自転車で走る時は、あまり満腹になってはいけないのだが、ついうどんの美味しさに我を忘れた[み]は後悔していた。
だが店の入口に待ち行列が出来ているので、落ち着けなくてはやばやと席を立つしかなかった。
外へ出ると相変わらずのむっとする熱気で、頭がクラクラする。
店内で見たお昼の天気予報では、熊谷の最高気温は34度だと言っていた。
加須から熊谷までは僅かに15km程度の至近距離、えらい所に来てしまったなあ。
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とりあえず元来た道を辿って駅前のコンビニに寄り、飲み物などを買うと商店街を抜けて南下する。
メインストリートに人の動く気配が無いのは、やはり気温のせいだろうか。
[左写真]
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[1]加須駅前のコンビニで買い出し。
[2]駅前商店街は静かだ。
[3]道路脇、左前方に小さなお地蔵様。
ふと通りすがりに、ちらりとお地蔵様が見えた。
道祖神かと思ったけれど、ここは街道というわけでもないから、水神様なのかな?
注意して見ると辻ごとに建ててある。
そう言えばここに来るまでにも、用水沿いに建てられた神社の鳥居をいくつも見て来た。
治水に苦労した昔の人の想いが偲ばれた。
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加須駅から商店街を南下、突き当たりの細いクランク状の道を入ると
騎西領用水(新川用水)
にぶつかるので、左折。
またサイクリングロードが始まる。
常泉では木陰が続き、薄暗く湿り気を帯びた道に散らばる小枝を、リズミカルに避けて走り抜けた。
だが我々はすぐに、眩い日向の道へと放り出される。
子連れ狼さんはまた、ボトルの水を頭から振りかけ始めた。
暑い。
のぼせやすくて汗かきの[み]も、かなり意識して体温を下げる努力をしていたが、
それでも普段より判断力が落ちているのが自分でも分かった。
そうでなければ、こんな濁った用水路に飛び込みたいなどと思うものか。
コンビニを出て30分後、ちょうど
久喜市に入った時
だった。
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折しも昼食後の魔の時間帯、寝不足のりっきさんは平地続きで緊張感を失って睡魔と闘い、
菊川さんはお尻の痛みで眠気を紛らわしていたと言う。
狭い用水沿いの道から県道151号線へ出る駆け上がりで、路面に細かい段差や浮き砂があった。
だが全員難無くそこをクリアして、綺麗な舗装の車道を走り始めたと思ったら、すぐに後ろから声が上がった。
スト〜〜ップ!!
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振り向くと、車線の真ん中にMasaさんが座り込み、すでに後続の何人かが交通整理に当たっていた。
Masaさんは少し怪我をしているようだが、それ以上にぼーっと座ったままなのが気になる。
熱中症だとしたら、この炎天下はまずい。
日陰、ひかげ....。
全員で道路の反対側へ大移動。
道路際の農林総合研究センターの敷地の林の陰、路肩の泥溜まりに足を踏み入れないように注意して、自転車を停めた。
何ケ所か擦り傷があったが、怪我は長袖長ズボンのお陰で軽微で済んだ。
自力で走れそうなので、ざっと怪我の手当てが済むと、「すぐそこ」の神社で落ち着いて休憩する事になった。
転倒の衝撃で、フロントバッグの取付け部分が壊れてしまっていたが、Masaさんはバッグにベルトを付けると、
ショルダーバッグにして走り出した。
出発直後、東北自動車道の下を潜るトンネルで一斉に声が上がる。
うわ〜っ! 涼しい!
外界に比べれば別世界の涼しさに、[み]も思わず「ここに住みたい」と言いかけて、はっと理性が働く(笑)
しかし鬼教官(ごめん)は目もくれずに通過、しかもそれから10分ほど経過しても神社には着きそうもない。
理恵さんが、一つの懸念を口にした。
まさかこの「すぐそこ」って....?
そう言えば、ある新潟県人の「すぐそこ」は車で40分の距離だったという経験がある。
案の定、子連れ狼さんの「すぐそこ」に着いたのは、たっぷり20分後だった。
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[左写真]
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[1]
やっとこさ辿り着いた小さな八幡宮。写真の左側は更地、右側にはすぐ民家があった。
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[2]早々に見切りを付けてまた出発
[3]弐号機の積算走行距離が9999kmを示す
[4]埼玉県北葛飾郡鷲宮町大字久本寺付近
ようやく辿り着いた
八幡宮
で、[み]は弐号機の積算走行距離が9999kmになっているのを発見!
理恵さんに
それは10,000kmより貴重かも
と言われて嬉しい[み]。
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しかしこの神社、敷地の殆どが更地になっていて、残されていたのは本殿と銀杏の木1本、殆ど日陰が無い。
水道も使えないので、砂漠の蜃気楼を追ってきた気分だ。
落ち着いて休憩するどころではないので、身体の粗熱が取れたら早々に出発する事になった。
[右写真]炎天下の久喜市下清久付近
相変わらず続く白く乾いた路面に、身体中の水分が吸い取られるようで気が滅入ったが、
ものの数分もしないうちにまた止まった。
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次に到着した
諏訪神社
は、社殿こそプレハブっぽくお粗末だったが、広い境内には木陰もたっぷり、裏には探し求めた水道もあった。
雑巾バケツが似合いそうな洗い場の水道が、彷徨える旅人には恵みの泉に見えた。
みんな代わる代わる水道に取り付いては、喉を潤し頭を冷やし、木陰に憩う。
涼むうち、ようやくMasaさんも人心地が付いたようだ。
[1]
久喜市下清久の諏訪神社。
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[左写真]
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[2]ここで10,000km達成。
[3]境内のブランコには大きな子供が遊ぶ。
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Masaさんの転倒は彼の自転車経験が浅いからではない、自転車の保有台数は我が家より多いくらいだ。
ただBromptonのような小径車は、一度コントロールを失うと立て直しが難しいのが災いしたのだろう。
本人が軽傷で済んだのは何よりだが、腕時計が壊れ、ヘルメットは割れてしまっていた。
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