名曲



最近90年代初頭に流行った曲ばかりを集めたCDを買った。

そうすると、当時その曲を聞いていた時の感情みたいなものが、

フラッシュバックの様に蘇ってくる。


それも、失恋とか別れとか辛いはずの記憶ばかりが

蘇ってくるから不思議だ。

そんな当時によく慰めがてらに聞いていた曲の数々。

今更ながらに聞いても古臭さなど微塵も無く、

間違い無く俺の中で「名曲」として位置づけられている。


俺の中で「名曲」ってのは、あくまで俺がいいと思う曲が

大前提であって、俺以外の100万人が素晴らしいと

絶賛しても、俺が駄作だと思ったらそれは俺の中で

「名曲」では無いのである。


振り返って名曲と思える曲には、なんらかの

思い入れがあるから不思議だ。

そしてその思い入れのほとんどが、楽しかった思い出では

無く、悲しく辛い経験だと言う事実も。


人は過去に起きた事実を過去の記憶として、薄らいでいける

生き物であり、それは学習とは逆に忘却という行為である。

「この忘却があるから人は生きて行ける。

 辛い事を抱え込み過ぎないで生きて行ける。」

というお話はどこかでした記憶があるが、

その忘却の中でも心に残るのは、楽しい思い出ではなく、

辛い思い出が多いのである。


つまりは俺はこう考えるのである。

人間は、楽しい経験より辛い経験からの方が、

物事を学ぶ事が多いと。


人間の脳味噌とは、信じられない程合理的に出来ており、

必要な物程大切にとっておける物なのである。

忘れたくても忘れられない過去・・・・。

言い方を変えると、

忘れたいと思っていても、体が忘れさせない過去。


何故体が忘れさせないか?


つまりはそこから学ぶ事が多いからなのでは無いかと思う。


良く言われる事が、

「辛い経験を追ってきた人間程、人に優しくできる。

 何故ならその辛さを知っているから。」


つまりは、人間の経験として辛い過去というのは、

大切な財産なのでは無いかと思う。

その当時良く聞いていた曲を思い出の中で、名曲へと

変化させてしまう程に。


今が辛い、悲しい。

そんな人は、そんな気持ちを代弁してくれる様な、

自分の中での名曲と出会うといいと思う。


きっと数年後、もしくは数十年後、再びその曲と出会った時に

昔からの旧友と出会う様な、そんな懐かしさを

感じさせてくれると思うから。



あなたは、そんなあなただけの名曲をいくつお持ちですか?



 

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