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海上労働調査報告 第11集(労働科学研究所報告) 運輸省船員局 昭和35年12月
(海上労働科学研究会資料 第5号 海上労働科学研究会)
第1篇 船内における人間関係に関する調査研究報告
1.船員の職制上の地位とモラールについて
西部徹一 海労調報(11)2〜11(1960)
船員のモラールを職種別に検討して、職制の面から考察した。調査方法として、従来の意見調査(25問)によった。対象は代表的大経営の14隻、530名である。
職種別モラール水準は、職員のモラールの方が部員より低い。職制上の地位とモラール水準の関係では、部員は地位が上るほどモラールが高い。すなわち正常である。しかし職員には地位が上るほどモラールも上がるが、メスルーム級はネガテイブでモラールが著しく低くて問題がある。
意見調査の経営、上司、同僚、仕事、組合に対する項目別にモラールのプロフィルをみると、仕事に対して職員、部員とも最もネガテイブで問題がある。項目別にみた職制上の地位とモラールの関係には、各職種と地位別にその特徴を観察することができた。
2.船員のパーソナリティ特性について
西部徹一 海労調報(11)14〜19(1960)
特殊な環境による船員の心理的傾向はどのようなものかを、労研式パーソナリテイテストにより調査した結果を検討した。対象は船舶職員255名、部員618名、商船大学および商船高校の船舶実習中の学生1831名である。その結果を要約すると、他産業と比較して鉱業の職員の場合と共に低い。職種別にみると、職務の内容、作業環境などによって、パーソナリテイに差が生ずることがみとめられる。航海士と機関士における差は、いちじるしい例である。労働負担の差によっても得点の差がみられ、年齢別にみると、30才代がもっともパーソナリテイ得点の低下する時期で、40才代になって安定期に入る。船員のパーソナリテイが積極的になるよう、労働条件などの具体的な改善策を考慮しなくてはならない。
3.練習船実習生の職業観の発達について
大沢文男 海労調報(11)22〜31(1960)
実習生の職業観を解析して、発達的にその形成変容の過程をみた。錬習船実習を通じてみるとき、商船学校生の職業観には段階的な発達変化がみとめられる。そして次第に船員という職業生活を否定する性格が内蔵する過程がみられる。このネガテイブな職業意識の示唆するところは、本質的に海に根ざした不利な労働条件からの保護対策、船内人間関係の問題や船員の家庭生活の問題も含めた積極的な管理方策、船員の社会的地位の向上をめざした政策面の働きかけ、さらにそうした努力を不毛に終わらせないための絶えざる研究活動などが、焦眉の急務として理解されなくてはならない。
第2篇 船員の疾病災害に関する調査研究報告
船員の疾病災害に関する統計
西部徹一 海労調報(11)33〜78(1960)
1951〜1958年に至る8ケ年間にわたって、429社延213,254名の船員に対し、下船療養者について船員の疾病災害を調査し、船員の安全衛生管理の参考資料とするために分析した。疾病、災害による下船療養者を傷病類別構成比、疾病率の職種別比較、疾病と年令、月別発生率、治療期間別比率によって比較検討し、種々の傾向を見出せた。又疾病率についても同様に9社についての8年間にわたる推移より各々の傾向があきらかになった。
第3篇 船員の資質と適性に関する調査研究報告
1.航海士の夜間視機能の適性について
千原義男 海労調報(11)79〜89(1960)
昭和34年1月海技専門学院の学生146名について暗順応(両眼)、低照度視力、視力(遠距離、近距離)の測定を行っている。暗順応閾値は暗順応20分時の測定値であり、その分布にもとずいて標準偏差により5段階に区分し暗順応機能の評価基準を作成している。機能のかなり劣っているものが約10%見られた。また、暗順応機能の検査の簡易法として、低照度(1〜2lx)下の視標の可読時間を測定する方法を試み、その成績から簡易法の有志性が認められているが、評価基準とともに更に追試を必要としている。さらに従来の文献にもとずいて暗順応機能、昼間視力、薄暮視力、夜間視力の相互の関係について言及している。
2.海員学校生徒の体位の推移について
西部徹一 海労調報(11)92〜106(1960)
1951年〜1960年の10年間の全国8海員学校生徒の体力測定の成績をまとめている。 全国学生生徒(文部省)の平均値と比較すると、年度の推移は、身長、体重、胸囲、V指数の各平均値ともに文部省値とほぼ平行している。構成年令別に見ると中学新卒の15才の年令層の体位がもっとも優れており、年令層が高くなるにつれて文部省値との差が小さくなり、近年その傾向が著しく、文部省値を下廻るようになりつつある。秋期入学生徒は一般に春期入学生徒に比べて体位が劣っている。その他、体位の学校差についても考察している。
3.海員学校生徒の精神機能検査成績の推移について
西部徹一 海労調報(11)107〜118(1960)
1952年〜1957年(6年間)の海員学校入学生徒約5,600名に対する精神機能検査の成績について考察を加えている。桐原式知能検査については、全体としてはかなり優秀、成績劣悪なもの約4%、春期入学者は秋期より成績良好である。向性検査の結果のうち著しく内向性傾向のもの5.6%、クレペリン検査について異常型のもの4.8%あり、入学試験時に精神機能検査を行いスクリーニングするのが望ましい。年度別推移については、知能水準の推移は、入学競争率と平行しており、向性指数は春期より秋の方がやや高いが、近年その差が縮小している。クレペリン検査成績の異常型の比率は低下の傾向にあり、成績が向上しつつある。その他学校差についても成績を比較検討している。
第4篇 船員の栄養に関する調査研究報告
1.船用米の貯蔵方法に関する研究(第2報)
高木和男 海労調報(11)120〜135(1960)
第2回目以後の貯蔵試験結果の報告。第1回に準じたタンク貯蔵法の実験的研究と船内搗精法のテストをする。
@タンク貯蔵の成績−第2回から第5回までの試験結果。a.米の蒸発水分が次第にタンク中央部、上部へあつまる。密閉タンク内では温度の急激な低下にあうと結露に至り、くりかえしによりカビ発生に至る。
A船内搗精試験−フィジー島近海出漁のマグロ漁船にて、貯蔵白米と比較した。a.色調、粘り、固さ、味において船内搗精米が優る。b.VB1量は搗精度合による相異大。c.搗精機は労力、能率の点で佐竹式が優る。
タンク貯蔵はさらに研究の余地がある。
2.外航船における食料購入の現状について
小石泰道 海労調報(11)138〜163(1960)
国民の食料消費傾向と船員の実態との比較による問題点の摘出。
方法−1959年における外航船16隻の年間購入食糧を集計し、推定廃棄率を加味して給与可食量、価格を算出した。
結果−@船員の食料消費構造が明らかとなり、国民の傾向との較差、後進性が把握できた。A群別および品目別の年間消費量(率)が判り、荷重平均成分表が作成できた。B群別荷重平均廃棄率を算定(試案)。
3.外航船用「食品類別荷重平均成分表」について
小石泰道 海労調報(11)166〜174(1960)
1947年船員標準食糧表の改正にともない、労働科学研究所では暫定的な船舶用食品類別荷重平均成分表を作成したが、食糧事情の好転により1957年に食糧表の第2次改正が行われた。そこで1957年の年間消費量を16隻の購入量より求め新たに「食品類別荷重平均成分表」を作成した。
第5篇 船員の居住環境と設備に関する調査研究報告
船内冷房に関する研究
第3報 外気温を考慮した冷房の至適温度に関する研究
A 生理学的研究の結果 B 生化学的研究の結果
三浦 豊彦 海労調報(11)175〜197(1960)
3名の男子被検者により、1959年8月、労研人工気候室にて、高温室入室前の冷房室の温度と、高温室退室後の冷房室の温度とについて最適の温度を知るための実験を行なった。生理学的には、直腸温、皮フ温、脈拍数、血圧、皮フ電気抵抗、水分喪失量、全血比重、皮フ光電脈波などを指標とし、生化学的には、ウロペプシン、アドレナリンの排出量などを指標として、検討を加えた結果、25℃が最適であることがわかった。なお、高温室の温度は40℃、35℃、30℃の3種とし、冷房室の温度は30℃、25℃、20℃の3種としこれを組合せて実験したものである。
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