Maritime Labour Research Institute

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海上労働調査報告 第15集(労働科学研究所報告) 運輸省船員局 昭和40年5月
(海上労働科学研究会資料 第9号 海上労働科学研究会)

第1篇 船員の疾病災害に関する研究
1.船員の死亡率について
西部徹一 海労調報(15)2〜7(1965)
 海上労働は危険な職場だと言われているが、その程度を、船員の死亡率の面から検討してみた。20余万の船員の中で、年に1,200名余が死亡している。これは他の産業労働者にくらべると農村業、採鉱採石業に次ぐ高さである。死亡の原因についてみると、海難その他の事故による災害率が66%という高率を示している。海難は小型船に多く、特に海上が荒れる冬季には、死亡率を高める原因となっている。船員の死亡率を低下させるためには、冬季における海難防止が、先ずなさねばならぬ課題であろう。

2.船内における傷病発生の実態に関する統計
西部徹一 海労調報(15)8〜19(1965)

第2篇 操船技術者の資質能力に関する研究
1.操船技術者の生理的機能について(第1報)
師岡洋一 海労調報(15)22〜34(1965)
 昭和38年5月海技大学校生170名に対して形態計測(体重外13項目)、運動能測定(肺活量、柔軟度、平衡能、垂直跳、懸垂、背筋力、握力、視力、聴力)を行った。
 成績の平均値は、形態的には一般人より優位な水準にあり、機能的にも視覚、聴覚、肺活量、握力は優位にあることが認められたが、背筋力、柔軟度、垂直跳においては劣差が認められた。年令階層の別にみると高年層になる程、肥満によるずん胴化と運動機能の弱化が著しいものがみられる。船員の身体的適性は、身体運動力といった観点よりも耐性的側面より基準を考慮すべきであるとして、形態面について身長、体重、胸囲、機能面について背筋力、握力、柔軟度、垂直跳、肺活量の年令群別基準値を求めている。

2.操船技術者の情報処理能力について(第1報)
西岡昭 海労調報(15)35〜48(1965)
 操船技術者の精神機能の適性を情報処理能力の側面からとらえようとする予備的な調査であり、昭和38年海技大学校生80名に対して次のような検査を行っている。
 連続選択反応時間検査は、2、4、8選択のランプ刺激呈示に対する反応時間計測、カード分類検査は、分類箱(窓□64個)を用いトランプカードの分類(1、8、16、32選択)所要時間計測、交互打叩検査は、狙準棒による目標の交互打叩動作の平均時間および誤差の測定、記録検査は、2桁+1桁の加算と始めの問題を再生させる方法。
 各検査の成績を、年令群別、航海科機関科別に比較検討を行っているが、明らかに解釈できる結果は得られていない。

3.航海士の聴力について
千原義男 海労調報(15)49〜74(1965)
 昭和36年船員の健康検査受検者204名、海技免状国家試験受験者92名、海技大学校生227名に対するオージオメータ(250、500、1000、2000、4000、8000c/s)による聴力検査結果および海技大学校生に対する秒時計法とオージオメータ法による検査の成績比較にもとずいて、航海士の聴覚の検査方法ならびに検査基準について検討している。現在国家試験で行われている秒時計法、じ語法は信頼性はかなり低い。聴力検査方法は、純音オージオメータ法がもっとも適当であり、航海士の聴力基準は周波数1000c/sおよび4000c/sの聴力損失20dbの検査音の聴取可能とし、周波数1000c/sは30db、4000c/sは50dbを許容限界としている。

第3篇 外航船員の労働の変化に関する研究
1.外航船員の職務分担からみた生活時間の変化について
小石泰道 海労調報(15)76〜107(1965)
 1961年、乗組員の定員に関する中央協定が外されて以来、設備の新鋭化と定員合理化が押しすすめられてきた。そこで職務分担や勤務制の変化の中で生活時間構造がどう変りつつあかをみようとした。外航船4隻の生活時間調査である。
 @WS法の応用について−箱根山丸において従来の連続時間自記調査と毎時1回のワークサンプリングを実施し、両者の比較からWSの実用性を述べる。
 A外航全期にわたる平均時間構成の比較−a.グループ間の稼動率の序列は船が異なっても変らぬものが多い。b.直固定者については4−8直、8−12直では睡眠時間量、自由時間量の較差みられず、0−4直のみ自由時間が短く、睡眠時間が長い。c.自由時間の長い職位は内容的にも豊かになるが、勝負事の時間量は自由時間の長短に関係ない。d.私用上陸は停泊中の職務発生の相異が大きく影響する外、職員と部員間にも差をみせる。
 ひきつづき時刻別生起の構造をみる。
 @勤務の時刻別発生のパターン−類似の職務を有する職位集団に分けてみると、3つの異なるパターンがある。直固定者はさらに3つに分かれる。
 A睡眠の時刻も勤務の時刻に従ってパターンが分かれるが、昼眠については直固定者でも個人間の変異が大きい。
 船員の労働時間は協約上24時間中の8時間労働となっているが、航海、停泊のくり返しによって発生する生活時間の時刻別構成は、職種、種位によって異なるパターンをみせ、職分、仕事の属性および小集団内の慣習によって規制される。従って船内の職務再編にあたっても、このような生活時間からの考慮も加えることを忘れてならないだろう。

2.外航船員の労働の変化について
小石泰道 海労調報(15)108〜122(1965)
 箱根山丸と春日山丸両船の事例比較から、
 @労働生産性としての側面−a.労働力構成では職員層の相対的増加(基礎知識)と平均年令の上昇(経験)b.仕事の機能別発生 定員減少に見合って工数減少をみせる職能と定員減少にかかわらず投入工数不変の部分とある。
 A乗組員個人としての側面−a.稼働率と生活時間の比較 b.機関制御室など環境整備がすすんだが、作業安全上、疎外状態におかれている部分はなお多い。c.作業強度では機関運用と供食の運搬作業に改善顕著。d.所要知識、技術では、乗組員の評価は設備新鋭化の程度と対応、質的水準の向上と仕事の吸い上げ現象がみられる。熟練形成期からやがて普遍化へと適応のプロセスはすすむであろう。

第4篇 船員家族の現状に関する研究
1.働く妻の実態について
神田道子 海労調報(15)124〜130(1965)
 働いている妻の比率、職種、就労方法、収入などについてまとめている。
24.2%が内職を含めて職業をもっており、賃金の低い部員の妻に多く、和洋裁の内職、農業従事者、一般事務員をして働いている率がたかいが、収入は3,000円未満が1/3をしめる。一般に船員の妻は余暇があり、働く条件が備っているように考えられているが、不規則な家庭生活は妻の就労を一般家庭以上に困難にしている点を指摘している。

2.住居の種類について
神田道子 海労調報(15)131〜136(1965)
 住居の種類を夫の年代別、居住地別、職員部員別に分析、自家所有率が一般世帯より低いこと、船員生活に便利な港湾地域居住世帯にはアパート、借家が多く、自分の家をもっている世帯が少ないことが分った。

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