一口にレーザーといっても、いろいろな目的の機種があります。最近は皮膚のしみとりのレーザーなども注目されていますが、現在一般に眼科治療で取り扱われるレーザーは次の3種類です。
マルチカラーレーザー、アルゴンレーザー、半導体レーザー等
光を発生させる物質の違いにより、名称が異なります。黒い紙に虫メガネで集光した太陽光線を当てると紙が焼けるように、局所的に熱を生じさせて組織を熱凝固する効果があります。レーザー光の直径は50〜500ミクロン(0.05〜0.5mm)ですから、非常に細かいやけどを人工的に作ることになります。出力は0.05〜2ワットの範囲で用途に応じて設定を変えます。やけどといっても、目の中は皮膚表面のように知覚神経が多くありませんので、痛みはそれほどでもありません。 具体的には、主に網膜裂孔・糖尿病網膜症等に対する網膜光凝固と閉塞隅角緑内障に対する虹彩光凝固に用いられます。
当院では2006年7月にレーザー装置を最新の機種(マルチカラーレーザー)に変更しました。早速網膜裂孔や糖尿病網膜症等の治療に威力を発揮しています。→PHOTO
ヤグ(Nd:YAG)レーザー →PHOTO
レーザー光をある1点に集中してバーストさせることにより、その部位の組織を破壊します。
最もよく使われるのは白内障手術後に水晶体の袋が濁る後発白内障という病気に対する治療です。この場合は痛みも全くなく、数分間で終了しますのでレーザー治療の中では最も楽に受けることができます。その他、緑内障の急性発作などに使用することもあります。当院でも主に後発白内障の治療に使用しています。
エキシマ(Excimer)レーザー
このレーザーは組織の表面に照射することにより、組織表面を蒸発させる効果があります。角膜に対して使用すると、設定された深さまで滑らかに表面を削ることができるため、近視手術として広まっています。
角膜表面にそのままレーザーを当てて近視を治療するPRK、角膜表面の悪い部分を除去するPTK、そして最新の近視手術として広く行われつつあるLASIK(角膜表面を薄く弁状にはがしておいて、その下の部分にレーザーを照射し、その後弁を戻すという操作により、術後の痛みも少なく、定量性も安定しました)などに応用されています。当院では導入しておりませんので、御希望の方には院長がアドバイスの上、信頼できる施設を御紹介しております。
・糖尿病網膜症に対する汎網膜光凝固:9眼(連続する4件を1眼としてカウントしています)
・糖尿病網膜症または眼底出血に対する局所的網膜光凝固:8眼(連続する2件は1眼としてカウントしています)
・網膜円孔または裂孔に対する網膜光凝固:16眼
・網膜剥離を伴う網膜裂孔に対する網膜光凝固:8眼
・閉塞隅角緑内障に対する虹彩光凝固:11眼
・後発白内障に対するNd:YAGレーザー手術:140眼
計マルチカラーレーザー:52眼、Nd:YAGレーザー:140眼
今年はマルチカラーレーザーの施行数が若干少なかったようですが、網膜剥離を伴う網膜裂孔に対するレーザーは若干増えました。網膜剥離をすでに生じている場合はあらためて大学病院等へ紹介して観血的手術に至る可能性もあるため、高額の費用のかかるレーザーを行うかどうか判断に悩むことも多いのですが、その場の判断で施行した方が良いと思われた場合には行うことを原則としています。
・糖尿病網膜症に対する汎網膜光凝固:11眼(連続する4件を1眼としてカウントしています)
・糖尿病網膜症に対する局所的網膜光凝固:10眼
・眼底出血に対する局所的網膜光凝固:3眼
・網膜円孔または裂孔に対する網膜光凝固:31眼
・網膜剥離を伴う網膜裂孔に対する網膜光凝固:5眼
・閉塞隅角緑内障に対する虹彩光凝固:10眼
・後発白内障に対するNd:YAGレーザー手術:121件
計マルチカラーレーザー:70眼、Nd:YAGレーザー:121眼
今年の蛍光眼底造影件数は昨年よりも多く19件でしたが、比較的軽い方が多かったことからレーザーの件数は若干少なめとなりました。ある程度進行した糖尿病網膜症は早めに大学病院等に紹介するケースが多くなっていることも件数の減少の要因と思われます。最近は糖尿病網膜症のある方の白内障手術も多くなっておりますので、造影検査を行うケースは今後とも増えて行くことが予想されます。また、いわゆる飛蚊症を自覚して来られた方については、平均すると1か月に3名位の方がレーザー治療を受けておられます。この飛蚊症に伴うものについてはほぼ同じペースで来られると予想されますので、来年以降も必要に応じて随時レーザー治療を行ってまいります。
・糖尿病網膜症に対する汎網膜光凝固:52件
・糖尿病網膜症や網膜裂孔に対する局所的網膜光凝固:43件
・閉塞隅角緑内障に対する虹彩光凝固:4件
・後発白内障に対するNd:YAGレーザー手術:117件
計マルチカラーレーザー(6月まではアルゴンダイレーザー):99件、Nd:YAGレーザー:117件
主に糖尿病網膜症に対し、今年は蛍光眼底造影を16件行っています。その多くは汎網膜光凝固術の施行に至っておりますが、レーザーの件数は昨年よりも少なくなっておりました。最近は糖尿病以外の眼底出血に対するレーザー治療を控えていること、進行した状態の糖尿病網膜症の方が受診された場合には、直接近隣の総合病院に御紹介するケースが増えていることが件数減少の要因と思われますが、通常の眼底検査では進行していないように見えても、突然重症の出血を来す方も散見されますので、今後より積極的に蛍光眼底造影を行う必要性を感じています。
・糖尿病網膜症に対する汎網膜光凝固:75件
・糖尿病網膜症や網膜裂孔に対する局所的網膜光凝固:48件
・閉塞隅角緑内障に対する虹彩光凝固:8件
・後発白内障に対するNd:YAGレーザー手術:118件
計 アルゴンダイレーザー:131件、Nd:YAGレーザー:118件
まとめ方が若干2004年と異なりますが、総数ベースで見るとすべての項目で若干件数が増加しています。
今年は増殖期に至った糖尿病網膜症の方が多かったため、1)の汎網膜光凝固の件数が多くなりました。特に秋以降は蛍光眼底造影検査の件数も多く、かなり積極的に糖尿病のレーザー治療を行った印象があります(糖尿病の皆様、くれぐれも網膜症を悪化させないように御注意下さい!)。一方、以前と比べて3)の網膜裂孔(または円孔)に対する網膜光凝固は件数が少なくなりました。これは、網膜に円孔があいていても牽引がなければレーザー治療は不要であるという最近の専門家の意見に従い、網膜の穴を発見してもレーザー治療をせずに様子を見ることが多くなったことが原因です。また、網膜静脈閉塞症に伴う眼底出血に対しても、数年前まではレーザー治療を積極的に行ってきましたが、最近は手術治療や薬物治療の対象となることが多くなってきたため、即座にレーザー治療を行うことは控えるようにしています。
レーザー光の熱効果により眼球内の組織を“焼く”ことにより治療します。網膜にレーザーを当てると時に痛みを感じますが、通常はそれほど痛いものではありません。当院のレーザー治療にはマルチカラーレーザーとヤグレーザーの2種類があります。どちらも目に特殊なコンタクトレンズを当てて行うという点は共通していますが、レーザーの原理や効能は全く異なります。
マルチカラーレーザーについて
1.網膜に穴があいた場合
2.網膜に穴があき、網膜剥離が軽度に生じている場合
網膜に穴があいているとその穴が原因で網膜剥離になることがあります。網膜剥離がすでに進行していたら手術を行うしかありませんが、これが軽度の場合やまだ起こっていない場合はレーザーで穴の周囲を焼くことにより網膜を剥がれにくくすることができます。
3.眼底出血
中心からはずれた軽い眼底出血は放置しますが、出血が広範囲だったり、出血に伴う網膜黄斑部の浮腫がある場合には出血の早期吸収や黄斑浮腫の軽減、または合併症の予防を目的として局所的な網膜光凝固を行うことがあります。
4.糖尿病網膜症に対する局所的凝固
毛細血管瘤がむくみの原因となっている場合、それを直接凝固します。網膜の中で血液のめぐりが悪い部分(無灌流野)があると将来悪影響を及ぼすため、悪い部分を焼いて“間引き”することにより網膜症の進行を予防します。
5.糖尿病網膜症に対する汎網膜光凝固
無灌流野が広範囲に存在したり、新生血管(脆くて出血しやすい)がすでに生じている場合には、網膜の全象限を4〜5回に分けて凝固します。黄斑浮腫などの副作用が生じる可能性もあるため、視力に注意しながら1〜2週間以上の間隔をおいて行っています。
6.中心性漿液性脈絡網膜症
いわゆる中心性網膜炎に対して治りを早くする目的で行うこともありますが、この場合は5〜10分以内に終了し、痛みもまったくありません。
7.虹彩に穴を開ける場合
急性の緑内障発作を起こした場合の治療として、もしくは発作が起きる可能性が高い場合の予防的処置として虹彩(茶目)に小さい穴を開けることがあります。これにより発作の危険性はほとんどなくなります。
これ以外にもいろいろな用途がありますが、詳細は省略させていただきます。
*費用は1・3・4の場合は保険3割負担で約3万円(1割は約1万円)、2・5・6の場合は3割負担で6万円弱(1割は約2万円)、7の場合は3割負担で約2万円(1割は約8千円)です。
*手術給付金付きの医療保険に加入されている方は支給の対象となることが多いようです。詳しくは保険会社にお問い合わせ下さい。
ヤグレーザーについて
このレーザーは焦点が合った部位の組織を破壊する効果が強く、白内障の手術後に生じる濁りの(後発白内障)治療やアルゴンダイレーザーの7.と同じ用途に使われます。
このレーザーの所要時間は2〜3分と短く、しかも痛みはほとんどありません。
*後発白内障治療の費用は保険3割負担の方で約4500円(1割の方は約1500円)です。
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された増殖糖尿病網膜症の写真です。 |