課題4、バイワイヤリング方式とスピーカーケーブル

 バイワイヤリング方式のルーツは1976年に東芝社が出願した実用新案にあります。
従来のスピーカーシステム(ボックス)は下図の「第1図」の如く、低音用スピーカー(ウーハー)と
高音用スピーカー(ツイーター)とネットワーク回路で構成され、1つの入力端子へスピーカー
ケーブルを接続するものです。この場合、ウーハーは充実した低音を出すために大きな振幅を
しなければなりませんが、この為、スピーカーユニットのムービングコイルが大きな振幅で動く
ことになります。このムービングコイルは強力な磁界の中で動くので音楽信号で動いた反動で
コイルに逆起電力が発生します。この逆起電力はネットワーク回路がツイーター側のフィルター
回路と繋がっている為にツイーターに影響を及ぼし、例えば解像度の低下をもたらします。
 そこでこの実用新案では、スピーカーボックス内のネットワーク回路を分離して、
低音用と高音用のスピーカー端子を取り付け、それぞれをスピーカーケーブルでアンプと
結線する方法を提案しました。パワーアンプの出力インピーダンスはダンピングファクターを
良くする目的で、低インピーダンスで出来ているので、この逆起電力は消滅します。
因って、ツイーターにはこの逆起電力の影響が及ば無くなり、解像度等の低下は起こらないことに
成ります。この考えはその後、多くのスピーカーシステムのメーカーに受け入れられ、
今ではバイワイヤリング対応の2セットのスピーカー端子を持ったスピーカーシステムが多く
販売されるように成りました。



 ここまでは上記実用新案の範疇ですが、ケーブル設計者の目から見れば、せっかく低音用と
高音用にケーブルを2本配線するのであるから、それぞれの信号に適したケーブルを使うことを
検討しては如何か? と考える分けです。
 私は1993年にFS-4TBWを設計しF社ブランドで商品化しました。
その技術内容をMJ誌に載せて頂きました。(詳細はMJ誌のコピー⇒FS-4TBW) 
FS-4TBWは2対を更に撚り合わせたDMカッドという構造で、
低音域と高音域のクロスオーバー周波数帯での音の繋がりを特に考慮し、
高音用対の高音域での減衰量を小さくすることで広帯域を実現しました。
 今回、新たに
SP-BWと称すバイワイヤリング対応ケーブルを設計しAVCTブランドで
商品化しました。これは先に発売しましたSP-6PとUT-1Qの組み合わせがバイワイヤリング配線に
適しているとのご評価を多くのお客様から頂いていますので、これらの設計思想を取り入れ
商品化をいたしました。