2007/04/13
商社機能と計数管理
1. 大商社はコンピューターの導入に積極的でした。
1970-2000年の間に、問屋は物流機能をコンピューター化するのに力を入れ、自動車ディーラーは固定客対策特に販売とサービスの履歴を記録することに力を入れていましたが、大商社は利益の主体である金融機能と仲介機能を正確に把握することを目指していました。さらに、データ送信に使っていたテレックスをコンピューター処理に移すことも重要でした。テレックスはテレタイプライターを入出力要素として用いて、さん孔用紙テープにデータを入力して50ビット/秒で伝送します。利用は1976年をピークに減少しているとのことです(世界大百科事典、日立デジタル平凡社、1999年)。
2. 従業員30人程度で人的配送を主業務とする小規模問屋のマージンは20%前後でしたが、大商社の売上総利益率は3%前後でした。
薄利多売型企業ほど正確な簿記会計を記録し、管理することが重要です。
売掛台帳、仕入台帳等の補助元帳が正確に記録されていることは当然として、金利と為替変動に注目していました。例えば、1983年に三光汽船が商社からのリースで運用する貨物船を大量発注しました。商社の資金を用いて造船所に低船価での発注をし、その船を三光汽船が効率的に運用できるように積荷を確保するために商社が動き回ります。造船に使う鋼材、塗料等で商社が指定代理店になっている場合、商社から造船所が仕入れた形になって取引金額の3−5%の仲介手数料を受取ります。完成後は三光汽船からはリース料収入が、確保した積荷についても輸出入業務に伴うマージンが入るはずでした。
以上をコンピューターで管理するとすれば、売掛、買掛けの債権・債務管理、部門ごとの収益と全社的立場の資金運用管理、三光汽船が危ないかどうかの関係会社管理がポイントになると思います。そして、商社マンは「三井物産と伊藤忠商事以外の日本の大商社が三光汽船の商談に相乗りしているので、三光汽船は日本株式会社の直系子会社のようなものであり、低船価で製造したので競争力もある。」という総合判断をするための基礎数値として、コンピューターからのデータを使おうとしましたが、最終的に三光汽船の倒産に至りました。