではなかったんですよ。

――― 

それはやっぱり、お奉行様の言動に気を取られて仕事が手につかないとか、そういった理由ですか。

書記官C:

それもあるんですけど、やっぱり一番辛いのが笑いをこらえることですね。

――― 

もし笑ったりしたら……。

書記官C:

絶対ダメですよ!

――― 

クスッ…と笑う程度でもですか?

書記官C:

絶対ダメです!打ち首獄門です。

――― 

ええっ!たったそれだけで?それは結構キツイですね。

書記官C:

まあ、打ち首獄門ってのは冗談ですけどね。
ただ、私の先輩に、やっぱり堪え切れなくて笑った方がいたんですけど、次の日いなくなってましたからね。

――― 

えっ!それは怖いですね。
その先輩はどうなったんですか?

書記官C:

後で聞いた話では、島流しにあったとのことでした。

――― 

しかし、笑ったくらいでそこまでやるなんて、お奉行様も大人げないですね。

書記官C:

まあ、傍から見てると伊達や酔狂でやってるように見えますけど、当のご本人は大真面目ですからね。
だから、笑われることが我慢ならないのでしょう。

――― 

なるほど。
お奉行様はかなりの熱血漢というわけですね。

書記官C:

ええ、その通りです。

――― 

話を戻しますが、それではどうやって笑わないようにしてたのですか?

書記官C:

簡単な方法ですよ。
机の下で腿や腹や腕をつねったりして、笑うのをこらえていました。

――― 

シンプルでありふれてますけど、それでもやっぱ辛いことには変わりはないですね。

書記官C:

ええ。そんな風だから、もう家に帰ると体のあちこちがあざだらけで、妻がびっくりしたりして。

――― 

なんで書記官がそんなあざだらけになるんだ?って話ですよね。

書記官C:

ええ。でも、機密事項に触れるから妻には真実を話せないでしょ?
それで適当な話をでっちあげるんですけど、当然、妻もすんなりとは信じなくてですね〜。
ある日、虐待を受けてるんじゃないか?と奉行所に押しかけて来たこともありましたね。

――― 

いい奥さんじゃないですか。羨ましいですよ。

書記官C:

ありがとうございます。
でも、その時は生きた心地がしませんでしたよ。
「ああ、これでオレの書記官生命も終わったなあ」って。
でも、お奉行様は寛大にも「奥さんを大切にしろよ」と言って下さるだけで事なきを得ましたけど。

――― 

いい話じゃないですか。

書記官C:

ええ。
ただ、今度はお奉行様に「ところで、おまえのその体のあざはどうしたんだ?」と問い詰められましてね。
これも誤魔化すのに一苦労でしたよ。

――― 

あっ、やっぱり自分が原因だということはに気付いていなかったんですね(笑)。

書記官C:

はい。
でも、まさか「裁判の時に笑いをこらえるためつねってたんです」って言える訳もないし。

――― 

それでCさんは何と言ったんですか?

書記官C:

体を鍛えていると言いました。
お奉行様が裁きを申し渡した時、よく被告人が逆上してお奉行様に襲い掛かってくるじゃないですか。
そういう、いざと言う時にお奉行様を守れるようににと。

――― 

中々良いじゃないですか。
お奉行様も納得されたことでしょう。

書記官C:

ええ。
でも、「気持ちは嬉しいが、おまえが心配するようなことではない」と言われました。

――― 

そう言えばいつも思うんですが、被告人がお奉行様に飛びかかって行った時の周囲の役人達は醒めてますね。

書記官C:

そうですね。
でも、最初はやっぱり皆びっくりしたみたいですよ。
まあ、私もそうなんですけど。
しかし、直にお奉行様の強さを見せられることで皆安心したんでしょうね。
「これは守るどころか助太刀する必要もないな」と。
今となっては、誰も動きませんからね。
中には今日の被告が何秒もつか?で、賭ける人もいるくらいですよ。

――― 

なんか凄い話ですね。
でも、これで万一のことがあったら責任を問われるんじゃないですか?

書記官C:

かもしれませんね。
もっとも、お奉行様は常々「手出し無用」ともおっしゃってるから何とも言えませんが。

――― 

それをまるっきり信じて良いものかどうかも微妙なところですね。

書記官C:

まあ、お奉行様に限って、後で「なんで助けてくれなかったんだ?」と泣き言を言うとも思えませんけどね。
ただ、お奉行様が良くても他のお偉いさん方がなんと言うかはほんとに微妙なところです。
   
 

中略

   

――― 

お奉行様に怒られたことってありますか?
もしくはCさんの失敗談とかあればお聞きしたいんですが。

書記官C:

うーん、まあ、失敗はちょこちょことありますが、怒られたことと言うのはあんまりないですね。
基本的にお奉行様は怒鳴りつけたり小言を言ったりするような方ではありませんから。
皆さんがイメージされているものより、もっと大らかで寛容な方だと思いますよ。

――― 

それはひょっとすると、Cさんに対してだけじゃないんですか?

書記官C:

いやいや、誰に対しても同じですよ。
もっとも、悪党には情け容赦ないですけど。

――― 

なるほど。
すると、お奉行様にとっては悪と笑われることが最大のタブーなわけですね?

書記官C:

そうです。
ただ、気をつけなければならないことがもう1つありまして、それがお奉行様の機嫌です。

――― 

それは機嫌が良い時と悪い時では全く別人ということですか?

書記官C:

うーん、まあ、それほど豹変するという程のものでもないんですけどね。
ただ、私も一度裁判中、笑いをこらえきれなくなったことがありましてね。

――― 

えっ!笑ったんですか?

書記官C:

いえ、寸前でもちこたえました。
しかし、肩がワナワナと震えていたので、見た人にはバレバレだったと思います。

――― 

お奉行様も気付かれたんですか?

書記官C:

ええ。
やはりあの方はなんでもお見通しで、あとで「肩が震えてたぞ」と笑われました。

――― 

怖いですね。
裁判中のことでしょ?
後を振り返ったりとか全然しませんよね?
それでどうやって分かったんでしょうね?

書記官C:

皆目見当がつきませんね。
ほんとに後に目があるとしか思えません。

――― 

でも、お咎めなしで良かったじゃありませんか。

書記官C:

その時はそうだったんですけど、一度運悪くお奉行様の機嫌の悪い時にまたやってしまったんですね。

――― 

ええっ!大丈夫だったんですか?

書記官C:

ええ、まあなんとか。
「しゃきっとせえ!!」と怒鳴られましたけど。

――― 

その時の心境はどうでした?

書記官C:

いやまあ、びっくりしましたね。
お奉行様に怒鳴られるのも初めてのことでしたからね。
後は「このくらいで済んでよかったな」という安堵感ですか。

――― 

まさに貴重な体験というわけですね。

書記官C:

そうですね。
それに、2度も笑って飛ばされなかったのは私だけなんですよ。

――― 

それはやっぱり、Cさんがお奉行様に目をかけられてるってことじゃないですか。

書記官C:

だと嬉しいですね。

――― 

今日はたくさんの貴重なお話をありがとうございました。
   
   
   
   



 


 

 
 いかがでしたでしょうか?
ここを最後まで読んで下さった方は『遠山の金さん』に対してのイメージがかなり激変したのではないでしょうか?
ここを読んで下さった方が、1人でも多く『遠山の金さん』に興味を持ち、その楽しさを理解していただけたら幸いです。
 

 


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