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WHO(世界保健機構)によると、不妊症の7273組の調査で、不妊症の原因は41%が女性のみ、24%が男女ともにあり、24%が男性のみ、11%が原因不明です。
つまり、男性に不妊症の原因があるカップルが約4組に1組、男女ともに不妊症の原因があるカップルも約4組に1組もあります。相対的にみて男性側に問題がある不妊症は全体の40%以上あります。
男性不妊症の原因
1.性機能障害:インポテンス、早漏、遺精、射精不能、逆行射精など
2.精液異常:精液減少症、無精液症、乏精子症、無精子症、精子無力症、
奇形精子症、精子死滅症、膿精液、抗精子抗体による免疫学的不妊症など。
3.生殖器器質性疾患:先天性無睾丸症、睾丸発育不全、陰睾症、両性奇形、
尿路奇形、耳下腺炎による睾丸萎縮、輸精管閉鎖など。
4.その他
1)精神抑鬱
2)偏食や栄養障害
3)頻繁に熱い風呂に入る
4)きついパンツや服装
5)アルコールとタバコ(男性不妊の方はアルコール、タバコは控えるべきです)
6)自転車に長距離乗る
7)性交渉過多
8)環境汚染、放射線、電磁波、環境ホルモンなどの影響
9)抗生物質、化学薬物、ホルモン剤などの影響
中医学では、先天稟賦不足(生まれつき生殖機能が弱い)、過労やストレス、過剰な性交渉、過度な飲酒、不適切な生活習慣や環境の不良などによって、腎精異常となって不妊症となると考えています。基本的な考え方は、男性不妊症1のとおりですが、もう少し具体的に説明します。
ここでは、主に精液の異常による男性不妊症について書いてみます。
| 精液検査項目 |
正常値 |
異常のときの病名 |
| 精液量 |
2.0ml |
精液減少症、無精液症 |
| pH |
7.2〜7.8 |
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| 精子濃度 |
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| 総精子数 |
4千万/ml以上 |
乏精子症、無精子症 |
| 精子運動率 |
前進運動率50%以上または
高速直進精子25%以上
(射精後60分以内) |
精子無力症 |
| 正常形態精子 |
80%以上
IVFの受精率からみると15%
以上で正常となる。 |
奇形精子症 |
| 精子生存率 |
75%以上 |
精子死滅症 |
| 白血球数 |
100万/ml未満 |
膿精液 |
| 抗精子抗体 |
Immunobead test, MAR test
で凝集精子が50%未満 |
免疫学的不妊 |
1ccあたりの平均精子数は、数十年前と比べ、約半分になっているという報告もあります。不妊に悩むカップルが多くなっている理由の1つと考えられます。
中医学からみた精子の異常
精液減少
精液量または精子数が不足することによる不妊症。精液量2ml以下、精子数500万〜2000万/mlの状態を中医学では精冷症といいます。腎陽不足、命門火衰によって精室を暖めることができないことによると考えています。
症状:寒がり、手足の冷え、小便が透明で色が薄い、勃起不全、早漏、性欲低下
などの症状を伴うことが多い。
このような症状には、双料参茸丸(そうりょうさんじょうがん)、金匱腎気丸(きんきじんきがん)などと、五子えん宗丸(ごしえんそうがん)などを合わせて使います。また、女貞子(じょていし)、旱蓮草(かんれんそう)、枸杞子(くこし)、巴戟天(はげきてん)、韮菜子(ひさいし)、覆盆子(ふくぼんし)、五味子(ごみし)、黄耆(おうぎ)、当帰(とうき)などが配合された煎じ薬などが効果があります。また、食用蟻も一定の効果があります。
精子運動率低下
精子活動力低下、前進運動精子は50%以下、又は高速直進精子25%以下。中医学では、腎陽虚に属し、ストレスや考えすぎる傾向、過剰な性交渉、お酒の飲みすぎなどで腎陽虚を引き起こすとかんがえています。
症状:寒がり、足腰がだるくて力がはいらない、手足の冷え
などの症状を伴うことが多い。
このような症状には、双料参茸丸(そうりょうさんじょうがん)、金匱腎気丸(きんきじんきがん)などと、五子えん宗丸(ごしえんそうがん)などを合わせて使います。また、女貞子(じょていし)、旱蓮草(かんれんそう)、枸杞子(くこし)、巴戟天(はげきてん)、韮菜子(ひさいし)、覆盆子(ふくぼんし)、五味子(ごみし)、黄耆(おうぎ)、当帰(とうき)などが配合された煎じ薬などが効果があります。胃腸が弱く疲れやすい方は補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)などが適合する場合もありますし、また、食用蟻も一定の効果があり、ストレスの多い方はストレスに配慮した漢方薬をあわせて使うとさらに効果があります。
精子の奇形
正常な形態の精子が30%以下。中医学では、肝腎不足に属し、過剰な性交渉、お酒の飲みすぎなどで、肝腎陰虚で腎精を生成できなくなることで起きると考えています。
症状:ほてり、寝汗、足腰がだるくて力がはいらない、めまい、耳鳴り
などの症状を伴うことが多い。
このような症状には、杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)や五子えん宗丸(ごしえんそうがん)などが適合することが多いです。また、知母(ちも)、黄柏(おうばく)、何首烏(かしゅう)、女貞子(じょていし)、旱蓮草(かんれんそう)、枸杞子(くこし)、巴戟天(はげきてん)、韮菜子(ひさいし)、覆盆子(ふくぼんし)、菟糸子(としし)、熟地黄(じゅくじおう)、桑椹子(そうじんし) などが配合された煎じ薬などが効果があります。
精液に膿が混じる
精液の白血球数は100万個/ml以上になっている。泌尿生殖器炎症性疾患や前立腺炎、睾丸炎、副睾丸炎、精嚢炎、性病などと関連性がある。クラミジア陽性、又はマイコプラズマ陽性の場合も多い。
不潔な性交渉、或いは飲食の不摂生(カロリーの摂り過ぎや酒、辛いものの摂り過ぎ)などが原因。
症状:陰部が垂れ下がる感じ、排尿痛、排尿困難など。
このような症状には竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)、知柏地黄丸(ちばくじおうがん)に五行草(ごぎょうそう)など合わせたり、白花蛇舌草(びゃくかじゃぜつそう)、知母(ちも)、黄柏(おうばく)、ひかい、丹参(たんじん)、車前子(しゃぜんし)、白茅根(はくぼうこん)、山梔子(さんしし)、甘草梢(かんぞうしょう)、蛇床子(じゃしょうし)、紅藤(こうとう)、虎杖(こじょう)、五行草(ごぎょうそう)などが配合された煎じ薬などが効果があります。
抗精子抗体陽性
精液検査で抗精子抗体陽性。男性側に原因があるものと女性側に原因があるものがあるが、ここでは男性側に問題がある場合を書きます。どちらに問題があるかわからない場合は夫婦双方で対策しないと効果がない。原因は不明であるが、輸精管障害や前立腺炎、睾丸炎、副睾丸炎、精嚢炎と関係している場合もある。
症状:自覚的に特徴はない。
体質がのぼせ、ほてり、汗かき、暑がりであれば、竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)、知柏地黄丸(ちばくじおうがん)に五行草(ごぎょうそう)など合わせたり、白花蛇舌草(びゃくかじゃぜつそう)、知母(ちも)、黄柏(おうばく)、ひかい、丹参(たんじん)、車前子(しゃぜんし)、白茅根(はくぼうこん)、山梔子(さんしし)、五行草(ごぎょうそう)などが配合された煎じ薬などが効果があります。また、冷え性で、疲れやすい、風邪を引きやすいなどの症状があれば、玉屏風散(ぎょうくへいふうさん)なども有効です。食事は野菜を多くし、肉、魚、牛乳などの多食多飲は慎むべきです。
注意:いわゆる強壮薬、強精薬のほとんどは、体を暑くしのぼせさせ、体の栄養や潤いを奪うものが多いです。もともと赤ら顔で、のぼせやほてりがあり、寝汗をかきやすいような体質の人には合いません。むしろ逆効果です。漢方薬は体質や症状に合わせてお選びください。
適切な漢方薬の選定は専門家にお任せください。詳しくはこちらでご相談ください。直接メールでもご相談承ります。kawaguchikampo@nify.com

 
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