最終回

ニコラスが帰ってきた。特赦で釈放になり、ニコラスは
晴れて自由の身になった。エバの様子を見に、学校前へ
現れたニコラス。再会を果たした二人。それはちょうど、
ビセンテと会う約束をしていた日でもあった・・・
<オペラ劇場に向かう途中>
ニコラスと再会したところへビセンテが待ち合わせに現れ、
思わず二人に長話をさせないために、早々に立ち去るよう
仕向けたエバ。ビセンテとオペラ劇場へ向かう・・・
ビセンテ:「何を食べよう?今日のは上演時間が長いらしいから、
     終わったらかなり遅い時間になりそうだよ。」
エ バ :(心ここにあらずと言った感じで)「そう・・・」
ビセンテ:(エバの返事に気がついて)「エバ?」
エ バ :(慌てて)「あ、あぁ・・・ごめんなさい。そ、そうね。遅くなるなら
    しっかりした物を食べた方がいいかしら?」
先ほどからのエバの様子に、何かを感じているビセンテ。
ビセンテ:「エバ、さっきの君の友人。何をしている人?」
エ バ :「え?えっと・・・あの・・・実は本当に何年かぶりに会って
     良く知らないのよ。どうして?」
ビセンテ:「そう・・・いや、家に呼ぶくらいだから親しいのかと思って。」
     ビセンテの鋭さに、ドキリとするエバ。鼓動が早まる。
エ バ :(平静を装って)「同じゼミだったから・・・良くみんなで
    パーティとかしたし。入学してすぐくらいから、知り合いだったしね。」
ビセンテ:「ふーん・・・あ、エバ。パスタにしないか、時間もあまりないし。
     (少し先のお店を指さして)あの店、美味しかったよ。この間、
     昼飯を食いに入ったら、結構良かったんだ。」
エ バ :(ホッとしたように)「そうなの。じゃぁ、あの店にしましょう」
     ビセンテの腕を取って、早足になるエバ。そのエバの様子に
     言いようのない違和感を感じているビセンテ・・・
<オペラ劇場内>
舞台が幕を開け、音楽が流れ始める。舞台に見入るビセンテ。
目は舞台を見ているが、どこか虚ろなエバ。
エ バ :「(ニコラス・・・帰ってくるなんて・・・もう、二度と会えないと
     思っていたのに・・・ニコラスもそのつもりだったはず・・・でも、
     会いに来てくれた。ビセンテと話をさせたくなくて、あんな態度を
     取ってしまったけど・・・)」
歌手の美声に観客が拍手する。無意識のうちに周囲に合わせて
拍手をするエバ。舞台は続く。
エ バ :「(『しょうがないじゃないか、もう過ぎたことは』・・・それだけなの?
     ニコラス・・・そう・・・そうね。・・・今更、どうなるって言うの。
     7年間・・・忘れた事なんてなかった。でも諦めることも知ったわ。
     ううん、諦めるしかなかった・・・)」
虚ろな瞳で舞台を眺めているエバ。
エ バ :「(それにしても、まるで別人のようだった・・・誰が立っているのか
      一瞬わからなかったわ。よく見れば、少し痩せたくらいだったのに。
      ・・・そうよね・・・ゲリラに入って、捕まって7年も
      刑務所に入って・・・変わってしまうわよね・・・私も・・・
      変わったわ。あんなに会いたかったニコラスをおいて、ビセンテと
      ここへ来ているんだもの・・・でも・・・また、会えるかしら・・・)」
ビセンテ:「エバ?」
エ バ :「え?」
舞台は終わって、観客は帰り始めている。慌てて手に持っていた
ハンカチで口元を覆い、表情を隠すエバ。
エ バ :「やだ・・・舞台に引き込まれてボーッとしちゃって・・・」
ビセンテ:「どうする?食事して帰るかい?」
エ バ :(肩をすくめて)「さっきのパスタ、少し多かったみたい。今日は帰るわ。」
ビセンテ:「じゃぁ、送るよ」
帰り支度をするエバを、探るような目で見つめているビセンテ。
その視線に、エバは気づいてはいない・・・
<翌日・警察所内>
自分のデスクで事務書類を片づけているビセンテ。
同僚が外回りから帰ってきて、隣のデスクへ座る。
ビセンテ:「お疲れ・・・なぁ。お前、エバと同じ学部だったよな」
同僚A :(少し驚いて)「あぁ。だからパーティーに連れていったんじゃないか。
     どうしたんだよ、急に」
ビセンテ:「いや・・・お前、ニコラスって男、知ってるか?」
同僚A :「ニコラスって・・・もしかして、ニコラス・デ・ロサスか?」
ビセンテ:「フルネームまでは聞かなかったけど。」
同僚A :「聞かなかったって・・・お前、ニコラスに会ったのか?!」
ビセンテ:「昨日偶然、エバの学校の近くまで来たらしくて、俺と待ち合わせ
     してたエバを見かけて、声をかけたらしい。」
同僚A :(つぶやくように)「あいつ・・・出たのか・・・」
ビセンテ:(聞き返して)「なに?」
同僚A :(慌てて)「いや、なんでもない。あぁ、ニコラスね。エバとは
     同じゼミだったんだ。あのゼミはみんな、仲が良かったからな。
     それでエバの所に立ち寄ったのかもな。」
ビセンテ:「そうか・・・」
同僚A :(気まずそうに)「俺、部長に報告があるから行って来るわ」
そそくさと席を離れる同僚A。再び机に向かうビセンテ。
同僚のつぶやいた言葉が引っかかる。
ビセンテ:「ニコラス・デ・ロサス、か・・・」
クルリと振り返ると、少し離れたデスクで仕事をしている
部下の警官を呼びつけるビセンテ。
ビセンテ:(命令調で)「ニコラス・デ・ロサス。多分、逮捕歴があると思う。
     詳しく調べてくれないか。」
<ビセンテの部屋>
久しぶりの休日をデートで過ごしたビセンテとエバ。
帰りに誘われて、ビセンテが署の近くに借りている
アパートへ立ち寄る。
飲み物の用意をしようとミニキッチンへ向かうエバ。
部屋の奥にあるレコードプレーヤーに近づき、音楽をかけるビセンテ。
エ バ :「(どうしたのかしら、ビセンテ。なんだか今日は、変だわ。
      何か大きな事件でも抱えているのかしら・・・)」
食卓について、エバが出したお茶を飲むビセンテ。
ビセンテの硬い表情に、そばに立ったまま様子をうかがうエバ。
エ バ :(おずおずと)「どうしたの、ビセンテ。なにか、考え事?
     お仕事、大変なの?」
ビセンテ:(気まずそうに)「いや・・・その・・・折り入って、君に
     話しておきたいことがあって。」
エ バ :「なあに?」
ためらうビセンテ。しかし、意を決して口を開く。
ビセンテ:「この間の・・・君の友人の事なんだけど・・・」
エ バ :(少し動揺しながら)「・・・ニコラス、のこと?」
ビセンテ:「あぁ、その男のことだよ。」
エ バ :(平静を装って)「ニコラスが・・・彼がどうかしたの?」
ビセンテ:「・・・あの男には、あまり近づかない方がいい。」
エ バ :(できるだけ落ち着いて)「どうして?」
ビセンテ:「良くない噂を・・・小耳に挟んだんだ。あまり親しくしない方が
     いいと思う。」
エ バ :(動揺を隠して)「良くない・・・噂?」
ビセンテ:「あぁ、あの男が今まで何をしていたか、だよ。」
思わずビセンテから視線を逸らし、そばを離れるエバ。
エバの態度に、何かを感じ取るビセンテ。
ビセンテ:「まさか、エバ・・・知っていたのか?」
エ バ :「彼とは・・・何年も会ってなかったわ。この間だって、
     偶然、会っただけで・・・」
慌てて取り繕おうとするエバ。
レコードから流れる音楽が。うるさい。
エ バ :(言葉に詰まりながら)「そ、それより、今日のあのお店で見た
     スーツ、いいんじゃない?私、結構、気に入って・・・」
椅子から立ち上がって、エバの方へ近づくビセンテ。
思わず身を引いて、背を向けるエバ。
ビセンテ:「ごまかさないで、答えてくれ!」
いつもなら心和む音楽も、今のエバには耳障りだった・・・
<エバの家の前>
車でエバを送ってきたビセンテ。家の前に車を止める。
ビセンテ:(念を押すように)「じゃぁ、また次の休みに。」
エ バ :(小さな声で)「えぇ・・・」
ビセンテ:「じゃぁ、詳しいことがわかったら、また連絡するよ。」
エ バ :「・・・おやすみなさい」
助手席のドアを開け、車を降りるエバ。
エバが家に入るのを確かめて、車を発進させるビセンテ。
階段を上がり、自室に入るエバ。
荷物を置くと、そのままベッドに仰向けに倒れ込んだ。
エ バ :「(調べたんだわ、ビセンテ・・・そうよね、ビセンテがその気になれば
     ニコラスのことも、私との関係もすぐにわかる事よね・・・それでも
     愛してるって言ってくれた・・・結婚しようって・・・)」
ベッドサイドのテーブルに目をやると、
先日見つけた集合写真が飾られている。
エ バ :「(ニコラス・・・『どうしているか見てみたかっただけ』・・・
     それだけなの?・・・そう、それだけ・・・私たちはもう、どうにも
     なりはしない。ううん・・・ニコラスがゲリラに入るって言ったあの時。
     着いていくと言えなかったあの時に、私とニコラスは一緒に生きていく
     ことができなくなっていたのよ・・・もう・・・どうにもなりはしない。
     今更・・・どうにも・・・)」
自問自答をくり返すエバ。
不意に涙があふれ出す。
エ バ :「(手紙をもらって、考えて・・・何度も達した答えじゃない、エバ。
     終わったのよ、もう・・・終わったの・・・だから、ビセンテと
     生きていくことを考えていたんでしょう?その通りになったじゃない。
     結婚しようって・・・両親に紹介するって・・・どうしたのよ、エバ。
     どうして・・・)」
寝返りを打ってうつ伏せになると、枕に顔を埋めて泣き出すエバ。
押し殺した鳴き声だけが部屋に響く・・・
エ バ :「(ごめんなさい・・・ごめんなさい、ニコラス・・・私・・・私・・・
     あなたが望んだように・・・私の道を生きていきます・・・)」
枕から顔を上げて見た写真は涙でにじんで、ぼやけていた・・・
<次の休日>
互いの都合がついた休日に、両親へ結婚の報告をすることになった
ビセンテとエバ。今日はエバの両親へ報告する日だった。
報告が終わり、二人で出かけようとするエバを、引き止める父。
母は玄関先でビセンテと話している。
エバの父:「エバ・・・いいんだね?」
エ バ :(微笑んで)「えぇ。・・・自分で決めたことよ。心配しないで、パパ。」
エバの父:「いや、お前が決めたことなら、パパ達は何も言うことはない・・・
     エバ・・・幸せになっておくれ・・・」
エバを抱き寄せる父。子供のように父の胸に顔を埋めるエバ。
エ バ :「ありがとう、パパ。」
エバの父:「これからまだ、いろんなことがあるだろうけれど・・・」
エ バ :「大丈夫よ、パパ。乗り越えて行くわ、ビセンテと二人で。」
父を安心させるように、笑顔を見せるエバ。
エバの言葉に胸を詰まらせている父。
エ バ :(からかうように)「いやね、パパったら。今からそんなんじゃ、
     バージンロードでボロボロになるわよ。泣き崩れて歩けない、
     なんてことにならないでね。」
エバの父:(無理に笑顔を作って)「わかったよ。」
再び抱き合う父娘。口に出さなくても、伝わる思いがあることを
痛感するエバ。
エ バ :(体を離して)「じゃぁ、出かけてくるわ。まだ時間も早いし。
     せっかくのお休みだから。」
エバの父:「あぁ、行っておいで。」
満足げに二人を送り出す、エバの父と母。
腕を組んで歩き出す二人。少し余裕の表情になるビセンテ。
ビセンテ:「どこかでお茶でも飲もうか。・・・さすがに緊張したよ。」
エ バ :(苦笑して)「そうね。この間のカフェに行きましょうよ。
     あのお店、気に入ったわ。」
何か一つ、肩の荷を降ろしたような気持ちに浮かれているエバ。
しかし、カフェでも話し合いは、予想外の展開を見せることになる。
<エバの家>
エ バ :「ただいま」
エバの母:「おや、お帰り。早かったんだね。」
エ バ :「え、えぇ。急に呼び出しがかかって・・・」
エバの母:「そう、刑事さんも大変だね。・・・食事は?」
エ バ :「まだ。」
エバの母:「じゃぁ、できたら呼んであげるから、着替えておいで。」
エ バ :「はい。」
自室に戻って着替えるエバ。
エ バ :「(結局、カフェを出てからもろくに話せなくて、早めに切り上げて
     帰ってきてしまったけど・・・急に仕事を辞めろだなんて・・・
     今まであんなこと、一言も言ってなかったのに。・・・ニコラスの
     せいなのね。・・・そうよね、いくら終わったことだって言っても、
     ビセンテにしてみれば、知ったばかりだものね。)」
着替えながら、ため息をつくエバ。
エ バ :「(どう言ったらわかってくれるのかしら・・・ビセンテ・・・
     一緒に生きていけるのはあなたしかいないって、そう思って
     いるのに・・・ビセンテ・・・」
窓の外に目をやるエバ。
エ バ :「(信じてよ、ビセンテ・・・愛しているのよ、本当に・・・)」
しかし、事態はエバの知らないところで、すでに動き始めていた。
<休日の早朝・エバの家>
休日の早朝だというのに、ふと目を覚ましたエバ。
ベッドを抜け出し、階下へ降りる。まだ、夜が明けて間もない。
水を飲もうとキッチンへ入ったところで、居間の電話が鳴る。
エ バ :(電話を取って)「もしもし?」
ビセンテ:「エバ?」
エ バ :「ビセンテ!おはよう・・・どうしたの?こんな時間に。」
ビセンテ:(沈んだ声で)「今・・・近くまで来てるんだ。出てこられるかい?」
エ バ :「え?えぇ、いいけど。」
ビセンテ:「じゃぁ、待ってるから。」
エ バ :「あ、ちょっと、ビセンテ?」
電話が切れる。事情が飲み込めないまま、手早く服を着替えるエバ。
家を出て通りを見回すと、少し離れたところでビセンテが立っていた。
駆け寄るエバ。早朝のせいか、通りに人影はない。
エ バ :(息を切らして)「どうしたの・・・こんな・・・時間に・・・」
ビセンテ:(暗い表情で)「昨日のニュースは・・・見たかい?」
エ バ :(不思議そうに)「ニュース?」
ビセンテ:「・・・武器密輸ブローカー、一斉逮捕のニュースだよ」
エ バ :(思い出して)「あぁ!昨日の新聞の一面にも出てたわね。
     ・・・もしかしてあれ、ビセンテの事件だったの?」
ビセンテ:(暗い表情で)「あぁ・・・」
エ バ :「すごいじゃない、お手柄ね!・・・ビセンテ?どうしたの?」
うつむいたまま、苦しそうな表情をしているビセンテ。
エ バ :(心配そうに)「ビセンテ?・・・どうしたの?・・・何かあったの?」
ビセンテ:(つぶやくように)「あの事件に、彼が・・・ニコラスが関わっていて・・・」
表情が一変するエバ。うつむいているビセンテの両腕をつかみ、
顔をのぞき込むようにして、問いかける。
エ バ :「どういうことなの?!・・・ビセンテ、ニコラスが関わってたって・・・
     お願い、教えて!」
ビセンテ:(うつむいたまま)「違うんだ・・・正確には・・・彼は・・・彼は
     あの男を・・・止めようとしてたんだ。」
エ バ :(問いつめるように)「誰?」
ビセンテ:「リカルドという・・・昔のゲリラ仲間だ。」
エ バ :「リカルド・・・?」
ビセンテ:(エバの顔を見て)「知ってるのか?」
エ バ :(言いにくそうに)「えぇ・・・昔、一度だけ会ったことがあるわ。
     ニコラスの・・・親友だって・・・。」
エバの言葉を聞いて、一人で納得した様子のビセンテ。
しかし、表情は暗く険しい。
ビセンテ:「その男が銀行を襲うために・・・武器を手に入れようとして・・・
     ニコラスはそれを止めに行ったんだが・・・」
エ バ :(息をのんで)「まさか・・・ニコラスが?」
ビセンテ:(慌てて)「違う。彼は無事だ。・・・その・・・リカルドって男が・・・
     死んだんだ・・・」
エ バ :「?!」
ビセンテ:(絞り出すように)「・・・僕のせいだ」
驚いてビセンテの顔を見るエバ。エバから視線を逸らすビセンテ。
ビセンテ:「君に・・・ニコラスを近づけたくなくて・・・彼を見張っていた。
     また昔の仲間と連絡を取り合って何かやらかすかも知れないって・・・
     上司に進言して・・・そのせいで、彼は・・・」
エ バ :(つぶやくように)「ビセンテ・・・」
いきなりエバを強く抱きしめるビセンテ。
ビセンテ:(吐き出すように)「君を失いたくなかったんだ!君を・・・君を
      守りたかっただけなんだ・・・それなのに・・・それなのに・・・」
涙声になりながら訴えるビセンテ。そっと彼を抱きしめるエバ。
エ バ :(優しく)「わかってるわ・・・わかってるわ、ビセンテ・・・」
ビセンテ:(なおも激しく)「僕がニコラスに付けていた尾行のせいで、
     あの男が・・・リカルドって男が死んだんだ・・・僕のせいだ。
     僕が殺したようなものだ!・・・」
強く抱きしめてくるるビセンテを、優しく迎えるエバ。
エバの首筋に、温かいものが流れ落ちる。
エ バ :「(ビセンテ・・・泣いてるの?)」
しばらく言葉のないまま、抱き合っている二人。
ビセンテの嗚咽だけがエバの体に響いてくる。
ビセンテ:(気持ちを落ち着けて)「・・・すまない・・・急に・・・こんな話を」
エ バ :「いいのよ・・・」
ビセンテ:「・・・今日、詳しい取り調べがある・・・ニコラスの・・・
     それが終わったら、もう一度・・・ちゃんと君に話したい。」
エ バ :(うなずいて)「わかったわ。」
ビセンテ:「・・・エバ」
堅く抱き合う二人。朝日が、通りに射し込んでくる・・・
その日の夜遅く訊ねてきたビセンテと、長い時間をかけて
語り合ったエバ。二人の間にあったわだかまりが解けていく。
翌日、検死が終わり埋葬されるリカルドを見送りに
二人は出かけた。

    
<数ヶ月後・エバの部屋・結婚式当日の朝>
髪をセットしているエバ。
エ バ :「(あと3時間か・・・)」
髪が出来上がり、ウェディングドレスを
手に取ると、袖を通すエバ。
真っ白なドレスが、朝日の中で輝いているようだった。
階下では、両親や親戚が集まっている。
教会へ持っていく小物をまとめ、出発の時間を待つ。
エ バ :「(この部屋とも、いよいよお別れね・・・)」
ベッドサイドのテーブルの上に置かれた写真立てに目をやるエバ。
エバの母:(階下より)「エバ!時間よ、準備はいい?」
エ バ :「すぐに降りるわ!」
ゆっくりと写真立てに近づいて手を伸ばすエバ。
そのままテーブルの上に倒して伏せる。
そして一度も振り向くことなく、エバは教会へ向かった・・

                      − 完 −

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