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海上労働調査報告 第8集(労働科学研究所報告) 運輸省船員局 昭和32年11月
(海上労働科学研究会資料 第2号 海上労働科学研究会)
第1篇 船内における作業組織と定員に関する研究報告(船員の労働負担に関する研究)
(1)船員の消費熱量について
石井雄二 海労調報(8)2〜15(1957)
@船員の平均体格を資料から身長163cm、体重57kgとした。A北海道航路船T丸で基礎代謝値、安静代謝値を測定した。B外航船WA丸とKY丸で船内作業のRMRを測定。実測した単位作業数は甲板部17、機関部12、事務部10。CAT丸、KU丸、TO丸の3隻でタイムスタディを行った結果から職位別に1日の消費熱量を算出した。D消費熱量の船別平均値はAT丸2,535カロリー、KU丸2,578カロリー、TO丸2,571カロリーであった。
(2)D型船における労働の実態について
西部徹一 海労調報(8)18〜54(1957)
1955年における東京−八幡航路千早丸(2,800G/T)の労働実態調査報告。生活時間調査、消費熱量と摂取栄養の調査、自覚症状、疲労部位調査、情意生活調査、フリッカー値検査を9日間実施した。
@職種別消費熱量の推算では、最小は船長の2,100カロリー、最大は機関員の2,900カロリー。A自覚症状は一般より少なめで、別に調査した7隻分の結果も報告している。B疲労部位では脚部、肩胛部、腰部の順で訴えが日立つほか、職種別の特色がみられる。C情意不安の訴えは機関部員に多いが、一般に訴えが少ないのは質問に不適当なものが入っている影響が考えられるので、船員向きの改訂版をつくった。Dフリッカー値は逐日変動において航海士の入出港、甲板部員の荷役作業の影響がみられる。逐時変動では停泊中は朝高午後低のノルマルな型を、航海中は朝低、午後高の異常型を示す。Eほかに機関員(焚火作業)5名に色名呼称検査をし、作業後の時間遅延や読み違い増加から相当の心的負荷がみられる。
(3)F型船における労働の実態について
西部徹一 海労調報(8)56〜77(1957)
千葉−神戸間のF型船で小型船の労働実態調査をした報告。調査項目は生活時間、栄養摂取状況、自覚症状、情意不安、フリッカー値。
@自覚症状は大型船に比し、甲板部員に多く、機関部員に少ない。全員の平均では身体的項目25%、精神的項目21%、神経感覚的項目20%。
A情意不安は職員では2等航海士、2等機関士の深夜直に多く、部員では甲板部が多く、機関部が少なかった。甲板部員の当直や夜荷役の影響が考えられる。
Bフリッカー値でも航海士、甲板部員の負担がみられる。
第2篇 船員の栄養に関する調査研究報告
(1)尿中ビタミンの分析結果からみた船員の栄養について
高木和男 海労調報(8)80〜98(1957)
1954年、船員394名、陸勤66名について尿補正濃度法による栄養保持状態の調査結果。 @航路別−a.熱帯航路劣る。b.内航船もよくない。c.陸勤もよくない。
A職種別−a.甲板部員は機関部員よりよい。b.通信士は蛋白保持状態悪い。食欲が問題。
B総括−a.VBl不足が広く存在する。b.VCも内航船以外不足。c.筋肉労働の少ない職種、高熱環境の職種は食欲低下の対策必要。
(2)船内貯蔵による獣魚肉の鮮度低下について
増田富江 海労調報(8)100〜107(1957)
14隻の庫内獣魚肉より試料採取し、揮発性塩基窒素の定量試験を実施した結果の報告である。
@試験成績と貯蔵期間、貯蔵方法、品種等との間に関係見出せず。
A今後大がかりな調査が必要である。
第3篇 船員の資質能力に関する調査研究報告
(1)船員労働力の構成について
西部徹一 海労調報(8)109〜116(1957)
1949〜1952年の船員諸統計にもとづいて、船員の年令構成、就業年数ならびに移動、職種別員数構成およびその学歴構成、精神的身体的資質等について戦前船員統計や一般産業労働統計と比較しながら考察している。
船員の年令は他産業に比べて若い。これは戦争による中堅層の脱落が原因で、これが技術上の弱点であるばかりでなく、船内生活の上でも老若の意志の疎通を妨げるものである。就業年数は一般に長いが、その原因は熟練を要する専門的職業であり、他へ転職することが困難であることのためである。船員を志す者の素質は優れており、学歴も一般より高い。しかし船内における諸環境はそれを伸ばし発展させる状態ではない。
(2)船員の体格体力について
石井雄二 海労調報(8)118〜126(1957)
昭和28年、29年船員の国家試験受験者、海技専門学院生合せて322名に対して生体計測(体重外13項目)、体力および運動能(肺活量、握力、背筋力、柔軟度、垂直跳、身体平衡能)の測定を行った。
身長、体重、胸囲の基本測度の上からは、国民水準より遙かに上位にあるが、体力、運動能において劣るものがある。船員の体格を年令階層別にみると、他産業に比して高年層の良好なことに注目された。甲板部と機関部とでは大差なく、通信部は形態的には優位で、機能的には著しく劣っていた。普通船員は肉体労働体型、高級船員は精神労働ないしは学生の特徴を示しており、普通船員の甲板員と機関員とを比較すると後者の方が重厚な体型である。
(3)海員学校生徒の身体発育状況
西部徹一 海労調報(8)128〜130(1957)
昭和27年10月入学、28年9月卒業の海員学校生徒約570名の入学式および卒業時の体格測定成績にもとずいて、生徒の1年間の身体発育状況を厚生省国民栄養調査成績よりみた国民平均年間増育量と比較を行っている。
鍛錬的要素を含む生活は、長育より幅厚育に対する影響がより著明となる傾向を示している。この年代において身長、体重は年令の低いほど年間発育量は大きい傾向がある。
第4篇 船内設備に関する調査研究報告
船員居住室の換気装置の改善について
石堂正三郎 海労調報(8)131〜151(1957)
換気に対する考え方を明らかにし、Co2濃度、換気回数などさまざまの立場から船室の換気の現状を調査した。結果の要約は次のとおりである。@Co2濃度からみて、夏季における自然換気は一般に充分と考えられるが、冬季は不足している。機械換気装置のある船では、換気は大体良好である。A温熱条件からみれば、換気のみでは解決できない状態であり、空気調節が必要である。B粉塵、細菌からみた汚染度は、著るしくはない。C設計換気回数からみると、調理室、配膳室、浴室、便所などは、特に設備が立ち遅れている。
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