吸血幻想


コラム

タイトルにドッキリ

 さて、みなさまはこのタイトルを見た時どう思われたでしょうか?
「嘘つけ!そんなドラマあるか!たいがいにしろ」等と思われたかもしれません。
しかし、これはほんとうにあったんです。
知らない方が多いのも無理ありません。なにしろ、お昼のドラマだったのだから。
私もはじめて見た時はびっくりしました。
「なんちゅうタイトルだ」、それがまず第一印象でした。
そして、どうせろくでもないしょーもないドラマだろうとたかをくくって見たところ、
ほんとにしょーもない話でした(笑)。
どのくらいしょーもないか、かいつまんで説明致しますと、
ストーリーはタイトルが示すとおり、現代に甦った吸血鬼のお話。
主人公である吸血鬼は普段はごく普通のエリートサラリーマン。
夜になると吸血鬼の本性を表し、女性の生き血を吸うという、これでもか!と言うほどベタベタな日常を送っておりましたが、そんな日々も長く続くはずもなく、1人の刑事に疑いを持たれます。
その上、彼には会社の同僚に好きな女性がいるものの、ハーバード大で共に学んだ仲である、ライバル会社の社長令嬢の強烈なアプローチにうんざりな日々を送っていました。
と、この時点でもう既にダメダメ感が漂っているのですが、ここからがどえらいことになっていきます。
なにしろ、会社の社長である叔父は、その社長令嬢を政略結婚に利用しようとして、彼と結びつけようとしたから、さあ大変。
彼はとうとう、邪魔者であるその令嬢を殺すことを決心し、成功しますが、その現場を刑事に見られてしまいます。
この一件で彼が吸血鬼であると確信した刑事は、これもマヌケな話ですが、神父さんに相談します。
しかし、これで神父VS吸血鬼という超常バトルに発展するのか?と思いきや、これ以後神父が出てくることはありませんでした(なんじゃそりゃ)。
おまけに、刑事は運転手に変装した吸血鬼の待つ車に乗り込み、殺されてしまいます。
いや、殺されるシーンはなかったのですが、これ以後登場しなかったことからすると、殺されたと見るのが妥当でしょう。
(ちなみに、この時の車内で交わされたなにげない世間話、その後運転手の正体に気づき、ドアを開けようとするも開かずに取り乱す刑事、それをニヤリと笑う吸血鬼の1シーンは、なかなか怖いものがありました)
こうして、邪魔者を全て排除した吸血鬼は自分の別荘に、惚れた同僚の女性を招きます。
既にこの時点で相思相愛ではあったのですが、最後には彼が吸血鬼であることを知ってしまい(この辺の経緯はよく覚えてない)、彼を拒絶。
そして、なぜか炎上する別荘で二人は無理心中のような形で死んで行くのでした…。

…と言うのが、大まかなストーリーなのですが…。
こんな、ホラーも、サスペンスも、恋愛も中途半端なドラマを13:30に放送していったい誰が観ていたというのでしょう?
って言うか、
誰をターゲットにしてんねん?
と、例によっていつもの疑問を抱いたので、次にその謎を解き明かしていきたいと思います。


このドラマの存在意義

 前述したように、このドラマの特異性、凄さは既にお分かりいただけたことかと思いますが、実はもうひとつ、このドラマには凄いところがありました。
それは、吸血鬼を演じているのがなんと!
京本政樹氏だったということです。
京本政樹と言えば、聞いてて恥ずかしくなるようなキザなセリフでも、なんの違和感もなく言えてしまう、芸能界でも屈指の伊達男として有名です。
そんな大物俳優である彼が、なぜこんな仕事を引き受けたのでしょうか?
別に売れてないというわけでもなかったでしょうに。
軽い小遣い稼ぎ程度に引き受けたのでしょうか?
しかし、それにしても、京本氏ほどのベテラン男優がやる仕事ではないはず。
(もっとも、イメージ的にハマリ役と言えなくもないが)。
タレントや俳優がどのように仕事を受けるのか詳しくは知りませんが、まずはマネージャーが「こういう仕事がありますけど、どうですか?」と持ちこんでくるはずです。その時点で、「うっそ〜ん」と思わなかったのでしょうか。
考えられるのは、彼自身が望んでやったか、もしくは口車に乗せられたか…。
前者の方は…うーん、可能性は低いと思われるが、あの人ならあるいは…とも思えますが、もしそうだとしたら、他人がとやかく言うことでもないので、ここは後者について考えていきたいと思います。

普通ならば!こんな役大物俳優は引き受けないでしょう。
ならばどんな口車に乗せられて引き受けたというのか?
ヒントはお昼の時間帯にあります。
この時間帯、テレビを観られるのは、暇な大学生、職についていない人、ご老人、そして
主婦…。
もう、お分かりでしょう。
彼の力量からすれば、主婦を虜にすることくらいたやすいはず…。
「この役引き受ければ、全国の主婦のハートをがっちり射止められますよ」
「『ああっ、私も京本様に血吸われた〜い』、って主婦が増殖しまっせ」
「よっ、このマダムキラー」

等と言われたのではないでしょうか? 
アホか?

 次に、今度はちょっと真面目に考察したいと思います。
そもそも、このドラマが放送されていた頃は、ちょっとした吸血鬼ブームであり、
ヴァンパイア関連の映画もこの時期多かったように記憶しています。
つまり、ブームに乗っかったということは明白。
さらには、このドラマが放送されていたのはちょうど夏休みの頃であり、
『あなたの知らない世界』のような、怪談話が特集で組まれる時期でもあったわけです。
当然、子供の目に触れることも十二分にあったわけであり、むしろ子供ウケを狙って吸血幻想というタイトルをつけたのではないでしょうか?

 以上のことを考えると、ドラマ
『吸血幻想』は、まずタイトルで子供の興味を引き、そして京本政樹で主婦のハートをがっちりつかむという、実に理にかなった2段構えの手法を取っていたように思えます。
とは言っても、視聴率がどれくらい取れてたのかまでは知りませんが、私のような暇な高校生(当時はそうだった)がネタで観ていたこと、そして、そんな学生がおそらく他にもいたであろうことを考慮すると、意外に成功していたのかもしれません。
もっとも、真実は分かりませんが…。

 


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