えほんのお部屋  *  眺めのいい部屋

 

 『ウルスリのすず』(ゼリーナ・ヘンツ・文 岩波書店)
トルン生まれのスイスの作家さん

岩波書店さんから復刊、
アロワ・カリジェから地元の呼称
アロイス・カリジェに改名されました

 
アロワ・カリジェを訪ねるスイスの旅ミニ紀行

・・・  Alois Carigiet ・・・ 

  

 

 スイスの旅を何倍も楽しいものにしてくれたのが、ほかでもないこのカリジェさんの存在でした。アルプスのパノラマ、季節の花々、小川のせせらぎ、美しい自然とはうらはらに旅人でははかりしれない自然、生活の厳しさをカリジェさん風に描きあげています。
 
数はそんなに多く出版されていませんが、どれも大好きな絵本たち。

 自然にむける目、なにもかもが素敵、ステキ!
私のいちおし言ってしまいたいくらいお気に入りの絵本が『ナシの木とシラカバとメギの木』(大塚勇三・訳 岩波書店)、文も絵もカリジェさんのものです。

 お庭の木に、春になると渡り鳥が巣を作るの、一家は毎年温かく見守ってあげるんですね。暖かい日には、シラカバの傍にあるベンチで家族団欒、手芸好きの母娘、鳥の巣をのぞくドキドキ感、ストーブ用のたき木作り、春を迎えるなんともいえない喜びがいっぱい詰まっています。

 
雪が降り積もるこんな表現もステキですよ。


  おかあさんがお菓子の上にさとうをふりかけてるみたいでした。
  それから、雪のふとんはだんだんあつくなり、なにもかもが、
  ゆっくりと、やわらかい白いマントのかげにかくれていきました。


 
音楽が聞こえてきそうなシーンに心が躍らされる大雪
』(ゼリーナ・ヘンツ・文  生野幸吉・訳 岩波書店)、雪国の人にとっての雪、生活していく中でいろんなドラマがありそうですね。ふもとの村にお使いに行ったフルリーナがなかなか戻ってこないので、心配になったウルスリは雪の中、妹を探しに出かけます
 
 
カラーの絵はもちろん、私は文章が並んだページにそえられたモノクロの線画の方に注目してしまいます。
 カリジェさんの絵には必ず、人間の近くに動物がいる。そして大自然、共存することの厳しさと喜び、あますことなく表現されています。



 アルプスの山奥に暮しているウルスリがウルスリのすず
ゼリーナ・ヘンツ
 大塚勇三・訳 岩波書店)でも登場します。
 
楽しい「鈴行列」、ちょうど3月頃の春のお祭りです。

 
羊の毛から作られたウルスリの帽子はもちろん、お母さんの手作り・・・
自給自足の生活の豊かさ、今の子には特に感じてほしいなぁと思う描写です。食卓に並んだ生クリームつきの栗にもにっこりしてしまいますね。


 フルリーナがキツネに襲われそうになったオオライチョウを見つける『
フルリーナと山の鳥ゼリーナ・ヘンツ・文 大塚勇三・訳 岩波書店)。
 
姿がなくった小鳥を探して、シラカバの木の上で寝込んでいるのを見つけるシーンは印象的。下から見上げると、小鳥がプラネタリウムばりの星空の合間にぼんやり見えるの・・・想像しただけでも素敵です鳥にしても人間にしてもふさわしい居場所があること、しみじみ感じさせてくれる絵本です。


 『
マウルスと三びきのやぎ
』(大塚勇三・訳 岩波書店)、
ヤギ飼いの少年マウルスが、3びきのヤギを連れて山に出かけます。
 
スイスといえばハイジのペーターもヤギ飼い少年でした、棒を持ち歩いて、その出で立ちや生活はそっくりです。
 絵本の扉に、カリジェさんが寄せる言葉。


  ふるさとの山々をたったひとりあるいていて、とおくのほうにヤギの
  むれのすずの音をきいたとき、またはヤギのむれとであったとき、
  いつでもわたしは、よろこびでいっぱいになりました。
 

 澄んだ空気、鈴の音、高らかに鳴り響く角笛の音・・・なにもかもが気持ちがいい、子どもにもこの喜びを伝えたいというカリジェさんのメッセージが届くような気がします。
 シュチーナおばさんのお花模様の頭巾、なんてかわいいんでしょう。



 
このマウルスが町に住むいとこのマドライナのお家に初めて1人で遊びに行く『マウルスとマドライナ大塚勇三・訳 岩波書店)
スイスの旅をしたとき、車窓から眺める湖や背の高い教会、なだらかな稜線、そして雪化粧した高いアルプスの山々、とても印象的でした。そう、駅に停まる赤い列車も!そんなシーンが出てきてとてもうれしくなります。

 
色さまざまな布きれを枝にゆわえつけて、なにに使うんでしょう、山で生きる人の知恵がこんなところで垣間見られます。




           
   

・・・アロワ・カリジェを訪ねるスイスの旅・・・
トルン(Trun)
彼の生家、お墓のある教会、そして美術館のある小さな町です。お天気がよかったおかげでお散歩も楽しめました。

よく見ると、駅から美術館まで立ち並ぶ家の外壁にカリジェの絵がいくつか目に飛び込んできます。

美術館には美しいアルプスの自然を背景に生活する子どもたちや動物が描かれた彼の原画が飾られていました。

訪問者ノートには以外にも日本人の名前が多いこと。カリジェに魅せられた人がこんなにいるとは・・・!
ディセンティス(Disentis)
カリジェのグッズを取り揃えたショップがあるというので下車してみた駅です。駅からの坂道を登っていくと正面に・・・ゆるやかな階段の先にありました。

少し階段になっていて、店内はそんなに明るくありませんが、自分で額に入れて飾れるような絵やミニカードなど所せましと並んでいるので、カリジェファンにはうれしいスポット。

お値段もわりと手ごろ。こんなお店があることを知らなければ、一生立ち寄ることもなかった駅かも・・・と思ってしまうくらい地味だけど、いいところでした。電車待ちでしばらく時間があったので、近くを散歩しました。
クール (Chur)
ディセンティスに行ったりするのに、アクセスもよく拠点になるのがこの駅。日本語で星を意味する「Stern(シュテルン)」というホテルに泊まりました。
 
オーナーがカリジェと顔なじみだったそうで、壁には彼の絵がかかっていてちょっとしたギャラリー。

雰囲気のいいレストランは夜には予約のお客がおいしいと評判のお料理を食べにやってきます。ワインなどいただいて。たまたま「トリプルカレー」だったか名前を忘れてしまいましたが、食べてみたら大きな鶏肉がごはんにのったカラフルなカレー、これがなかなか美味しかった!我が家はこれを真似て作っています。
紙製のランチョンマットもカリジェの絵、お土産にしたくなるくらいステキでした。
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Swiss Graffiti
カリジェさんの地はもちろん、スイスの旅行記を丁寧に書き綴られたグリンデルさんご夫妻のサイト。
スイスの魅力をたっぷりお楽しみください。