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財団法人海上労働科学研究所
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研究調査の概要昭和54年度1.衝撃、振動、動揺の評価基準に関する調査研究(3年計画第2年度)
担当者 神田 寛,久我昌男,村山義夫
本年度は30米型高速艇(88ノット,速力30ノット)における波浪衝撃が収録され,その実際に収録された加速度測定波から,種々の人間工学的観点から評価する方法を検討してきた。
この結果,この方法が非常に有効であり,便利であることを確認することができた。
今回,油圧式防振椅子の効果についての検討で,われわれは従来間違った考え方をしていたことに気がついた。すなわち,防振椅子による振動の増幅現象が測定の結果気がついたことであるが,この椅子の効果は姿勢安定に役立つことにあり,衝撃振動の減衰にあるのではない。
このことの裏付けの一つになると考えられるが,この椅子を使用した操舵手の心拍教の変化を測定し,かなりきびしい航海においても平穏時の航海に比べて大きな差がみられなかった。
次年度においては,この防振椅子の人間工学的検討を適確に実施できる目途が得られたので,防振椅子の改善が可能となるであろう。
腰痛症との関係では,高速艇の波浪による衝撃と振動によって直接に背柱に傷害が生ずるような強い荷重が生ずるとは考えられない。しかし,姿勢が不安定になるきびしい環境で姿勢保持のための反射的筋緊張による,背柱をとりまく筋肉疲労の蓄積が腰痛多発の大きな要因となっていると推察される。したがって,次年度は筋力筋電計も使用して,体操やトレーニングによる予防効果について考えてみたい。
2.船員の心肺機能に関する調査研究(3年計画第3年度)
担当者 久我昌男 村山義夫
荷役回数の多い青森〜函館フェリー乗組員119名を対象として,レントゲン胸部直接撮影,フローボリューム検査,問診,尿一般臨床検査ならびに血圧測定を行った。
結果は,胸部レントゲン所見では9名に軽度の疑いが認められ,塵肺問診票の訴え率では長距離フェリーより多い傾向がある。フローボリューム曲線による肺機能検査の結果,%肺活量と1秒率での有所見者は若干認められる程度であるが,肺活量の25%における呼気流量では低い者がかなり認められ,この種の検査による今後の検討ならびに船員についての標準値(生理値)の把握が必要とされる。
3.海上労働災害の原因究明に関する調査研究(毎年度)
担当者 服部 昭
本年度の調査研究は,新たに調査を展開するのではなく,文献研究によって,単に海運界,水産界だけでなく,災害防止に対していかなる対策がとられているのか,また防止策を考えるにあたって,いかなる研究がなされているのか等,換言すれば,災害防止に関する方法論的検討を行った。 4.船員の職能、教育及び雇用に関する総合的な調査研究
担当者
戦前における普通船員の雇用(給源,採用,解雇,乗船期間,雇用継続,入職経路,定着率等)を明らかにするため,既存文献資料の収集,某大船会社の労務資料の収集,退職船員の聞取り調査を若干行った。 5.漁船員の腰痛の現状とその予防対策に関する調査研究(3年計画第1年度)
担当者 久我昌男 村山義夫
遠洋まぐろはえ縄船員の腰痛について調査するため,当所で作製した腰痛調査票ならびにコーネル・メディカル・インデックス(CMI)によって,三崎港に入港する263名に対し調査した。
結果は,腰痛を訴える者は118名で医療を受けたもの31名であった。さらにこれらのうちCMIの訴えをみると,疲労,循環器系にみられる老化について訴えとの関連が強い。また,部位別にみると,胸椎,仙椎にも訴えが多い。
以上のことから,原因として魚の取り込み,魚運搬,魚凍結処理作業,漁具整備作業,持続的な一定の作業姿勢等について問題提起した。
6.船員の衛生に関する国際関係資料の研究
担当者
アメリカの医療便覧のうち所要の箇所を翻訳して国内医療便覧と対比検討を行なった。 7.将来の船内食料給与の方法研究(2年計画第2年度)
担当者 小石泰道
(1)昨年度における報告「多種料理における調理工程作業測定法と調理工数算定法」を用いて,さらに調理工数計算の簡便化をはかるとともに,栄養価計算の簡便な資料も作成,これらを用いて調理作業の省力化と成人病予防を考慮した複数献立を試算し,新しい船員給食システムに移行するため,さらに検討されるべき事項をまとめた。
(2)上記検討事項の一環として,冷凍食品を中心とした船舶への流通現状について,地方港を重点に現地調査をし,その問題点を摘出する。
8.混乗船における東南アジア船員の生活行動と労働に関する調査研究
(2年計画第1年度)
担当者 大橋信夫,服部 昭
東南アジア船員の船内生活と仕事に対する考え方とその実態及び日本人船員の果している様々な役割の実態を調査して,今後の混乗船運航に必要な参考資料を斯界に提供するため,本年度は,関連文献資料の収集及び混乗船を体験した日本人に対する面接,さらに日本−地中海をフィリピン人との混乗で運航している貨物船における約40日間の乗船調査などを実施した。また,この乗船調査に際しては,ギリシァで下船したので,帰路,I.L.O.の本部のMARITIME WORKERS DIVISIONの部長にも面接して,東南アジア船員問題に対するILOとしての今後の取り組み方などについて話を求め,さらにマニラにも寄って,フィリピンの海事教育制度の今後の展開方向・フィリピン船員の外国船へのマンニング問題について関係者に会って話を開くと共に資料を収集し,今後の調査に備えた。 9.船員の健康管理
担当者 久我昌男
前年度にひきつづき神奈川県三崎の漁船船主から,近年多くなりつつある健康障害による出漁中途帰国者の予防のための健康管理の要請があり,今年度は出港直前の集団検診のみならず,入港船船員についても行なった。施行船は出港船3隻,入港船4隻,他に毎年行なう水産高校練習船2隻の合計170名を対象とした。
結果において,最も注目されるのは循環器系とくに心臓疾患であり,治療を要するものも多い。今年度は長期出漁後の入港船について実施したため,下船中における治療の指示が有効となった。
また,漁船員の出港直前または入港直後における標準値を知る上で有意義であった。特に血液系検査値は心臓疾患との関連で貴重な資料を得ることができた。
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