Maritime Labour Research Institute

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海上労働調査報告 第12集(労働科学研究所報告) 運輸省船員局 昭和36年12月
(海上労働科学研究会資料 第6号 海上労働科学研究会)

第1篇 船内における人間関係に関する調査研究報告
船員のモラールの変化について
西部徹一 海労調報(12)2〜18(1961)
 モラール変化の実態をとらえ、管理層との関連にもふれモラールを左右する各種の条件について考えた。対象は、33隻、1329名で、方法は前回と同じである。対経営、上司、同僚、仕事、組合にわけてモラール・プロフィールを検討し、経営と仕事はネガテイブにもしくは低い正の値が多い。前回の調査結果との比較では、対組合をのぞいてはいずれもモラールは低下している。船員のモラールを支えているものは、対上司と対同僚のモラールであるといえる。船内における上下左右の人間関係を緊密にして行くことが重要である。すでに職員では対同僚モラールの低下が始まっている。船員という職業の魅力が失われつつあることがわかるが、その対策を考えなければならない。

第2篇 船員の疾病災害に関する調査研究報告
1.船員の疾病災害率の維移に関する統計図表
西部徹一 海労調報(12)20〜28(1961)
 1951年より実施してきた船員の疾病災害率(下船療養した者のみ)を、逐次加えることによって9年間の疾病災害率の推移を分析した。病類別発生数と比率、職種別発生数と比率を明らかにし、その結果、その傾向をよりくわしく観察できた(疾病の分類は「船員の疾病災害に関する統計」、海労調報11、33〜78、1960と同じ)。

2.航海中におけるタンカー乗組員の低血圧について
久我昌男 海労調報(12)29〜34(1961)
 船員500名に対して、昭和28年〜31年にわたって血圧を測定し、血圧の統計的考察を行ない、船員職場環境が血圧に及ぼす影響について検討し、つぎの結論を得た。
 @勤続年数10年以上の船員は、最高および最低値とも、年令に応じた従来の血圧諸統計に比し、低い値を認めた。
 A高熱職場船員は、普通職場船員に比し、最高および最低ともに低値を認めた。

第3篇 船橋における見張作業に関する調査研究報告
1.航海士の夜間視力と暗順応の阻害状況について
千原義男 海労調報(12)36〜50(1961)
 夜間航海当直中の暗順応の状況の実態調査および海図机、航海計器等の照明による暗順応の阻害度の実験調査を、練習船北斗丸において、商船大学実習生を被験者として行ない、次のような結果を得た。@夜間当直員の暗順応は、海図作業、計器観測作業等に伴なう光刺激によってかなり阻害されている。A日出没薄明時において当直員の暗順応閾値と外界の照度とそれぞれの対数値はほぼ比例して変化するが、0.1〜0.2lxを境として変化の傾向が異なり、錘体視と桿体視の差異が区別できる。B感光度低下率と感光度回復所要時間の二つを指標とすると、光刺激の光量が8〜101x min以上において阻害度は急激に上昇する。C海図机の照明による阻害度は大きい。

2.航海計器の配備条件について
千原義男 海労調報(12)51〜60(1961)
 航海作業の能率の向上、航海士の作業負担の軽減を図る上から、船橋における航海計器等の装備のあり方は充分に検討されねばならない。この検討の足掛かりとして、現在船舶に装備されている計器等について、航海当直作業の作業時間調査及び計器の配備状況の調査結果(航海計器等の作業点の高さについて、7000トン級貨物船2隻、練習船2隻、相互関係については8000トン級貨物船2隻の調査結果)にもとづいて、人間工学の立場から適正な配置及び作業点の高さの条件に関して検討を行い、その例を示した。

第4篇 船員の栄養に関する調査研究報告
1.内航船用「食品類別荷重平均成分表」について
請地治門 海労調報(12)62〜67(1961)
 外航船の調査に引きつづき、700〜3,000G/Tの内航船10隻を抽出し、1958年の年間購入食糧について、外航船の場合と同様にして集計の上、内航船用を作成した。

2.船員の食料給与に関する研究
(1)経営規模別にみた食料の消費構造について
小石泰道 海労調報(12)71〜78(1961)
 @給食管理者の視角について−集団給食を栄養や食費の狭い視角からのみ突ついていると管理が人間味の失われたものに陥る危険がある。食の文化と生活全体からみる広い視角が必要。
 A船の規模別にみた消費構造−外航船、内航船、小型鋼船別の調査結果。a.米や大豆加工品の消費量には較差なし。b.その他の主要類別食品では船が小型ほど逓減する。c.穀類加工品ではパンが小型になるにつれて逓減するに反し、めんは逓増する。また魚加工品、鯨肉が逓増するのが特色。
 B食生活水準の較差は食料金の較差にその一因がある。汽船船員の34%に及び小型鋼船の給与水準の低さは問題。

(2)船員の食文化について
小石泰道 海労調報(12)79〜87(1961)
 @船員の食料消費構造は国民の消費傾向からみて跛行性をもつ。
 A食文化の形成過程と変化の史的考察からみてこの跛行性は船員(組合・調理手・喫食者)、船主、行政者の食観念の固定化が一義的要因とみられる。社会的職業的集団にはその集団独自の食習慣があり、献立の分布分析をみても船員食としての類似性がうかがわれる。これはまたつとめて生の材料を使い、つとめてオカの食事に近づけようとした観念の固定化が問題となる。
 B船員の好き嫌いの食欲心理的考察−a.嗜好満足への集団的解決が閉ざされている結果、個人的な嫌忌の態度を生む。b.先輩の模倣による嫌忌。c.船内集団における食生活以外の要因の転化による食物拒否(プレステージやフラストレーション)。

3.船の飲料水タンク塗料の生物学的実験研究(第1報)
高木和男 海労調報(12)88〜105(1961)
 各種タンク内面塗料の適否を人畜に対する有害性の有無について5種の塗料を試験した。すなわち昭和35年7月27日〜昭和36年1月末の間、貯水タンク動揺装置内に貯水したものを白ねずみに与え12週間の発育比較試験の終了後、臓器の組織的検索を行った。その結果、エポン、コールタール系塗料、常温乾燥エポキシ系塗料は長期間の飲用に供することは不適と考えられる。

4.ペルシャ湾航路のタンカーにおける飲料水の衛生について
久我昌男 海労調報(12)106〜114(1961)
 船内における清水は、飲料用としての用途をはじめ、環境衛生一般に対し大なる関連性を持っている。そこで船医として乗船したペルシャ湾航路8カ年間を選定して、船内清水につき、船内臨床医学の面から検討したので報告する。調査として、出渠後疾病発生状況、海域による清水温度変化、荒天時の清水温度変化、水素イオン値、清水の混濁と大腸菌との関係などについて行なった。その結果、槽内補修作業による槽内汚染、塗装物の飲料水中溶出は大きな問題であり、給水に対する配慮、清水槽の完全消毒、槽内塗装物の十分な水洗などが必要と思われる。

第5篇 船員設備に関する調査研究報告
船内冷房に関する研究
第4報 外気温を考慮した冷房の至適温度に関する実験的研究(つづき)
三浦 豊彦 海労調報(12)115〜116(1961)
 第三報で報告した実験に引続いて、1960年8月、4人の健康な男子学生を被験者とし、着衣の状態で、温度条件を高温室38℃、34℃、30℃(湿度70〜80%)、冷房室28℃、26℃、24℃、22℃(湿度50〜60%)とし、これを組み合せて、前回と同様な指標をとって至適温度を求めた。その結果、26℃が適当と思われる。

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