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海上労働調査報告 第14集(労働科学研究所報告) 運輸省船員局 昭和39年3月
(海上労働科学研究会資料 第8号 海上労働科学研究会)
第1篇 船員の疾病、災害率の推移
西部徹一 海労調報(14)3〜11(1964)
1951年より実施してきた船員の疾病災害率(下船療養した者のみ)を、逐次加えることによって11年間の疾病災害率の推移を分析した。病類別発生数と比率、職種別発生数と比率を明らかにし、その結果、その傾向をよりくわしく観察できた(疾病の分類は「船員の疾病災害に関する統計」、海労調報11、33〜78、1960と同じ)。
第2篇 船員の災害に関する研究
(1)硫酸滓による酸欠事故
沢野勉 海労調報(14)14〜18(1964)
1962年パイライトシンダー積みのT丸が3名の死亡者を出した事故について原因を追求した。その結果、積荷のパイライトシンダーが船艙内の空気中の酸素を消費し、酸素量4〜5%の極度の酸素欠乏の状態となっていた船艙内に人が入ったために起った事故とわかった。
(2)石炭輸送船におけるメタン発生と酸素欠乏
沢野勉 海労調報(14)19〜23(1964)
石炭を積載して北海道から横浜へ向けて航行中の貨物船の船上で、ライターの点火により爆発がおこり1名が火傷を負った事故が生じた。調査実験の結果、石炭から放出されたメタンが居室に漏洩していたことが原因であることがわかった。今後危険物船舶運送および貯蔵については、乗組員にその性質と危険を熟知させることも事故防止の上から必要なことである。
(3)銅精鉱による船員の障害
霜鳥喜逸 海労調報(14)24〜32(1964)
某船において航海中、Barquito積Copper Concentrate発熱のため、緊急荷繰り作業を行った結果、同作業に従事した乗組員に中毒症状がおこった。労研実験室で保存実験をした結果、今後、船艙においては酸欠と熱発を考慮し、温圧上昇を目標として換気をはかるべきであること、又作業者については胃腸障害、塵肺を考慮して防塵策を講じることに注意を要することがわかった。
(4)セメントタンカーにおける船員の障害
久我昌男 海労調報(14)33〜37(1964)
セメントバラ積船の荷役作業中の船員の皮膚障害について臨床症状の推移、主訴、白血球数、尿中蛋白、ウロビリノーゲン定性試験等を行った。その結果、熱帯地高温環境下に於けるセメント船内荷役に於いては、(1)セメント粉塵による身体汚染は皮膚粘膜症の原因となりうる、(2)粉塵の吸入汚染は人体に何等かの影響を及ぼす、ということが考えられた。
(5)船舶用スケーリング、マシンによる錆落し作業にともなう船員の障害
久我昌男 海労調報(14)38〜44(1964)
スケーリングマシンを使用する錆おとし作業によって発生する手指の伸展障害について調査し、船内衛生管理上より考察した。その結果、手指伸展障害ならびに関節倦怠感が発生しやすく、一過性の症状であるが、若年者に少なく青年以上に多いことがわかった。この対策としては作業間隔をおくこと、スケーリングマシンのハンドルに衝撃防止用の防振材をおくこと、厚手の手袋を使用することなどが考えられた。
第3篇 船室の居住性能
神田寛 海労調報(14)45〜62(1964)
昭和30年、航海訓練所に船舶居住性能委員会が設けられ、労研、運研、建研、三菱造船所が協力して、医学、心理学、工学の立場から、居住性能に関する総合的な研究が続けられ、その研究成果が、昭和37年に建造された練習船進徳丸に広く反映された。そのうちの、空気調和装置、防熱構造、防音対策、船内照明、色彩調節、船員配備と配置、飲料水供給設備、床面積等の主なものについて報告する。なお、本委員会の研究成果の詳細は、「船舶居住性能調査資報」(1号〜6号)に発表されている。
第4篇 船員の食料給与に関する研究
小石泰道 海労調報(14)63〜150(1964)
@食残の較差と変動−a.食残は供給量の20〜30%で、食残しによる摂取不足がありうる。b.食残の程度には勤務制、職種による較差がみられ、当直者は食残が多い。c.食残は航海の経過により変動する。d.食欲の低下に応じて食べ残す料理に順位がみられる。食欲や喫好の選択性をあらわす。
A食欲と社会的条件−a.空腹感より食欲の有無の自覚評点の方が食残との相関が高い。b.食欲は情緒や気分に左右され、ささいな外的環境条件の変化に左右される。c.当直者は空腹感がない。機関部は食欲がない。d.食欲は年令と逆相関をなし、馴化現象とみられる。e.疲労感は朝食時から夕食時へと順次少なくなる。f.胃腸の調子は当直者および通信士に悪い。g.暑熱感は大きくても食欲がある場合もある。
B食事に関するイメージ−a.船員の料理、食材料に関する非好意、認知と食残率とは対応する。b.貯蔵食品に対する鮮度低下、食味低下の認知が強い。c.食品の認知にそれほど特異性はみられない。
C食材料の鮮度と貯蔵条件−冷蔵庫内の温湿度を測定するとともに野菜の鮮度低下、魚肉の鮮度低下を調査した。以上食料の消費構造や貯蔵による品質低下などが食欲をスポイルしている面は給食技術的にかなり解決しうる問題であり、食欲や空腹感が船内勤務や生活の諸条件による面はその回復策は船内の労働や生活の合理化に他ならない。
第5篇 司厨員の作業の生産分析について
小石泰道 海労調報(14)152〜170(1964)
1961年、大雪山丸(内航)と箱根山丸(外航)におけるワークサンプリングとメモモーションスタディによる司厨員の工程と作業の分析結果の報告。
@司厨員の稼動分析と業務別工数
A運搬作業分析と工程流動分析
B供食の工程・作業分析−供食のシステムと設備レイアウト
C船室整理の工程・作業分析
第6篇 航海士の視力に関する研究
千原義男 海労調報(14)171〜198(1964)
昭和35年船員の定期健康検査の受検者1,136名(その内航海士190名)に対する視力(遠距離、近距離)、過去の視力の状況、眼鏡装用状況等についての調査結果ならびに海技専門学院生366名に対する眼屈折力検査、近点距離測定等の精密検査を併せた検査成績にもとずいて、航海士の視力検査基準について検討している。航海士の視力検査基準について航海士は十分なる遠方明視が可能である正視眼であることが理想であり、視力1.0以上を標準とし、海上経験、職務の転換が困難な事情等を考慮すると1眼0.6以上他眼0.4以上まで許容できるとしている。国家試験における検査場の照明条件、視力表の照明等は常に一定にする必要がある。またコンタクトレンズの装用の可否について検討している。
第7篇 船員家族の現状に関する研究
(1)同居について
神田道子 海労調報(14)200〜207(1964)
昭和36年、16社会、23社会、火曜会所属船員の妻1178名を対象に、郵送法による質問紙法で、船員家族の生活について調査、家族の現状としてT報からW報にその結果を発表した。調査内容は親族同居の有無、同居方法、同居にともなう利点、不利点、同居に対する態度などで、その結果、親族同居者が一般家族より多く、とくに若年令層にその傾向がいちじるしいこと、同居の利点として、面会のときの留守番、精神的安定感などがあげられ、同居支持者は妻の身内との同居者に多いことが明らかになり、船員という職業特性が家族類型を規定している点を指摘している。
(2)居住地について
神田道子 海労調報(14)208〜216(1964)
第T報でのべた調査のうち、船員家族の居住地、出身地、居住地と面会、夫の帰宅の関係などについてのべている。また、調査の基礎となる船員妻帯者率、居住地を131社、28,053名について明らかにしている。その結果、東京、神奈川、大阪、兵庫などの港湾地域に集中する傾向が特に職員家族、部員の高年令層の家族に明らかであること、港から自宅までの距離と、乗船中の夫の帰宅の有無、妻の面会の有無との間に差がみられ、船員及びその家族にとって、居住地が重要な意味をもっていることを示唆した。
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