海外事情

1.英国でのグライダー曲技事情

 以下英国Lasham滑空場General ManagerのJohn Gilbert氏の話を伺った話を紹介します。

 1957年に最初のグライダー曲技のNational Contestが行われ、飛行内容は2000ft程度からシャンンデル、ループ等を行い、あとは500ftまで自由演技をして、定置点着陸を行うというものであった。その後中断があったが、1992年から新たに曲技競技会が催されるようになった。BGAは1993年よりBAeA(British Aerobatic Association)が協賛し、現在では年間3つの競技会が開かれている。その内の1つにASK21だけで競われるDan Smith杯がある。1994年より自前のJudge(曲技競技審査員)で行っている。競技会にはおおよそ30名程度が参加し、Unlimitedは4名程度で競われている。
 英国にはFox 2機、Swiftはなく、あとはPilatus,ASK21,G103で曲技飛行を行っている。
 Gilbert氏はかつてBGAの曲技部門のDirectorであり、現在もLasham滑空場で精力的に活動を続けている。彼の活動指針としては @曲技指導書を作る A曲技記章システムを構築する B曲技インストラクターを養成する ことを重点的に進めている。
 Lasham滑空場では年間10回程度、ASK21での2日間の曲技コースが設定されている。緯度も高いこともあり、夏には午後10時まで飛行可能である。概ね4名くらいの受講生と12回/日くらいの曲技飛行をこなす。

<Lasham滑空場での曲技トレーニングシラバス>
 Lasham滑空場ではソアリングも含めて、各パイロットの技量レベルをWhite,Red,Yellow,Blueの4段階に分類。曲技飛行トレーニング開始には最低Red(50hrの飛行時間程度)レーティングが必要で、単独応用曲技飛行にはYellowレーティング(100hr)以上が必要である。
曲技トレーニングにおいては以下のような制限を設けている。
制限荷重 ASK13 0〜3.5G, ASK21,G103 -3G〜+5G (飛行規程よりも厳しい制限)
  最低高度 1500ft  (例外的にCFI,DCFIはこれ以下でも可能)
パイロットのカレンシー(最近の飛行経験)について、過去2ヶ月間に30回の応用曲技単独飛行をしていない場合は、曲技インストラクターとの同乗飛行が必要である。
 プログレスシート(教習表)を所持し、安全座学を受講し、先ずは基本的なStandard Aerobatic Badgeを取得。取得後は修得した課目についてはSoloが可能。その後、応用課目を課目別にマスターしていく。各課目について練習回数等は設定しておらず、インストラクターが認めるまで行う。
 
<.曲技記章>
 BGAとBAeA(British Aerobatic Association)が協賛して以下のような4段階の曲技記章が設定されている。
    Standard: 基本曲技
    Sports:
    Intermediate: ロール、背面課目を含む
    Unlimited:
 申請料は£10ほど。Cuban8をあしらったバッジがもらえる。
 各競技会では保有記章が出場資格として確認される。
 Gilbert氏によると、FAI認定となるよう働きかけているそうである。他国でもこの曲技記章に同調の動きはある。

<その他>
・曲技教本「The Handbook of Glider Aerobatics」P.Mallinson & M.Woollard 著が1999 年に発刊されている。分かりやすく解説されている。
・最近の曲技に関するインシデント
  低空でFoxをスピンから回復させたとき、逆のスピンに陥ったが、無事回復。
  Foxで課目のため加速しすぎ、Vneを超過し、高Gのためエアブレーキを破損した。 当該曲技インストラクターはその資格を失った。
・Grob TwinVは曲技練習には適していない(背面失速速度が高い)


2.米国でのグライダー曲技事情

 EAA及びNAAの 傘下にIAC(International Aerobatic Club)が組織され,飛行機及びグライダーの競技曲技を統括しています。地方競技会及び全米選手権が行われています。
 グライダーはSAA(Sailplane Aerobatics Association)を組織していましたが,1993年頃にIACに統合されています。
 以下IAC HPからの抜粋和訳です。
○ IACの目的
 IACの主目的は,以下の価値を通してスポーツ曲技飛行の安全,及び楽しみを促進して改良していくことです。
  開放性,及び包括性
  IAC内外でIACの知識を共有し教育する責任と情熱
  我々のスポーツのすべての面での安全と優位性についての公約及び責任
  フェアプレー,及びスポーツマンシップ
○組織構成
 IACは4名の役員(代表,副代表,会計,秘書)を含む,12名の理事会,そして各地域の7人のディレクターによって運営されます。
○曲技飛行は危険なスポーツか?(IAC資料より)
 当然のことですが,曲技飛行の演技は,曲技飛行でないフライトにはないリスクを含みます。 しかし他の飛行と同様に,それは単にパイロットが安全であるか,あるいは危ないかです。訓練,計画性,常識,及び知識は,安全への基礎的な前提条件です。もし安全ルールが厳格に守られれば,曲技飛行の演技は極めて安全であることができます:
 最初に適切な曲技飛行,及び緊急状態トレーニングを受けて下さい。
 IACには、緊急時の処置及び曲技飛行のトレーニングを提供する訓練所のリストがあります。
 曲技飛行を承認されていない航空機では決して曲技飛行を行ってはなりません。
 安全な高度で飛行します。
 あなたの機材及び限界事項を知って下さい。航空機を十分に整備しておいて下さい。
 あなた自身,及びあなた自身の個人的な限界を知っていて下さい(高さ限界,g -限界,フライト持続時間,健康,etcです。)
 いつも飛行に備えて適切で完全な曲技飛行準備を実施して下さい。
 技量を維持し,リカレントチェックを受けて下さい。
 衝突の危険がある他機との安全な間隔を保ちます。
 常に自分自身で脱出します。
 いつもパラシュートを装着し,脱出法と使用法を知っていて下さい。
 曲技飛行の演技は,飛行技能の熟練,精度,及び制御を追求する分別があるパイロットのためにあります。練習によりコントロールを修得します。コントロールを導く分別,態度は,無鉄砲な愚か者と曲技飛行のアーチストとを分離します。曲技飛行のパイロットは,自分自身の能力の限界,機材の限界事項を理解します。コントロールとは,世界曲技飛行選手権競技者からエアショーパイロットまで,皆が追い求めているものなのです。