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海上労働調査報告 第16集(労働科学研究所報告) 運輸省船員局 昭和41年5月
(海上労働科学研究会資料 第10号 海上労働科学研究会)
第1篇 船員の資質能力に関する研究
1.操船技術者の生理的機能(2)
狩野広之 海労調報(16)2〜11(1966)
2.操船技術者の情報処理能力(2)
西岡昭 海労調報(16)12〜16(1966)
3.船員志願者の体位の傾向と採用基準
師岡洋一 海労調報(16)17〜46(1966)
海員学校(昭和28〜38年1117名)、商船高等学校(昭和28〜39年3626名)、商船大学(昭和28〜39年3414名)の入学試験時の身体検査(身長、体重、胸囲)結果をまとめ、文部省統計と年令別にその推移を比較し、体位評価基準を作成している。
船員志望者の体位は過去における優位から遂年的に下り、現在は全国平均値と殆んど同じであるか、場合によっては下廻っている。学校間に明らかな格差が見られたが、検査基準の差、地域差等がその原因と考えられる。今後の船員の体位検査基準は、水準を下げて志望者の範囲を広げるとともに、内容として健康度、筋力、循環機能等の面から建全な労動力の保持と体位の向上を計るべきである。
第2篇 船員の衛生管理に関する研究
1.船内冷房が船員の生体に及ぼす影響
久我昌男 海労調報(16)48〜53(1966)
ペルシヤ湾に航行するタンカーのうち、冷房装置の無い船、公室のみ冷房をしている船、全船冷房をしている船、それぞれ1隻について、体重の変化、尿量と尿比重、飲水量、血液の性状、傷病発生状況などを指標として、冷房が船員の生体に及ぼす影響を調査検討した。その結果、疾病の受診件数からは3船間で差は認められないが、疾病の内容、各種生理値などからみると、全船冷房船は他の2船よりも優っていることが認められた。なお、神経痛がやや多い傾向がみられるが、これは温度差を適当にすることと、冷房を直接皮膚に当てないようにすることが必要であろう。
2.遠航船における歯禹蝕症とその関連
久我昌男 海労調報(16)54〜59(1966)
第3篇 外航船員の労働負担に関する研究
1.時間評価検査の結果
秋葉信夫 海労調報(16)62〜66(1966)
春日山丸、静岡丸における時間評価検査の検討。時間知覚は心理的わく組の自己規制度の程度によって変動を示し、また時間知覚変動の生理的基礎として脳の活動準位、脳における代謝速度が推定され、大脳における興奮禁止の平衡と関係があるとされている。
船員の航海による長期間の心的過程をさぐる目的で実施したが、自動化新鋭船の春日山丸の方が興奮禁止の平衡がおくれた職種が多かったといえるが、これは自動化の過渡的な段階からくる業務量のアンバランス、作業基準の不明などの各種条件の心理的反応と考えられるかも知れない。
2.選択反応時間検査の結果
森清善行 海労調報(16)67〜71(1966)
春日山丸、静岡丸における選択反応時間検査の結果の検討。反応時間の変動は大脳過程における何らかの変化をある程度代表する者で、疲労検査法としても試みられているが、次の目的で行った。
a.選択反応課題を加えてより高次の過程を調べる
b.情報処理能力を統一的数量的に理解する
c.心身の負担に対する何らかの指標を得る
結果−@甲板部と機関部船員について、航海日と入出港停泊日を較べてみると、単純反応、選択反応を通じ春日山丸では航海日に静岡丸では入出港停泊日に延長がみられる日が多かった。
Aこの結果をワークサンプリングによる作業分布分析結果と対照してみると、a.定員、機械化、労務管理などの船別差や航路(ニューヨークと欧州)の相異が反応時間の延長に及ぼす影響は大きいものとみられる。b.また荷役は精神的負担、船体、機関整備は肉体的負担として反応時間の延長に影響していたとみられる。
第4篇 船員の食料給与に関する研究
1.高速凍結乾燥食品の試供結果
小石泰道 海労調報(16)74〜92(1966)
2.遠洋まぐろはえなわ漁船の積込食料と使用状況
岩崎繁野 海労調報(16)93〜103(1966)
第5篇 船員家族の現況に関する研究
1.子どもの教育について(1)
神田道子 海労調報(16)106〜119(1966)
昭和38年5月、子どもをもっている3,758名の船員の妻を対象にし、郵送法による質問紙法で調査、子どもの学校教育と職業の実態、家庭におけるしつけ、父子関係についてのべている。調査の結果、次のことが明らかになった。
船員家族の子弟の進学率は非常にたかく、教育費の支出も多い。しつけは子どもの年令でちがい15才以下は日常的なしつけ、15才以上では人生観、人間として、あるいは社会人としての生き方などに重点がおかれる。親子関係は民主的な家族が多いが、父親は放任的、溺愛的になりやすい。父子関係は80%がうまくいっているが、青年期ではむずかしい。父親がいないため、学校の教師が子どもの教育の重要な相談相手になっている。
2.子どもの教育について(2)
神田道子 海労調報(16)120〜134(1966)
上記で述べた調査にもとづいて、母親が子どもに期待する学歴、職業、人生目標、性格などについての結果が述べられている。
男の子に対する期待学歴は、とくに職員家族にたかく、94%が大学進学希望である。職業は、専門的技術的職業従事者、事務従事者を希望する率が高く、自分の趣味や能力にあった生き方を期待している。女の子にも、大学進学を期待する家族が多く、幸福な家庭を作り、子どもを育てる生き方を期待する率が高いが1/4は職業を通して能力を生かす生き方を期待している。
母親は学校教育に非常に熱心で、PTAの役員をしている人が多い。最後に船員家族の特性からみた、子どもの教育の問題点をあげ、対策を述べている。
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