Maritime Labour Research Institute

財団法人海上労働科学研究所
    

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海上労働調査報告 第6集(労働科学研究所報告) 運輸省船員局 昭和30年11月

第1篇 船員の疾病、災害、疲労に関する調査研究報告
1.船員の疾病と災害について
 A 船員の疾病について、B 船員の災害について
西部徹一 海労調報(6)1〜30(1955)
 疾病と災害については、S26.1〜12の1年間に発生した下船療養をした疾病と災害について集計整理したものである。その結果、結核と性病が疾病の双璧をなしている。グループ別では、もっとも労働負担が大きい航海士のグループが罹病率は低く、事務作業者である事務長、員が高率である。年令別は、24才以下は低いが、25才以上で高くなり39才あたりで再び低下している。
 災害件数率(重傷のもののみ)は22.5で、かなり高く、骨折と潜在性梅毒は今後の研究の要がある。部位は「あし」が多い。今後の対策としては、結核と施設の改善と安全教育とに力をいれることがまず第一である。

2.フリッカー値からみた船長、航海士の疲労について
西部徹一 海労調報(6)32〜37(1955)
 1950、1951年、小型客船M丸とKD型T丸の船長、航海士8名を対象に4日ないし5日間フリッカー値を測定した結果を論ずる。
 @朝8時値の逐日変動は船舶の動静に応じ区々であるが、航海中は第1日に低下がみられ、第3日より馴化傾向を示す。A逐時変動では朝低く午後高くなる異状型で慢性疲労の傾向をみせるが、船員の一般的な型のようである。B深夜直の2等航海士ではとくに睡眠によるフリッカー値の回復状態は不十分。

第2篇 船内設備と居住環境に関する調査研究報告
1.船内調理室設備とその環境条件について
石堂正三郎 海労調報(6)39〜58(1955)
 調理室の設備とその環境条件につき、各国の規定と比較しつつ、温度条件、空気汚染、設備の実態を、4隻の船について調査を実施し、環境条件のための設備、配置上の検討を行った。その結果、新らしく造られる船は、調理室とその附属室の設備、環境等に関して非常に考慮が払われ改善されてきていることが看取できるが、換気については未だ不充分であり、その他調理員の作業調査から考えた設備配置が必要と思われる。

2.某船の船員室の夏季における環境条件と冷房効果について
石堂正三郎 海労調報(6)59〜74(1955)
 公室に冷房装置の設けられているタンカーの、停泊中および航海中の夏期における環境条件と冷房の効果について調査検討を行い、それと共に、輻射熱による室内温度の上昇防止についての試案を作成した。本船のように、左来の設備構造のままで、ユニットクーラーを置いてもその効果は顕著でなく、電力事情のため使用できない場合もあり、これは、本調査中に行った実験結果からも明らかである。

第3篇 船内食料に関する調査研究報告
1.熱帯航海におけるビタミンBlの補給について
高木和男 海労調報(6)76〜88(1955)
 船員にビタミンB1を補給する方法研究の報告で、1952年7〜9月、M社バーレン航路タンカーSP丸で2航海、バイリッチRとビタライスによる強化法を実施させた。
 @1951年の調査と同じく、出港時、帰港時、入渠時の3回尿中B1濃度を測定、強化基準として長期遠航の場合2mg(1日1人)、航路条件の悪い時2〜3mg、一般航海では1mg程度が一応考えられる。補給方法は炊飯時に炊き込む方法が推奨しうる。
 米の食味とビタミンCの問題が別途解決をせまられている。
 A喫食率からみた食欲−20日間、良・可・不可を記録させた結果では、a.朝食よく、夜食悪い。b.通信士悪く職場との関係があるらしい。

2.野菜の貯蔵における殺菌灯の効果について
高木和男 海労調報(6)90〜98(1955)
 小規模冷蔵庫内に低オゾン殺菌灯を設け、にんじん、みかん、ほうれん草を貯蔵して、細菌数、ビタミンB1、B2、Cを毎週一回、4週間測定した。
 成績 a.ほうれん草のごとく、束ねて貯蔵するものは効果がうすい。b.みかんについては、表面のカビが抑制され、内部に繁殖していくので、他の個体への伝播防止ができることが確認された。c.ビタミン類の損失はとくにない。d.陰になる部分、重なった部分あるいは箱詰みかんなどへの効果は未知であり、さらに試験が必要。
 殺菌灯の大きさ、位置、灯数等の問題もふくめ、実船規模での試験が必要である。

第4篇 船員の資質能力に関する調査研究報告
1.海員学校生徒の体力検査の結果について
石井雄二 海労調報(6)99〜117(1955)
 昭和27年海員学校生徒567名に対し身長、体重、胸囲、上腕囲、肺活量、握力、懸垂、背筋力、跳力、身体平衡能、敏捷能、柔軟度の測定を行い、うち87名に対し負荷試験(膝全屈伸20回)を実施している。海員学校生徒の発育状況は、一般学生、労働者より一般に良好である。機関科は重厚、強力の体力型、航海科は調和型、敏括な性能の特徴が見られる。負荷試験の結果によれば、膝屈伸運動負荷法もある程度循環機能の判定に有効であると認められた。

2.新船員の採用体力評価基準表について
石井雄二 海労調報(6)120〜125(1955)
 昭和26年度および27年度、全国8海員学校生徒について行った身体測定成績を主とし、これに文部省、厚生省、労研の資料を勘案して修正を加え、各年令の平均値と標準偏差を求めて、正規分布の仮定の上に立って標準偏差にもとずき5段階に区分して基準値を設定している。
 基準表は、身長、体重、胸囲、上腕囲、肺活量、背筋力、握力、ベルベック指数について作成されている。
 なお、職種や作業に対する身体適性を考慮し、体重、胸囲、上腕囲、ベルベック指数については航海科と機関科と区別して設けられている。

3.海員学枚生徒の精神測定の結果について
西部徹一 海労調報(6)127〜136(1955)
 昭和27年海員学校生徒956名に対し桐原式知能、クレペリン、向性の各検査および運動能検査を実施した。
 昭和26年度の同種の調査に引続いて行なわれたものであり、各検査項目について春期、秋期入学者に分け、昭和26年度と比較しながら成績の分布、学校差、航海科機関科別の成績の比較検討を行っている。知能検査成績は昭和26年度、昭和27年度春期、秋期の順に成績は向上しており、クレペリン検査については、昭和27年度は前年度より著しく良くなりている。向性指数については、両年度の間には大きな傾向の差はみられなかった。

第5篇 船内作業改善に関する調査研究報告
1.機関員の休憩時間について(続)
三浦豊彦 海労調報(6)137〜148(1955)
 海労調報(5)で発表した機関員の休憩時間についての実験結果を実際の機関室でそれを確かめるため、乗船調査(’52.7.21〜23)を行い、脈拍数、心電図、体温、全血比重、体重の減少について測定した。その結果、熟練者と未熟練者とで負担に大きな差があらわれ、高温に対するなれ以上に、仕事のやり方、手順のよさが重要な役わりをはたす。S丸航海中のボイラールームの平均乾球温度35℃、湿球温度30℃から、休憩60分ならば先づ労働は可能であると考えてよいと思われる。

2.夜間船橋当直における航海士の暗順応について
大島正光 

3.夜光塗料の航海計器への応用について
千原義男 海労調報(6)167〜180(1955)
 夜間における作業能率の向上、作業負担の軽減、災害の防止等の対策として、夜光塗料の特性の活用の方法に関して考察を行い、特にラジウム発光塗料を計器盤等に塗装する場合に、その文字及び目盛の見え方の面から、如何なる輝度を適用すれば良いかについて、練習船進徳丸、大成丸における実用実験も含めて、具体的な検討を行なった。
 なお、発光塗料の標識の輝度基準の決定、蓄光塗料の活用等の問題については更に研究を進めねばならない。

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