技法のデパート『SPEED?』

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*** データ ***
タイトル:『SPEED?』
公演主体:演劇屋バンソウコウ

作・演出:佐藤圭右
出演:榎原伊知良、荒井仁明、須賀智香、小池利明、直井美絵、樫田真紀、小林高之、平川雅英

日時:12月4日(土) 19:00〜20:25
小屋:こまばアゴラ劇場
料金:2,500円(全席自由・税込)
座席:2列目ほぼ中央(整理番号1番:劇団先行予約で購入)

*** ものがたり ***
妊娠した不倫相手(直井)の定期検診に付き沿って会社員(小池)が乗ったバスには、TVの変身ヒーロー“キカイジャー”の着ぐるみ(荒井)を持ち込んでいるスーツアクター(樫田)が先客として乗っていた他、途中からロックンローラーカップル(小林・須賀)やマニア青年(榎原)が乗り込んで来る。やがて痴漢騒動がキッカケで、事態はバスジャックへと発展し…

*** 感想、のようなもの ***
かつての惑星ピスタチオの『WORLD』同様、ストーリーよりも実験的手法に重点を置いた、という印象。しかしその実験的手法は単に西田シャトナー直伝というだけでなく、それを進化・発展させているという…
先日引退した舞の海関は“技のデパート”と呼ばれていましたが、さしずめこの劇団は“技法のデパート”ってところでしょうか。

まず開場すると客入れはブルーハーツ。これが開演時刻になると♪スピード、スピード、スピード♪というリフレインになって客電が落ちていく…。タイミングがピッタリ!

そしてアヴァンタイトル部分は火サスや土ワイの直前予告(「今夜の火曜サスペンス」ってアレね)よろしく、本編を断片的に見せるんですが、ここでのセリフは全部英語…。この時点で既にツボにハマって頬が緩んでしまった。

また、着ぐるみそのものを1人の役者に演らせるという発想!スーツアクターが着るまではクタ〜ッと“糸の切れた操り人形”状態で、着る動作によって動き出す。しかも着ている状態では着ぐるみのすぐそば(基本的には後ろ)でスーツアクターが全く同じ動作(口パクも)までしているという、着ぐるみの中の状態まで見せる手法…。

あるいは、2グループがほとんど同じ会話をする場面があるけれど、ここも両グループが全く同期しているのでなく“抜きつ抜かれつ”状態で進み、しかし最後の一言だけは同時に言う、なんて高度なテクニックを使います。これもまた、巧いんだよなぁ。

さらに、時々でてくる主人公の心の声を表現する場面において、主人公以外の出演者がその声を代弁するワケですが、2人ずつリレーするように…というと言葉不足だな。
・ある部分をAが語り始め、途中からBがユニゾンでそれに加わる。
・その後Aが語りを止めるのと同時にCがBにユニゾンで加わり…
という風にして、語り継いでゆくワケ。
しかも、最初はセリフの区切りのところでスイッチしているのが、だんだんに無段階でスイッチしてゆくという…。これ、聞いているとすごく面白い効果になっているんですよ。

また、回想シーンでは複数で1つの役を演じる“ピスタチオ風”テクニックは使うわ、“ピスタチオ風”といえば、その場で走る表現はさすがシャトナー直伝と思わせるほど見事だわ、で、観ていて全く飽きない…。

がしかし、難点を敢えてあげれば、時としてこれらのテクニックを同時多発的にやったりするもんで、ウッカリある部分に気をとられていると他を見落としてしまうオソレがあるってことかな。

惑星ピスタチオが好きな人にはオススメ!そして、近い将来必ずやブレイクするでしょう。

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