言い訳

 

 

彼女との出会いは、どこにでもある合コンといわれる場であった。

見知らぬ男女が一緒に酒を飲み交わす。

なんとなく社会人になって、新しいお遊びを覚えた。

そんな軽い感覚で参加した社会人になって数年目の事だった。

 

それまでに、合コンという名の恐ろしい実態は友人から聞かされていた俺は

そんなにギラついた視線など持たずに、ただの飲み会として参加するつもりだった。

 

当時合コンといえば、お遊び系女に仕切り系女。抑え狙い女に友達女と

数々の友人の惨敗劇を聞かされていたのであった。

 

<お遊び系女>

合コンは遊びよ。と割り切って参加している女性。

当然彼氏を作る気など無く、安い(もしくはタダ)酒目当てが多いらしい。

 

<仕切り系女>

合コンを仕切る事に命をかけている女性。

友人をくっつける事に命をかけたりもするが、自分は彼氏を作る気などは

さらさら無いパターンが多い。いわゆる世話焼き女房。(大きなお世話とも言うが)

 

<抑え狙い女>

いわゆるKEEP狙いである。彼氏がいるのだが、それ以外に便利に使える男を

探しによく合コンに出没する。抑えなんて自分で言えるだけに、みてくれはそれなりに

いいから男受けはいいのだが・・・・。

 

<友達女>

彼氏では無く、ただ単にお友達を増やしにくる女性。

ある意味これが一番たちが悪い。純粋に友達を増やしたいみたいな事を

平然といってのける為、このタイプに惚れると笑顔で振られる事間違い無し。

 

 

と数々の体験談を聞かされていた俺に合コンという名の戦場に

期待などもてるはずも無かった。まあ、友達の頼みもあって頭数合わせと言う事で

参加したに過ぎなかった。(男は払いが多い為に頭数がそろわないと会計時につらい)

 

そんな訳なので、無理やり高い酒を飲まされる俺はいい気分で参加できる訳が無かった。

合コン会場でいた女性陣はみんなよくも悪くも普通っぽい娘達ばかりであった。

まあ、「気軽に飲める感じ?」そんな感じで飲み会はスタートした。

 

 

そんな女の子達の中に俺のクルマ話に妙に食いついてくる女の子がいました。

始めはそんなに意識していなかったのですが、やっぱり自分の趣味が理解してもらえる

ってのは嬉しい事です。

 

いつの間にか、意気投合し次に遊びに行く約束まで取り付けていました。

俺は全然肩肘をはらずに付き合える・・・・そんな感じだったのです。

 

彼女とあえば逢うほど彼女の魅力に引き込まれて行きました。

 

素直な純朴な娘だったのです。俺のクルマに興味を示したのも、いじってある

走り屋クルマだからって訳では無く、クルマを持っている事自体が憧れだった様です。

まあ少し拍子抜けした感はありますが、かと言って俺を通り越してクルマだけを

見る訳でも無く、ちゃんと俺は俺としての存在を認識した上でクルマが好き

って言ってくれる、そんな娘でした。

 

なかには「男はクルマの付属品」みたいな考え方をしている女の子もたまには

いるので、多少なりと警戒はしていたのですが、そんな事を余計な心配でした。

 

彼女といるのが自然な関係・・・・・その期間は長くは続きませんでした。

 

その時は、約束した休日に俺が急ぎの仕事が入ってしまった事から

端を発していました。

 

俺の仕事はいきなりはまる仕事で、はまってしまうとそれこそ残業で終電当たり前、

休日出勤当たり前、ときたま徹夜、ひどい時には緊急出張一カ月なんて事が

ざらにある業界でした。

 

そんなすれ違いの日々が二人の中に溝を作って行ったのです。

そしてその溝はいつしか、修復できない程に広がっていました。

 

彼女は基本的には寄りかかっていたいと思うタイプ。

俺は基本的には支えてあげたいと思うタイプ。

 

うまくいくと思っていました。

 

けれど、どこかで食い違い始めたのです。それは俺が支えきれなくなった

と言う事実なのでしょうけど。

 

仕事だからという言い訳はしたくはありません。

 

クルマに乗っている俺。

寝ている俺。

仕事している俺。

いろんな俺をひっくるめて俺なのです。

 

彼女は、「クルマに乗っている俺」は認められても「仕事をしている俺」

を認められなかった、ただそれだけなのです。

 

俺は基本的には支えたいタイプ。

彼女といる時には彼女の笑顔を守っていきたいと思っていました。

 

できればずっと・・・・。

 

しかしその笑顔を壊しているのが俺自身であると気がついた時には

彼女の笑顔を守る為の手段は一つしかありませんでした。

 

俺にとって恋愛とは

「相手の笑顔を守りたいと思う事。」

そしてその笑顔をずっと守りたいと思う延長に結婚があると思っていました。

 

決して彼女の事を嫌いになった訳では無いのです。

ただ単に彼女を俺に依存したがった、そして俺はその依存に答えきれなかった。

事実として残るのはそれだけです。

 

そして俺はいまだに探し続けているのかもしれない。

守るべきその笑顔の持ち主を。

 

 

 

戻る