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「うるさいっ!」
わたしは大声を吐いた。
おとなしくて無口、とずっと通信簿に書かれ続けてきたわたし。
声が小さく聞き取りにくい、とも書かれ続けてきたわたし。
もっと自分の思ったことをはっきり言いましょう、
とも書かれ続けてきたわたし。
通信簿にそう書いた歴代の担任先生。
小1、2の渡辺礼子先生。
小3、4の須田憲治先生。
小5の森谷恵司先生、
小6の広瀬幸雄先生だけは“はきはきしている”と
書いてくださったのでとばして、
中1の久田悟先生、中2の古川弥生子先生、
中3の安田茂則先生、
わたしはあなたがたのアドバイスに従わん。
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――よく言うよ〜!――
ひごろ、よく使うことばだ。
〈あなたってモテるでしょ〉〈よく言うよ!〉
〈あのアイドル歌手、噂の俳優とはデートしたこともないってインタビューで言ってたよ〉
〈よく言うよ〜!〉
いまほど切実にこのことばを使いたいと思ったことはない。
――よっく言うよ〜!――
――よっく言うよ〜!――
――よっく言うよ〜!――
――よっく言うよ〜!――
――よっく言うよ〜!――
――よっく言うよ〜!――
――よっく言うよ〜!――
――よっく言うよ〜!――
――よっく言うよ〜!――
だが、
「・・・・・・・・・・・・・・・」
わたしの口からことばは出なかった。よっく言うよ〜!と言われて、
なにが、よっく言うのか、このふたりにわかるだろうか。
六甲山ロープウェイのケーブルと同直径の神経線が一本身体を通っている。
大嵐が吹き荒れ雷が落ちようともケーブルは微動だにしない。
自己に対する自信のケーブル。
ゆるぎない自信のケーブル。ゆるぎないケーブルの上で
視点も決して動くことはない。
ケーブルの心に影さすことは決して決して、ない。