『蒲生邸事件』宮部みゆき

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*** データ ***
タイトル:『蒲生邸事件』
著者:宮部みゆき
解説:関川夏央
ページ数:686ページ
価格:829円(税別:文春文庫)

*** はじめに ***
 
多少内容に触れた部分がありますので「予備知識なしに読みたい」という方はここから先は読まない方がよろしいかと…

*** ものがたり ***
  大学受験に失敗し予備校の試験を受けに2度目の上京をした孝志は、泊まっていた平河町一番ホテルで火災に遭う。退路も断たれあわや焼死か?と思われたその時、同宿していた暗い雰囲気の中年男に救い出された彼だったが、そこは昭和11年2月26日の未明、二・二六事件当日の東京で…

*** 感想、のようなもの ***
かつてドラマ化されたものを観ていたものの細部は憶えていなかったので、早く先が読みたくてたまらず、700ページ近い(厚さ27mm!)ボリュームを全く感じませんでした。

時間旅行ものの永遠の命題(?)である“歴史を変えることはできるのか?”をメインに据えて、元陸軍大将・蒲生憲之の死は自決なのか殺人なのかというサスペンスで引っ張り、さらに二・二六事件への世間の反応からこの後に起こる第二次大戦に対する批判というか反戦のメッセージまで盛り込み、全然ダレないというシカケ。

まずタイムパラドックス関連。時間旅行モノでは過去を改変した場合に、未来が大きく変わってしまうもの(例:映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』)と、細部は変わっても結果はあまり変わらないものがあり、この作品は後者の立場をとっています。

で、歴史の流れ自体は変えられない、という説明はかなり論理的で説得力があるので「時間旅行ができる」という特殊な能力を持ったけれども結局は非力・無力であることに気付いて悩む、なんてところが生きてくるのですよ。

そして自決したハズの蒲生憲之のそばには拳銃が見当たらないというサスペンス。殺人ならば犯人は誰か、なんて推理モノみたいな味もあります。その時に家にいた面々のそれぞれにアヤしいところがあるのでなおさら。

さらに反戦メッセージ。これはあまり多く語られてはいない、というかホンの少しだけ第二次大戦絡みの記述があって、しかし敏感なσ(^-^) はキッチリ反応してしまったのでした。ドラマでもこの部分(2ヶ所)で涙したくらいで…

トドメはラストで、現代に戻った孝志ははたして昭和11年に出会った人々と再会できるのか?なんてのがいかにも時間旅行モノって感じで、うまくまとめられています。

しかし、これだけ厚かったら2分冊くらいにしないと文庫にした意味があまりないように思うのはσ(^-^) だけか?

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