9 テニスの王子様
| はじめに |
| さて、今回のテーマは『テニスの王子様』です。 今更この作品について説明する必要もないでしょう。 現在週刊少年ジャンプで好評連載中であり、当然のごとくアニメ化もされ、また最近では、作者の許斐先生が長者番付にランクインするなど、まさに人気沸騰中の痛快テニス(ギャグ)漫画です(笑)。 そして、当HPを御覧になられた方はお分かりかと思いますが、私は少年ジャンプの感想を書いているため、この作品について何かと触れることも多いわけでして、今回は今まで散々つっこみを入れていた「なんでこいつら対戦相手のことまったく知らないんだよ」という疑問を真面目に考察しつつ、またフォローしようじゃないかという趣旨で、話を進めていきます。 多少長くなっておりますが、ファンはもちろんのこと、ファンでない方も含めて、 「なるほど、そうだったのか〜」と納得されること請け合いですので(すんません、多分そんなことないです)、興味のある方はぜひ読んでみて下さい。 なお、つっこみや面白さを期待している方には、大して面白くないかもしれませんので、予めご了承下さいませ。 |
| 1.日本に舞い降りた親子鷹 |
| 意外に忘れがちですが、リョーマは帰国子女です。 第1話を読めばそれは一目瞭然なのですが、それによると、日本に来る前はアメリカに在住しており、そこで16歳以下の大会で負けなしという脅威の戦績を誇っています。 しかし、それなのになぜわざわざ日本にやって来たのでしょうか? どう考えても、プロを目指すのであれば日本よりもアメリカで頑張っていた方が環境的にも遥かに良いはずです。 実際に、青学テニス部の部長であり、全国区プレイヤーでもある手塚は、 プロを目指すべく留学を勧められたりしているのですから。 父親の仕事の関係で…というのなら多少は理解できますが、ご存知の通り、 リョーマの父、越前南次郎はかつて前途有望ながらも、不慮の事故で再起不能となり、引退を余儀なくされた元プロテニスプレイヤーだったものの、 今では生臭坊主と化しており、まったく仕事をしているとは思えません。 つまり、父親の仕事の都合で…と言うのはまったく当てはまらないのです。 では、どうして彼ら越前親子は日本にやって来たのでしょうか? 今のところ彼らの口から直接語られてはいませんが、南次郎が今まで直接リョーマにテニスの稽古をつけていたこと、そしてリョーマ自身テニスを続けていることを考えれば、やはり行く行くはプロになるという将来のビジョンが多少なりともあるはずです。 となると、プロになるための1つのステップ、通過点として敢えて日本にやって来たと考えるのが妥当ではないでしょうか? その証拠に、南次郎はリョーマをかつて自分の恩師だった竜崎スミレがテニス部顧問を勤める青学に入学させています。 ご存知の通り、青学と同等もしくは強い中学は他にあるにも関わらず、わざわざ青学を選んでいるのです。 そうすると、これはもう、青学テニス部…と言うよりは、竜崎スミレのコーチング、育成法にプロになるための必要な何かがあるとしか思えません。 はたして、竜崎先生の育成法にはどんな秘密が隠されているのでしょうか? 今回は青学の強さの秘密と共に、この謎に迫って行きたいと思います。 |
| 2.青学テニス部は強豪? |
| 青春学園…。そこは関東ではそこそこ名の通ったテニスの強豪校…と言っても決して言い過ぎてはないでしょう。 全国区プレーヤーである、部長の手塚国光、天才と称される不二周助、黄金ペアと呼ばれる、大石&菊丸、データテニスの乾、ダンクスマッシュの使い手、桃城、 スネイク(=バギーホイップショット)の使い手、海堂…等、個性豊かなタレント揃いであり、確かに強豪と称されるには十分かと思われます。 とは言え、確かに強豪校ではあるものの、決して全国大会の常連と言うわけでもなく、また、Cランクと評価されているように(最近発覚した。が、誰が評価しているのかは不明。ちなみに、最強を誇る立海大はAAA)、立海大、氷帝、六角等の名だたる強豪校の中では若干見劣りするというのも否めません{少なくとも今まではそうだったらしい。今までの試合を見てる限りではとてもそう思えないが(笑)}。 そうすると、関東や全国を視野に入れた上で総合的に判断するならば、青学の強さと言うのは、大体中の上と言ったところではないでしょうか? これでは、ますます、なぜ南次郎がリョーマをこんな学校に入学させたのか分かりません。 もはや竜崎先生は年老いてしまい、南次郎の知る竜崎スミレではなくなってしまったのでしょうか? いやいやいや、そんなはずはありません。 もし彼女が勝つテニスにこだわったなら、今以上の結果を出すことなど造作もなく出来るはずです。 例えば、データテニスの乾に対戦相手のデータを詳細に集めさせ、その攻略法及びそのための練習メニューを与えていけば良いわけですから。 かつて、青学が戦った相手にルドルフ学園というところがありましたが、そこのコーチ兼選手である観月はその手法で青学を苦しめました。 彼と同等のデータ収集能力を持つ乾ならば、決して不可能なことではないはずです。 しかし、実際にはそんなことまったくと言って良いほどやってません。 おまけに、これは私が今まで散々言ってきたことですが、青学の連中と来たら、自分らの対戦相手のことすら全然知りません(乾だけは知っている)。 過去、立海大、氷帝、六角とは何度か対戦したことがあると、作品中はっきりと述べられているにも関わらずです。 これはどういうことでしょうか? 作者の設定の甘さと言ってしまえばそれまでですが、ここはひとつ、これは竜崎先生の育成方針の一環と捉え、次にこの点について日本のプロスポーツ及びスポーツ選手の育成法を例にあげ、考察していきたいと思います。 |
| 3.日本のプロスポーツはなぜ弱い? |
| ご存知の通り、日本のプロスポーツと言うものは、世界的に見て全体的にさほど強くありません。 しかしながら、最近のサッカーのワールドユースを例に取ると、プロとは大違いで素晴らしい成果をあげています。 ここまで言えば、お気づきの方もいらっしゃるとは思いますが、そうです。 日本は決して他の国に比べて身体能力が劣っているわけでも、スポーツが弱いわけでもなく、むしろ、ユースまでは極めてレベルが高いとさえ言えるのです。 それがプロになるとなぜか弱体化して勝てなくなる…。 その原因は色々考えられるのですが、その1つに日本の育成法があげられます。 プロのスポーツ選手にとって勝敗を左右する局面で、勝つために最も必要とされるものはと言うと、土壇場で誰も想像もつかないプレーを思いつく、インスピレーションやイマジネーションだそうです。 もちろん、日々の鍛錬に裏付けられた基本的な能力の高さや、それを十二分に発揮できるかどうか等も多少はありますが、同じプロならば、それも似たり寄ったりであり、そんな均衡状態を最終的に崩すのは、先程述べたように、とっさに誰も思いつかないようなプレーを思いつき実行することなのだそうです。 (具体的な例をあげると、いつの大会かは忘れましたが、サッカーのW杯でマラドーナか5人抜きドリブルをキメたことがこれに当てはまるかと思います)。 日本がそれなりに善戦できるのに、あと一歩と言うところで勝利を逃すのは、 まさにこれらの能力が欠如しているからだと言えます。 では、どうして日本人にはこれらの能力が欠如してるのでしょうか? 答えは簡単。先程もちょっと述べたように、日本の育成方針に問題があるからです。 例えば、リトルリーグのチームが親善慈愛等でアメリカのリトルリーグと試合をした場合、結構大差で勝つことが多いそうです。 その理由はと言うと、日本はランナーが出たら、送りバント、ランナーが3塁にいるならスクイズ、と言った堅実的な手堅い野球をするのに対し、アメリカの方は、そんなことはまったくと言って良いほどやらず、普通に打って、普通に投げて、守って、伸び伸びとプレーしているからだそうです。 つまり、日本は色々と基礎やセオリーを子供の頃から叩き込むのに対し、アメリカでは子供の頃は伸び伸びとしたプレーをさせ、まずはその子供の個性や才能を伸ばすことに重点を置いてると言えます。 もっと分かり易く言うならば、日本は「ああしなさい」、「こうしなさい」と子供に色々押し付け型にはめてしまうため、その子が持つ本来の才能が開花されないばかりか、自分で考えるということすら出来なくなってしまうのです。 こうして育っていったスポーツ選手は確かにそれなりのレベルには達しているものの、前述したように、既成概念の枠を飛び出すことが出来ないため、小さくまとまってしまい、どうしてもここぞという時に勝てなくなるのです。 長くなりましたが、ここらで本題である青学と竜崎先生の育成方針について話を戻しましょう。 先程も述べたように、ただ勝つのが目的であるならば、乾のデータを基に、その対戦相手に勝つためだけの練習をすれば良いわけですが、そんな練習法を繰り返していて、本当に強くなることなどできるでしょうか? 答えは考えるまでもなくNOです。 攻略本を読むことでしかクリアしていなかった人が、決して自力でRPGを解けないように(ってこたぁないかな?)、こんなやり方を取っていては、自分のスタイルを見失う上に、自分で考えることも出来なくなってしまいます。 しかし、現実には青学の面々はこのような練習は一切しておらず、練習には自主的に取り組み、自分で考え、自分の長所を伸ばすことに余念がありません。 そして、本番の試合でも最後まで決して諦めることなく、自分で考え、自分の持ち味を十二分に発揮し、勝利をおさめています。 テニスはなんと言っても、メンタル面が大きく左右するスポーツですから、 データに頼った試合運びをすることは確かに効率が良く楽ではあるものの、 これでは勝負強さや粘り強さが育ちません。 乾が対戦相手のデータを取っていても、必要以上に教えない(って言うか不必要なものばかり言ってる)のは、案外竜崎先生の指示であり、各個人試合の中で自分で考え悩み、勝機を掴み取ることを学ばせるためなのではないでしょうか? そう考えると、竜崎先生の育成法は、日本人に欠如しているインスピレーションやイマジネーションを日々の練習や本番の試合で培わせるという、極めて斬新かつ画期的なものだと言えます。 そして、驚くべきことに、その育成法で多大な成果をあげています。 例をあげるなら、リョーマのドライブB、桃城のジャックナイフ。 これらの技は、なんと、ご存知の通り試合中に開発されたものです。 他にも試合中というのを除けば、タカさんの波動球、菊丸の分身の術(笑)も彼らが自分自身で考え会得したという点では、成果のひとつとしてカウントしても良いでしょう(波動球は元々他人の技だが)。 つまり、青学テニス部は日本のスポーツ選手に欠けている、インスピレーション、イマジネーションを育む、竜崎先生の指導法の具現者であり、体現者であるわけです。 そして、これこそがまさに青学の強さの秘密でもあるのです。 |
| 最後に… | ||||||||
| 以上のことを踏まえますと、確かに青学は強豪校と言われるには十分であるものの、それ以上でもそれ以下でもない、並の強豪校に過ぎません。 しかしながら、長期的視野で見た場合、将来的にプロとして成功するのは青学テニス部出身者が圧倒的に多いのではないでしょうか? 残念なことに、竜崎先生の教え子でプロになった人がいる等という話は今のところまったくないので、この点についてはなんとも言えません。 ゆえに、それを判断するには今後の青学の戦い振りを見るしかないのです。 そして、彼らの戦いはまだまだ続きます。 既に全国大会出場はキメたものの、関東大会決勝でついに、因縁浅からぬあの立海大と対戦します。 この最強を誇る立海大に、青学は手塚抜きでどう立ち向かうのでしょうか? なかなか興味深くはありますが、この試合で勝つにしろ負けるにしろ、その先には全国大会が控えています。 そして、全国大会ではまだ見ぬ強敵達が青学を待ち受けていることでしょう。 まさに、青学の戦いはまだまだ始まったばかり。 当然、青学はそんな全国の強豪を前にしても、彼らのことをな〜んにも知らないに違いありません(笑)。 ただ、乾だけはいつも通り「あいつはなんたらかんたら…」と講釈たれ、私は「なんでおまえら対戦相手のこと何も知らないんだよ!」とつっこむことでしょう(笑)。 しかし、それでも青学は今までのように苦戦しつつも、なんとか勝ち進んで行けるだろうし、例え敗北するにしても、それを糧としさらなる精進を重ねていくと思われます。 彼らが全国大会でさらにどれだけ成長して行くのか? 青学の今後の活躍と健闘に期待したいものです。
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