『天国までの百マイル』浅田次郎

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今回も『小夜子』のように、小説そのものの感想ではなく、映像化されたもの
との比較が中心なんですが…

*** データ ***
タイトル:天国までの百マイル
著者:浅田次郎
解説:大山勝美
ページ数:293ページ
価格:476円(税別:朝日文庫)

*** ものがたり ***
  かつては不動産販売の社長まで務めた安男も倒産により妻子にも逃げられジリ貧の生活。そんな中で母の心臓病が“爆弾を抱えた状態”となり、担当医から「千葉の鴨浦にある病院なら手術できるかもしれない」と知らされた安男は…

*** 感想、のようなもの ***
  先に映画を観ていたけれど、感動の度合は小説の方がはるかに上。映画は“何度かホロリとした”程度だったのが小説は“何度も泣けた”というくらい。通勤電車の中で涙をこらえて読んでいたら洟をすすってしまったりもして…

  映画は2時間前後のワクに収めるという制約があるため、いい場面があっても観ている側はその余韻を楽しむ余裕などなく監督のペースでストーリーは先に進んでしまうけれど、小説は自分のペースで一時中断したりできるワケで、その違いが今回は大きかったようです。

  また、時間的制約ということで映画では略した部分や映画からは読み取れなかった部分もキチンと描かれ、さらに安男が母を案ずる気持ち、母の子供たちへの思い、マリ(=安男の愛人?)の優しさなどが丁寧に描かれているのも差違要因と言えるでしょう。

  さらに、映画を観た時には“善人ばっかりで物足りない”ような印象があったけれど、こちらは安男の兄・姉や破産管財人である同級生だった弁護士などのイヤらしさもシッカリ描かれていて、これもコクを深めていると言えるかも。

  で、フト気付いたのだけれど、先に映画を観てあらすじを知っていたので「次はどうなるんだろう?」と読み急ぐことなく、ゆっくり味わいながら読めたのも良かったのかしら。

  また、映画が先だったために何人かのセリフはその役を演じた役者の口調で読んでいたようで、よりリアルさが増したのかもしれないし。
(その意味でマリの大竹しのぶ、安男の母の八千草薫は、見事なキャスティング!)

  ただ、ちょっとフォローをしておくと、原作を先に読んで映画を観た場合は背景にあるものを思い出しながら観ることになって、それはそれでもっと泣けたかもしれません。ですから、原作を読んで映画は未見という方、映画を観る価値はあると思いますよん♪

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